【安積明子】今日も「文春国会」の日本は平和⁉

【安積明子】今日も「文春国会」の日本は平和⁉

もっと大事なことがあるのに…
 菅義偉首相の長男で、東北新社の衛星放送事業を担当する正剛氏と総務省の幹部との会食を報じた文春砲の破壊力が凄まじいですね。ある議員などは「もう文春が国会だね」と言っていました。でも、国会の本来の機能は立法ですから、全く違いますね。武士の情けで名前は伏せますけど、東大法学部を出ているのに大丈夫ですか?

 それはさておき文春が会食での会話を録音した音声動画まで出してしまったため、総務省は逃げきれず。武田良太総務相は19日、秋本芳徳情報流通行政局長と湯本博信官房審議官を20日付けで大臣官房付に異動させることを発表しました。これを各紙は「事実上の更迭」と報じましたが、果たしてそうでしょうか。

 そもそも課長以下の一般職の公務員の場合、「大臣官房付」になると管理職手当などの支給がなくなり、給料は減額になります。ところが彼らのような指定職の場合はそうはならないそうです。というのも「官職の職務と責任が特に高度であり、かつ属人的な給与がなじまない」場合には、官職毎に給与が定められているからとか。

 なんだ! 責任を解いてもらって給料そのままなんて、ある意味でパラダイスじゃないですか! しかも、このコロナ禍で、収入が減少して経済的に困っている人が決して少なくないのにですよ!

 もっとも彼らにすれば、東大法学部(秋本氏)や同・経済学部(湯本氏)を卒業した後、郵政省に入省。大蔵省や通産省よりは地味だったけれど、総務省になってから霞が関の中でそのポジションは浮上中。しかも電波利権を掌握する花形部署ですから、まさにエリート。なのに官僚生活の最終段階になって、思わぬ落とし穴に落っこちてしまった!

 とりわけ秋本氏の場合、小林史明政務官(当時)の悪口を言っていた音声が公開され、逃げ場がなくなってしまいました。今となってはものすごく後悔しているのでしょうけど、小林議員に対してはさほど後ろ冷たさを感じなくてもいいはずです。
 (4911)

とばっちりで名を売った?「イケメン」の小林議員
 だってこれで小林議員は全国的に名前を売ったじゃないですか!「独身」だとか「イケメン」だとか報道されたじゃないですか!六本木のカウンターバーで秋本氏に「一敗地にまみれろや!」と言われましたが、「お前自身が思い切りまみれているやん!」と堂々と言い返せるじゃないですか!

 なおこれを報じた週刊文春は、同じ号で自民党の白須賀貴樹衆議院議員の“パパ活”も報じ、白須賀議員を離党に追い込みました。小林議員も白須賀議員もともに2012年初当選の「魔の3回生」ですが、文春砲でそれぞれ運命が分かれたということですね。しかし、こんなことが国政の一番の話題になるということは、日本が平和である証拠なのでしょうね。
 (4912)

安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

関連する記事

関連するキーワード

投稿者

この記事へのコメント

コメントはまだありません

コメントを書く