改めて言う!! 新型コロナ《第2波》は来ない

改めて言う!! 新型コロナ《第2波》は来ない

7月27日に開催された「コロナ第2波」に関する上久保氏、小川氏、奥村康氏の記者会見の模様

無症候の風邪

小川 緊急事態宣言解除以降、東京の〝夜の街〟を中心に感染者の数が急増しています(7月14日時点)。コロナの第2波が来るのではないかと、専門家やマスコミを中心に報じられ、多くの人たちが不安を覚えている。でも、数字を見ると、死亡者数は5月中旬以降、微増、重症者に至っては減少し続けています。明らかに被害は縮小している。それなのに、経済活動をどんどん萎縮させていいものなのか。
 上久保先生は京都大学血液・腫瘍内科で故・内山卓教授(レトロウイルス学)のお弟子さんでいらっしゃった上、現在は大学でも免疫学や、臨床検査学の単位認定者も長年なさってこられました。言うなればプロ中のプロでおられます。果たして第2波は来るのでしょうか。

上久保 結論から言えばありません。

小川 それはなぜですか。

上久保 すでに私たちの多くはコロナに感染しており、免疫ができている状態だからです。

小川 いわゆる「集団免疫」ですね。上久保先生は吉備国際大学の高橋淳教授とともに、今回の日本の死亡者数が少ない理由を、そこに求めておられる。

上久保 ええ。医学者や専門家は、コロナウイルスについて誤解しています。人類誕生以来、我々とウイルスはずっと共生してきました。もともと存在しており、周期的に人に感染したり、鎮まったりします。

小川 インフルエンザとコロナウイルスの関係がそうですね。

上久保 「ウイルス干渉」という言葉があります。コロナウイルスに感染した場合、インフルエンザに感染しません。逆もまたしかりで、この周期がずっと続いてきたのです。
(Paradoxical dynamics of SARS-CoV-2 by herd immunity and antibody-dependent enhancement: https://www.cambridge.org/engage/coe/article-details/5ead2b518d7bf7001951c5a5

小川 インフルエンザやコロナウイルスは変容・変異することがある。

上久保 もともと変容・変異しやすいウイルスです。専門的な話になりますが、ウイルス細胞のまわりに「スパイク」と呼ばれる突起があります。この突起が人の組織細胞にある「ACE2受容体」に、鍵と鍵穴の関係でピタッとはまります(ウイルスと人の細胞との結合)。
 そこで人体はウイルスを異物と感じて、免疫反応を起こし、サイトカイン(免疫系細胞から分泌されるタンパク質)が出て、発熱したりします。今回の新型コロナウイルスは、この「スパイク」に変容・変異が発生したために、よりはまりやすくなった。

小川 この変容・変異はどれくらいの周期で発生しますか。

上久保 約10年に一度ですが、時に短い場合もあります。目立ったところで言えば「インフルエンザウイルスが原因」と言われるスペイン風邪が流行したのは1919年。その間にもさまざまなウイルスが流行しましたが、90年後の2009年に新型インフルエンザが流行しています。そして、2019年に新型コロナウイルスが登場した。

小川 なるほど、そういうサイクルがあるわけですか。では、そもそもコロナウイルスの特徴とは何ですか。

上久保 わかりやすく言えば「無症候の多い風邪」。「初感染」は、冬のスタートが多く、症状が数日単位であります。インフルエンザより症状は軽い場合が多いですが、時にはしつこい症状がそこそこ出る場合があります。「初感染」に引き続き、複数回の「再曝露・再感染」が1年にランダムにあります。「再曝露・再感染」は、半日程度の微熱が出て、気づかないほど無症状であることも多い。風邪と考えられているものは、その年の「初感染」と、「再曝露・再感染」の連続的なものです。現在、集団PCR検査で陽性に出ているものは、たまたま「再曝露・再感染」をとらえていますので、初感染で免疫を獲得していることから、悪化することがほぼないものです。

小川 他方、インフルエンザは高熱など明確な発症に特徴があるという事ですね。

上久保 だから、コロナウイルスの場合パンデミック化すると誰が感染しているかわかりづらいため、混乱に拍車がかかりやすいのです。エボラ出血熱の場合だと、吐血や血性の下痢、皮下出血などの症状が出るので、感染したかどうか、すぐにわかりますから隔離しやすい。

小川 つまり、今までもコロナウイルスは潜在的に流行していたわけですね。

上久保 夏風邪なんかもそう。でも、風邪をひいたからといって、PCR検査をしないでしょう。だから、誰もコロナウイルスのせいだとは知らないままで過ごしていたのです。

本記事内容に関する記者会見の模様はこちら
(7月27日開催)

ウイルスの変容・変異

小川 今回のコロナウイルスの場合、ウイルスの一般的な場所ではなく、スパイクに変容・変異が起こった。ところが欧米での死亡者数が多いのに、日本をはじめ、アジア諸国の死亡者数は大変少ない。ここまで被害に差が生じた理由は一体何なのか。

上久保 アジア諸国は、すでにコロナウイルスに対して免疫を持っていたからです。私と高橋先生で協力して、「鳥インフルエンザ情報共有の国際推進機構(GISAID)」に発表されているコロナウイルスの特性を解析したところ、「S型(先祖型)」と「K型(先祖型の変異型)」が存在していることが判明したのです(https://www.gisaid.org/)。
 この2つの型は、症状が軽く、致死率も低い。昨年11月から中国全土で、この「S型」「K型」のコロナが流行り、少し変わった風邪という程度の認識でした。ところが、12月ごろ、武漢でコロナウイルスの変容・変異が発生し「G型」が登場、一気に感染が拡大しました。それが欧米に入ったら「欧米G型」に変容・変異したのです。

小川 この「欧米G型」が重度の肺炎を引き起こし、猛威を振るったわけですね。でも、日本では、それほど大きな被害は出ませんでした。

上久保 武漢でG型が一気に流行したため、慌てた中国政府は1月23日、武漢封鎖を決断しました。その時点で武漢市民やビジネスで訪れていた人たちを含め1000万人おられましたが、封鎖の噂が流れた途端、武漢から500万人が国外脱出。
 日本には、武漢市から直行便で1月20日~2月1日までの間約34万人中国から入国しています(2月3日衆院予算委員会での森雅子法相発言より)。
 さらに、日本は武漢封鎖後の3月9日まで中国人の渡航を制限していなかった。昨年の11月から考えると、約184万人もの中国人観光客が入国されています。これによってS型とK型が到来、日本人の間で「集団免疫」に達していました。K型の免疫(細胞性免疫)はG型に対しても有効だったので、そこまで深刻化しなかったのです。

小川 S型とK型が流入したため、インフルエンザが日本では急速に終息したという相関関係を、先生は疫学的に証明されているわけですね。しかし台湾はロックダウンが早かったですが、なぜ免疫が形成されていたのかな。

上久保 封鎖する噂が出たとき、中国国内やASEAN諸国から台湾に戻る人たちが殺到しました。それは武漢封鎖時と同じような現象です。台湾も日本と同じく集団免疫に達しています。

小川 欧米では多くの死者が出たのも、ここに起因しているのか。

上久保 欧米にはS型は十分に流入しましたが、一方K型が十分に流入しなかったので、G型に対して免疫がなかったのです。また、それによりADE(抗体依存性感染増強)という現象が起きてしまった。武漢封鎖を早めてしまったのが、その原因です。さらに、特に米国ではインフルエンザが流行し、1万2000人も死亡しています。つまり「ウイルス干渉」が起こったため、K型も入りづらい状況でした。

小川 ヨーロッパも同じだと。

上久保 インフルエンザが流行っていました。また、イタリアなどは都市封鎖を迅速にしたので、K型の入る余地がなかったのです。

小川 たとえば米国では3月~5月上旬に8.5万人の死者が出ました。ところが、5月下旬~7月中旬を見ると、PCR検査数の拡充で感染者数は爆発的に増えていますが、死亡者数はグンと減っている。この数字の推移を見る限り、ウイルスと人類の間で何かしらのシステムが働いたとしか思えません。

上久保 それこそ「集団免疫」が発生したという何よりの証拠です。

小川 ところが「集団免疫理論」に関して侃侃諤諤(かんかんがくがく)、さまざまな批判の声も上がっています。その一方で、否定する専門家の皆さんは、私の知る限り、別の理論を発表しているわけでもありません。学者としてアンフェアな気がしています。

上久保 おっしゃる通りです。検証結果をしっかり出していただいて、その上で、「集団免疫理論は間違っている。この理論が正しい」と言ってくれれば、私は真摯に認めます。でも、根拠なく批判される方が多い。

何もしないが一番

小川 これからのコロナ対策はどうすればいいですか。〝夜の街〟を中心に数字がどんどん増えています。

上久保 すでに初回の感染で免疫がついている人たちの体内に、再びウイルスが入っているだけの話です。専門的に言えば、既感染者へのウイルスの再曝露ということ。PCR検査のタイミングによっては、陽性反応を示すことがある。ただ、そういった人たちの多くは若い世代で免疫ができていますから、微熱が出たり、喉が少しだけ痛くなることはあっても、重症化することはありません。

小川 ということは……。

上久保 何もしないのが一番です。従来、風邪で日本や世界において、PCR検査をしたことはなかったと思います。武漢も、新型コロナウイルスが発生したとき、大騒ぎする必要はなかったのです。

小川 放っておけばよかった。

上久保 そうです。誤解をなさらないでいただきたいが、重い肺炎患者だけ、手厚くしっかりと治療すれば何の問題もない。いずれ集団免疫に達して、コロナは終息します。むしろ、武漢は感染が拡大していることを隠蔽しなかったのが問題です(笑)。

小川 今まで、中国の隠蔽体質によって世界に感染が拡大したと言われていましたが、そういうわけではないと。

上久保 ええ。ただ、突然、街中で人が倒れたので、当局が必要以上に驚いてしまった。その映像が流布され、世界中が過剰反応したのです。また、空港が閉鎖されると、都市封鎖せざるを得ない。

小川 集団免疫達成の上で世界中が不自然な振舞をしてしまったというお考えですね。では、新型コロナウイルスは、今後どうなると先生はみておられますか。

上久保 12月までに「スパイク」の変異が終わりますから、変異ウイルスは消失します。今度は再度先祖型のウイルスが、コウモリ等の宿主から出てきて、また人間と共存することになります。そして再び10年周期くらいでスパイクに変異が起こります。ただS型から開始するスパイクの変異に年数のズレが生じることはあります。

小川 そうすると、先生の見立てでは第2波は発生しないし、来年の東京五輪も問題なく開催することができる?

上久保 渡航制限を全面解除すべきです。国内の移動も制限する必要はまったくありません。コロナ感染を無理やり止めようとするから、かえっておかしくなる。むしろ、ずっと制限し続けていたら、日本に第2波が来てしまうことだってあるかもしれません。

小川 上久保先生の声は、政府与党にも届いています。それを受けてか、7月11日、菅官房長官が「この問題(感染者数拡大)は圧倒的に『東京問題』と言っても過言ではない。東京中心の問題になってきている」と。実に示唆に富んだ発言だと思います。あえてこの発言を敷衍すれば、今や新型コロナは政治問題だという事ですね、検査をべらぼうに増やし、感染者数が増えて見え、政治家がいたずらに「心配だ、心配だ」と不安を煽るという。

上久保 高齢者だとしても恐れる必要はありません。外を出歩いていれば、コロナにかからないわけがありませんから間違いなく免疫ができています。このままコロナウイルスを恐れて、自粛生活を続ければ、日本経済は大ダメージを受け、失業者が街に溢れる。失業率が1%上昇すると、自殺者は2,400人増加すると言われています。コロナで死ぬ数より、そちらのほうが大きい。

「3密」もナンセンス

小川 「3密」も先生によれば、ナンセンスなんですね。

上久保 「清潔」という言葉の定義が誤解されています。たとえ、どんなに消毒液で手を洗ったり、拭いたりしても、医学的な観点で言えば、すべて〝不潔〟。唾などの飛沫によって菌がウヨウヨしていますから。ウイルス相手においては、私たちの日常の感覚ではなく、手術室のような無菌状態のことを「清潔」ととらえるべきです。
「3密」かどうかは関係なく、単に免疫を持っているかどうかだけです。「3密」を避けた場合は、唾に含まれるウイルスが、まさか我々を避けて飛んでくれるのでしょうか? 換気をした場合、ウイルスは窓から逃げてくれるのでしょうか? 専門家が「ウイルスは野球ボール、風船くらい大きいもの」と真面目な顔でおっしゃってる(笑)。
 最後に誤解のないように申し上げたい。BCGはオーストラリアでは行っていませんが、死者数は約100人です。オーストラリアは中国沿岸部の国々と関係が深いため、K型が入りやすく、日本と同じく免疫をもっている。
 一方、オーストラリアは白人も多い社会です。つまり、人種が原因ではない。ASEAN、中国沿岸諸国には様々な人種が存在します。HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)の影響でしょうか? カンボジアやベトナム、台湾に旅行するとわかりますが、とても密で、日本より清潔なところもあれば、不潔なところもあります。しかし、それらの諸国は日本みたいにマスクをしているでしょうか。クラスター制御をしているでしょうか。
 私は決して、自分だけが正しいとは申していません。今後、様々な「ファクターX」を積極的に検証するべきでしょう。しっかりとした理念やサイエンス、政治のもとなら、PCR検査や抗体キット、ワクチンを開発すればいいし、是非みんなで研究したらいいと思います。

小川 そうそう。是非サイエンティストには検証していただくことをお勧めします。私もそれには反対しない方が良いんだよね?(笑)

上久保 何事も反対してはいけません。みんな仲良くすべきです。

(編集部より)今回の対談は、医学的・科学的なエビデンスを盛り込んだ内容で、秋ごろ単行本を出版する予定です。
上久保 靖彦(かみくぼ やすひこ)
1967年生まれ。1996年、兵庫医科大学医学部を卒業。京都大学医学部附属病院の研修医や兵庫県立尼崎病院(現・兵庫県立尼崎総合医療センター)血液内科専攻医を経て、99年、京都大学大学院医学研究科に進学。血液・腫瘍内科学専攻を2003年3月に修了。2004年~09年まで米国立衛生研究所(NIH)ヒトゲノム研究所(NHGRI/フランシス・コリンズ所長)博士研究員。10年3月から東京大学医学部附属病院無菌治療部フロアマネージャー・東京大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学第6研究室(血液研究室)の室長。18年12月から現職の京都大学大学院医学研究科特定教授。

小川 榮太郎(おがわ えいたろう)
1967年生まれ。大阪大学文学部卒業、埼玉大学大学院修了。第18回正論新風賞を受賞。『小林秀雄の後の二十一章』『約束の日──安倍晋三試論』(ともに幻冬舎)、『平成記』(青林堂)など著書多数。最近著は『フルトヴェングラーとカラヤン──クラシック音楽に未来はあるのか』(啓文社書房)。社団法人日本平和学研究所理事長。

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この記事へのコメント

ニモ 2020/9/9 19:09

デイリーウイルオンライサンは立派です。
真実は1つ、緑のタヌキわかりましたか?

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