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【阿比留瑠比】叩き上げ菅総理をバカにした川勝平太静岡県知事の不遜

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〝仕事師〟菅総理

 菅義偉政権が発足して約1カ月、順調な滑り出しを見せています。

 〝仕事師〟菅総理の肝煎りである不妊治療の保険適用や携帯料金の引き下げなどの諸政策は、国民の要望に応える庶民感覚の政策です。また、河野太郎行革担当大臣による行政の手続きにおける押印の廃止、またデジタル庁の設置など、わかりやすい政策を進めている。
 
 共同通信社による菅内閣発足後初めての10月の世論調査によると(10月17、18日に実施)、内閣支持率は60.5%と、なかなかの高水準を示しています。
 
 懸念されるのは、「縦割りと既得権益とあしき前例」の打破を掲げていますが、それゆえに、さまざまな面で軋轢が生じる可能性も高いこと。日本は既得権益が強固に存在しています。先の加計問題にしても日本獣医師会という既得権益の守護者が、獣医学部の新規開設に大きな障害として立ちはだかりました。
 
 菅政権が行政改革を進める上で、今後は業界関連団体との血みどろの戦いが予想されます。

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既得権益の象徴

 そんな中、日本学術会議の問題が大きくクローズアップされています。これこそ日本社会の既得権益の象徴のような組織と言えます。

 学術会議の総額予算は令和2年度で約10億5千万円。210人いる会員と、専従職員50人で分けるとなれば、大した額ではありません。

 ですが、日本学術会議の会員に選出されれば、周囲の見る目が一変します。学者の世界は権威主義ですから、特権的な地位を得られれば尊敬の目に囲まれ、それこそ一生安泰と言えます。

 今回の任命拒否をめぐって、野党や日本学術会議のメンバーが批判を繰り返していますが、見事に墓穴を掘っています。

 「学問の独立、自由を侵害する暴挙だ」

 立憲民主党の原口一博副代表は二日の野党会合で、このように主張し、任命されなかった学者も呼応しました。ほかにも、

 「学問の自由、法治国家としてのあり方にもかかわってくる重大な問題だ」(共産党の小池晃書記局長、5日の記者会見)

 「学者が萎縮し、自由な研究や発信ができなくなるおそれがある」(三日付朝日新聞社説『学問の自由 脅かす暴挙』)

 「学問の萎縮を生みかねない大問題だ」(7日付毎日新聞社説『首相発言これでは説明にならない』)などと学問の自由の危機を唱える論調が多く見られましたが、的外れそのものです。学術会議の会員は特別職国家公務員です。野党やマスコミから常に任命責任を問われる立場にある首相に、任命には一切かかわるなというのは矛盾も甚だしい。

 日本学術会議法七条は「会員は、内閣総理大臣が任命する」と定めています。むしろ推薦通りの人事が続き、任命権が形骸化していたことが問題ではないでしょうか。

 そもそも学術会議の会員に任命されないと学問の自由が侵害されるというならば、会員以外の全国の学者はみな、学問の自由を制約されていることになる。そんなバカげた話があるでしょうか。学問の自由は一部の象牙の塔の住人の独占物ではありません。

傲岸不遜な態度

 ほかにも過剰反応を示している人たちが散見されます。

 元早稲田大学教授の川勝平太静岡県知事は10月7日「菅義偉という人物の教養のレベルが図らずも露見したということではないか」、同月12日には「菅総理のこれまでのご経歴を見ると、学問を本当に大切にしてきた形跡が見られない」と断じました。

 ところが、川勝知事の一連の発言に抗議が殺到し、その後、川勝知事は「学問を大切にしなければいけないと言ったが、学歴の部分が表に出て県民に心配された。学歴差別ととらえられて本当に申し訳ない」「(任命拒否の経緯に関する)基本的な事実認識が誤っていた。不正確だった」(10月16日)と釈明をするハメに。学者の人格や品性まで問われかねない発言でした。

 また松宮孝明立命館大学教授は、BS-TBS「報道1930」(10月2日放送)に出演した際、「ここ(日本学術会議)に手を出すと内閣が倒れる危険がありますよ。なので、政権は撤回するなり早く手を打った方がいいですよ。これは政権のために申し上げておきます」と恫喝ともとれる発言をしています。

 曲がりなりにも政治家や総理大臣は、国民が選出した上で、今の地位についている。学者はあくまで自己都合で勉強を重ねてきた人たちが大半でしょう。自分たちの小さな世界、仲間内だけで固まり偉そうに振る舞えば振る舞うほど「何でそんなに上から目線で偉そうなのか」と国民の反感を買うだけです。

 一般国民は学者が自惚れているほど、学者のことを偉いなどと考えていません。

 実際、この問題をめぐっては少なくない学者からも、反論が出ています。東京外大総合国際学研究所の篠田英朗教授は5日、インターネットの言論サイト「アゴラ」で、次のように指摘しています。

 「(憲法で)保護されている『学問』とは、大学でお給料をもらっている人々の特権的地位を保障する何ものかではなく、もっと広く全ての国民の個人の尊厳を形成する精神的活動のことを指しているはずだ」

 東洋学園大の櫻田淳教授も2日、SNSで次のように書き込みました。

 「何故、『学問の自由』の侵害という議論になるのかが判らない。(中略)中国のような権威主義体制下の知識人が聞いたら仰天するような『生温かさ』が、そこに感じられるのだが……」

 まさに、かれらの指摘こそが真実でしょう。

日本共産党との癒着

 実際に日本学術会議においては日本共産党が長年にわたって強い影響力を保持し、圧力団体と化していたことが明るみに出ています。

 北海道大の奈良林直名誉教授は10月5日、民間の保守系シンクタンク、国家基本問題研究所ホームページ上に「学術会議こそ学問の自由を守れ」と題した文章を掲載しました。

 それによると、北大は2016年度に防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募し、「M教授」の自衛隊艦船だけでなく民間船舶の燃費も10%低減される研究が採択されました。ところが、学術会議はこれを「軍事研究」と決めつけ、2017年3月に出した科学者は軍事的研究を行わないとの声明で批判。さらに学術会議幹部による学術会議からの事実上の圧力で、北大は2018年、研究を辞退せざるを得なかったというのです。異見は認めず、自ら学問の自由を圧殺したと言えます。

 奈良林さんは、さらに次のように書いています。

 「学術会議は、日本国民の生命と財産を守る防衛に異を唱え、特定の野党の主張や活動にくみして行動している」

 学術会議は2017年3月、科学者は軍事的研究を行わないという時代遅れの声明を出しています。

 声明は、軍事研究を行わない旨の過去の声明を「継承する」とも明記している。これこそ憲法二十三条が保障する学問の自由を制約するものではありませんか。しかも中国科学技術協会と相互協力の覚書を交わし、「千人計画」にも参加している学者が数人いると言われています。この矛盾はなんでしょうか。

 元共産党員の篠原常一郎さんはネット番組で「(今回選出された)6人の中には共産党員がいる。(先述した)松宮教授は赤旗の常連である」と述べました。

 また村上陽一郎東大名誉教授はインターネットのインタビューで「長年、ある政党に支配されてきた」「今回の件(6人の任命除外)で、自分の学問の自由を奪われた人は、1人もいません」と証言しています。

 実は1970年に出版された『赤い巨塔─「学者の国会」日本学術会議の内幕』(時事問題研究所)では、日本学術会議への共産党支配の実態が暴かれています。50年前から、日本共産党との癒着が指摘されていたのです。

 ところが、毎日新聞は一面トップで、杉田和博官房副長官が今回の任命拒否に何らかの影響を及ぼしていたと報じました(10月13日付)。

 記事によれば、«杉田氏は、学術会議が政府に提出した105人の推薦者名簿の中から6人を除外して、99人の名簿にする取りまとめに関わっていた。(中略)任命を決裁した9月28日の直前に6人を除く99人が載った名簿を見たといい、「その時点では、最終的に会員となった方がそのままリストになっていた」と説明»とあります。

 さも、モリ・カケ問題のごとく周囲の忖度があって、今回の任命拒否に至ったかのような書きっぷりです。立憲民主党の枝野幸男代表は13日の党会合で「首相ではなく、他の人が判断したのであれば適法性が疑われる」と述べたとか。

 この発言にも首を傾げたくなります。事務方のトップである官房副長官が基本的に閣僚人事や政府機関の人事を事前に調整し、その上で総理が決裁するのが基本的な仕事の流れです。副長官が一切タッチしていなかったら、むしろ、そちらの方がニュースです。

 それを学術会議側や野党は「総理が99人の名簿しか見ていないのはおかしい」と批判していますが、矛盾だらけですよ。当初、総理自身が判断してリストから外したと言われていたときには、総理が何でも決めるのはおかしいと批判していた。ところが、今度は事前にリストから外されていたことがわかると、総理が判断して決定しないのはおかしいと言う。どうしてほしいのか、さっぱりわかりません。

 先述したように、国民の代表である総理大臣が任命権を持つ以上、その権限を振るうのは当然です。「今までとは違う」と非難したところで、むしろ今までは大した審議も経ずに選ばれていただけのこと。

 今回の任命拒否を通じて、今までの膿を出す良いきっかけになればいい。福井県立大の島田洋一教授は10月2日、ツイッターで学術会議廃止論を唱えていますし、自民党も民営化や廃止を求めて検討することを提言しています。野党は論点ずらしだと言っていますが、無理スジです。 菅総理の気持ちとしては、本丸である霞が関省庁の改革に1日でも早く手をつけたいところでしょうが、その第1歩を学術会議から始めたと言えます。

戦略的互恵関係

 一方で、外交面はどうか。

 菅総理は9月24日、文在寅大統領と電話会談をし、「旧朝鮮半島労働者問題を始めとして、現在非常に厳しい状況にあるこの両国関係を、このまま放置してはならない」と伝えたことを言明しました。韓国側は「安倍首相が退陣すれば、日韓関係が前進するのではないか」と勝手な幻想を抱いたようですが、アテが外れたと言えます。菅総理は官房長官時代から、韓国のやり方に、さんざん煮え湯を呑まされ続けてきました。いわゆる徴用工判決や国際観艦式での旭日旗掲揚の自粛要請、レーダー照射問題、貿易管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」除外に対しての文句など、記者会見を開くたびに怒りを押し殺すような表情で抗議を表明していました。

 2013年末、南スーダンに展開するPKO(国連平和維持活動)で、陸上自衛隊が国連を通じて韓国軍に銃弾1万発を提供したことがあります。もともと韓国軍からの要請で、政府幹部は徹夜で内閣法制局と折衝、弾薬を融通したわけですが、その後、韓国は日本に弾薬提供を要請した事実を認めようとはしませんでした。

 かように韓国の言動に振り回され続けてきた菅総理にしてみれば、早々、韓国に対して甘い顔を見せるわけにはいきません。

 そんな中、元駐日大使の李丙琪氏は菅総理とウマが合い、胸襟を開いて付き合える仲だったようです。2015年の慰安婦問題日韓合意の締結にも、お互いに調整に力を尽くしました。

 ところが李氏は文政権の誕生とともに、朴槿惠政権へのバッシングの煽りで、特定犯罪加重処罰法(国庫損失)違反などの罪で懲役3年6カ月の実刑判決を受け、現在、収監中です。そういう意味でも日韓の橋渡しをする人物が、両国ともいないというのが現状ではないでしょうか。

 一方、中国ですが、新しい駐中国大使として垂秀夫氏が就任することになりました。垂さんは外務省上級職では珍しく豪快な人柄で、駐中国公使時代には「中国人相手に飲ませ、食わせなどをずっと続けて、ネタを取ってきた」という人物です。チャイナスクール出身者ですが、対中迎合派ではありません。

 ずっと以前、「中国大使になられたら?」と聞いたら「そんなことは絶対にあり得ない。俺みたいな現場を駆けずり回るタイプは外務省では出世しないんだ」と言っていましたが、そういう人物が活躍の場を得るのはいいことだと思います。

 中国は実際に付き合いにくい相手です。経済的に超大国で、日本の最大の貿易国だから重視せざるを得ない。その一方で、何百発もミサイルを日本に向けている。そのため、リスクコントロールが必要です。

 本音を言えば、私も中国は嫌いですが、中国との国交断絶を軽々しく口にすることはできません。現に、中国でビジネスを展開する日本企業は総計で3万社超にも達しています。強硬的な姿勢を見せたら、現地の日本人はどんどん人質にとられ、いい加減な容疑をでっち上げられて拘束され、資産は没収されるでしょう。実際にスーパーや洋品店に行ってみればわかりますが、メイド・イン・チャイナだらけです。

 日本の生活は、もはや好き嫌い関係なく中国製品がなければ成り立たない。

 安倍晋三政権のとき、中国とは「戦略的互恵関係」を目指していました。「一衣帯水」のように情緒的な関係ではなく、お互いウィンウィンで取れるものを取りながら、うまくやりましょうということです。実は、この〝戦略的互恵関係〟というキーワードは垂さん発案と言われています。菅政権にも当然、踏襲されるべき戦略と言えましょう。

過去の人

 秋の臨時国会では、学術会議の任命拒否を、菅総理の強権政治、横暴だと訴えて政権攻撃の材料にするのは目に見えています。ならばいっそのこと、首相は国民の信を問うて、衆院解散に打って出るのもいいかもしれません。

 解散は、総理の決断1つにかかっています。ただ菅総理は仕事師であることに誇りを持っていますから、掲げた政策の実現への道筋を示して「これをやります」と明確に言えなければ解散には慎重になるでしょう。

 ですが、どのみち衆院議員の任期は近づいており、1年以内に解散総選挙を実施することになりますから、タイミングを計っていることも確かです。年内は難しいとしても、年初の国会召集と同時に冒頭解散の可能性が高い。

 もしくは東京五輪開催前の4月か5月。このあたりの時期を睨んでいるのではないでしょうか。

 菅総理の自民党総裁任期は2021年9月に切れます。これを受けて安倍さんは産経新聞のインタビュー(10月15日付)で「今年選ばれたばかりの菅首相を代える大義があるのかと思う」「衆院議員の任期が切れる来年10月までには必ず総選挙があるのだから、その選挙で勝てば当然、勝った総裁が引き続き政権を担っていくべきだ」と述べています。十分あり得る話です。

 解散総選挙と聞いて青ざめるのは、むしろ支持率が低迷し、浮上する気配もない野党のほうではないでしょうか。

 立憲民主党に合流した小沢一郎さんは枝野さんに面会したとき、「あと1年で枝野内閣。政権構想を練って下さい」と言ったそうですが、こんな話、もはや誰も相手にしていません。立憲民主党内でもシラケムードが漂っています。小沢さんは民主党時代のような力はない過去の人なのです。

 そもそも、立憲民主党議員は誰一人、今すぐ政権奪取なんて考えていません。

 憲法改正に向けた自民党の起草委員会が年内に具体的な条文をまとめたいとしていることに関して、安住淳国会対策委員長は「自民党が独走して議論を急ぐのなら、国会の憲法審査会での審議には応じられない」と訳の分からないのんびりしたことを言っている。「また長期休暇か」と、国民からすると呆れるほかありません。先述した杉田副長官に対する批判にしても、自分たちが政権を運営することを視野に入れていたら、とても口にできません。事務方を軽視して機能不全に陥ったのが民主党政権でしたから。

 解散総選挙となったら、立憲民主党をはじめ野党の敗北は確実でしょう。立憲民主党議員にしたら、菅総理がいつ解散総選挙のカードを切るか、気が気でないと思います。彼らは国会議員として何を成し遂げるかよりも、1日も長く国会議員の職にとどまることを考えているように見えますから。
阿比留 瑠偉(あびる るい) 
1966年生まれ、福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。90年、産経新聞社入社。仙台総局、文化部、社会部を経て、98年から政治部。首相官邸、自由党、防衛庁(現防衛省)、自民党、外務省などを担当し、第一次安倍内閣、鳩山内閣、菅内閣、第二次以降の安倍内閣で首相官邸キャップを務める。最新著書に『安倍晋三が日本を取り戻した 』(ワック)他、『総理の誕生』(文藝春秋)、『安倍晋三の闘い』(ワック)など著書多数。

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静岡県民 2020/11/17 05:11

伊豆在住です。近くの山林がどんどん切り崩され、太陽光パネルが敷き詰められています。おそらく中国から購入したものでしょう。立派だった鎮守の森もハゲ山に。。頼むから、クリーンエコの名の下に環境を破壊するのはやめてくれ。そして一刻も早く退陣してくれ。

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