山口敬之:再燃する「日本学術会議問題」に学ぶ―共産主義...

山口敬之:再燃する「日本学術会議問題」に学ぶ―共産主義と戦う方法

「断続的で飽きっぽい」民主主義 vs「継続的で辛抱強い」専制主義

 「民主主義は断続的で飽きっぽく、人を許しやすい」
 「専制主義は継続的で辛抱強く、他者を決して許さない」

 今、アメリカのバイデン政権内の複数部門では、こうした「民主主義」と「専制主義」の特徴や長所・短所を巡る議論が、真剣に交わされているという。

 それは、バイデン大統領の2つの演説と関係している。バイデンは1/20に就任して2ヶ月が過ぎた3/26、ようやく初記者会見を行った。最も注目を集めたのが次の発言だった。

 「(習近平国家主席は)頭のよい人だ。民主主義は機能せず、専制主義がこれからの潮流だととらえている」
 「21世紀における、民主主義と専制主義との闘いだ」

 そして専制主義の中国に打ち勝っていくために、

 ・国内の労働者や科学分野への投資を通じた最先端技術の強化
 ・日本など同盟国との関係の再構築
 ・自由、人権といった価値観の追求

 という3点の重要性を強調した。

 さらに先月イギリスのコーンウォールで行われたG7サミット閉幕に当たっても、こんな発言をした。

 「我々民主主義国家は、世界の専制的な政府と、急速に変化する21世紀に、どちらがよりうまく順応できるかを争っている」
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G7でも「対専制主義」について話し合われた
 バイデンは、中国やロシアを念頭に、民主主義体制が勝つか、専制主義体制が勝つかの瀬戸際にあるとの認識を繰り返し示しているのだ。

 アメリカ政府が「民主主義vs専制主義」の闘いに本気になっているのは、昨年来のコロナ禍で、アメリカの政府中枢にまで親中派が浸透・跋扈し、肝心のウイルスの起源についてまで、中国に都合の悪い情報が隠蔽され圧殺されてしまったという、痛恨の事態が明らかになったからだ。

 現在アメリカ政府内で行われている「対専制主義」「対共産主義」の議論は、大きく2つの柱に分かれているという。

 一つは、「中国共産党を分断する手段はないか」という事。もう一つは、共産主義をはじめとする専制主義の強みと、民主主義の弱みを虚心坦懐に見つめ直そうという抜本的なものである。
 後者の議論の中で注目されているのが、共産主義陣営の、数十年にも及ぶ息の長い対外侵略・浸透戦略だ。 

 バイデン政権の危機感は、アメリカにとどまらない。自由主義中国共産党は、日本、オーストラリア、ニュージーランドなど自由主義陣営の社会に橋頭堡を築き、政界、官界、財界はもちろん、学術、教育、メディアなどあらゆる社会の構成要素にシンパを送り込み、意のままに操ろうとしている。

 ワシントンの有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が2020年7月末に公表した「日本における中国の浸透工作」と題する調査報告書は、日米中の外交関係者の注目を浴びた。

 報告書は、中国の統一戦線工作部などの諸機関が日本に対してどのように影響力を行使し、どのような結果を得ているのかなどについて詳述している。

 日本には中国共産党の影響下にある組織・機関が数多く存在すると指摘。例えば創価学会・公明党は、歴史的結びつきや思想的背景から、中国に同調的であり、憲法9条を維持して日本に強い軍隊を持たせないという中国の目的のために、公明党が有効に機能していると指摘された。

 また、日本にある孔子学院、日中友好協会、貿易協会、日本文化交流協会などが、中国の統一戦線工作部の出先機関だと断定している。1970年代のの新左翼から本格化した中国共産党の対日工作は、今や日本のありとあらゆる階層にまでその食指を伸ばし、今や保守政権の中枢まで浸透が進んでいるというのである。

 このコンテクストで、昨年大きな議論を呼んだのが、日本学術会議である。
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共産主義には「執拗さ」と「計画性」がある

再燃する日本学術会議問題

  菅政権発足直後の昨年9月、日本学術会議が推薦した会員候補の内の6名が、政府によって任命拒否された。
※参考記事 『【日本学術会議】任命拒否された6名はこんなヒト

 拒否された6人は今日(7/9)、拒否の理由を記した文書を不開示とした今年4月の政府決定に対して、不服申し立てをする方針を明らかにした。

 任命拒否された内の一人、東京大学の加藤陽子教授は「学術会議の自律性保障ー日本側が磨いた学問の自由」との論文を発表するなど、学術会議側は「菅首相の任命拒否は憲法23条が保証した学問の自由を脅かすものだ」との論陣を張っている。

 この問題は、一時は新聞やテレビを賑わせた大論争に発展したが、コロナ禍もあってそのうちにあまり扱われなくなり、かと言って6名は任命拒否されたままで、宙ぶらりんの状態が続いていた。

 そんな中で「任命拒否6人組」が不服申し立てというアクションを起こしたわけで、政府の決定が「学問の自由の侵害」に当たるかという論点で、論争が続いていくことになる。
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任命拒否された6名。左上より時計回りで
・宇野重規氏
・岡田正則氏
・小沢隆一氏
・芦名定道氏
・松宮孝明氏
・加藤陽子氏
via 全てyoutubeより

「ラムザイヤー論文問題」で日本学術会議を追及する藤岡信勝氏

 保守論壇も大手メディアも、すっかり日本学術会議問題から遠ざかっている中、今年5月から、ある一人の学者が、興味深い闘争を始めた。元東京大学教授で教育評論家の藤岡信勝氏である。

 藤岡氏が注目したのはハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤー教授の学術論文である。
 
 ”Contracting for Sex in the Pacific War”(太平洋戦争における性サービスの契約)と題したラムザイヤー論文は、日本軍慰安所の慰安婦が業者と交わしていた年季奉公契約を、経済学におけるゲーム理論を用いて分析した学術論文であり、査読等の審査を経て権威ある学術誌に掲載された。

 ところが今年1月、これを知った韓国の慰安婦関係団体などが反応し、アメリカ在住の韓国系学者たちが主導してラムザイヤー教授を糾弾する動きが起こし、親韓派学者が連名で論文の「撤回」を要求する呼びかけを行った。

 藤岡氏が注目したのは、ラムザイヤー論文が正式な手続きを経て学術誌に採用されたにも関わらず、ラムザイヤー論文を批判する署名活動が「非学術的な」「頭ごなしの撤回要求」だった事だ。

 本来学術論文は、その内容の正誤や剽窃の有無など、論文としての信頼性と価値によってのみ批判されるべきで、政治的理由など非学術的な動機による撤回要求は、「学問の自由」に対する重大な侵害行為である。

 そこで藤岡氏は6/3、日本学術会議に公開質問状を送った。そこにはこう書かれていた。
 「ラムザイヤー教授に対しては、論文の論旨とは関係のない個人攻撃・人格攻撃が公然となされ、主に韓国から多数のヘイト・レターが送付され、教授の生命を狙う脅迫状までもが送りつけられています。一篇の学術論文を書いただけで、学者が生命の危険にさらされるとは、まさに全体主義の風潮そのものであり、自由な社会において断じて許されるものではありません。」

  「そもそも、ラムザイヤー教授は、法と経済の分野で国際的にも知られた第一級の研究者であり、多数の著書が日本語にも翻訳されています。幼少期から日本に在住し、日本の小学校を卒業した教授は、日英両語を自由に駆使し、日本を対象とした研究を多数発表してこられました」

  「いかなる論文についても、それに対する批判は自由です。しかし、論文に対する批判は論文によってなされるべきであり、趣旨に反対であるからといって、特定の論文の存在自体を、数を頼んで抹殺するよう要求することは、当該研究者の「学問の自由」を著しく侵害する許されない行為であるばかりでなく、自由な議論を通じて真理を追究するという学問研究のルールを真っ向から否定するものです。それによって、学問研究自体の存立基盤そのものを奪うことになります。」

 「日本政府もこの件につき、すでに見解を表明しております。すなわち、本年3月22日、有村治子議員が参議院文教科学委員会でラムザイヤー教授が迫害に遭っている問題状況に関して質問したのに対し、萩生田光一文部科学大臣は、『研究者が外部から干渉されることなく、自発的かつ自由に研究活動を行い、その成果を自由に発表することは尊重されるべき』であると明確に答弁しています。」

 「日本学術会議におかれましても、このような『学問の自由』の侵害や学問研究の存立根拠そのものを奪う事態については当然大きな関心を払い、一定の危機感を共有していることと信じます。」
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「学問の自由」を威力により侵害されているラムザイヤー教授
via yahooニュース

理路整然と攻めよ

 その上で藤岡氏は、日本学術会議に3つの質問をぶつけた。

 【質問 1】
 日本学術会議の「学問の自由」に関わる一般的姿勢についてお伺いします。学術共同体の真理探究の方法として、学術論文として表明された学説に対する批判は、
 (1)学術論文を通した反論によって遂行されるべきであると考えますか。それとも、
 (2)反対者の人数 や外部からの圧力によって撤回を強いて異説を封じるという形態も、学術共同体の真理探究の方法として、認容されるとお考えですか。

 【質問2】
 前項の質問へのご回答は今回のラムザイヤー論文に対しても適用されると考えてよろしいでしょうか? もし異なる場合は、今回のラムザイヤー論文においていかなる特殊事情があるのか、ご明示ください。

 【質問3】
 論文の撤回要求という「学問の自由」の根本に関わる、本事案に関して、今まで日本学術会議として何の見解も表明してこなかったのは、いかなる事情によるものでしょうか。
 藤岡氏の理路整然とした公開質問状に対して、日本学術会議会議側からの回答はなかった。

 6/24に開かれた日本学術会議の記者会見では、この件に関する記者の質問に対し、
 「ラムザイヤー論文問題は、学術の観点から検討されるべきだと、私どもは考えております」とのコメントを出した。

 本当に日本学術会議が「学術の観点から検討されるべき」と考えているのであれば、学術に立脚しない撤回要求に対して反対の立場を明確にするのが、学問の自由を尊重する団体の取るべき態度だろう。

 しかし、日本学術会議はそうしたアクションを一切取らず、ホームページにも「ラムザイヤー論文問題は、学術の観点から検討されるべき」というコメントすら載せていない。

 すなわち日本学術会議は、ラムザイヤー教授の「学問の自由」が深刻に蹂躙されているにもかかわらず、積極的に守っていく姿勢を全く示していないのだ。
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藤岡信勝氏
via youtube

攻撃の手を緩めない

 しかし、藤岡氏はただ手をこまねいて学術会議側の回答を待っていたわけではなかった。回答を待っている間に、日本学術会議の連携会員が、「学問の自由の侵害」に加担していた事実を突き止めたのだ。

 藤岡氏は7/9に再度学術会議にむけた公開質問状を出した。その中でこう述べている。

 「日本学術会議連携会員の中に複数名、ラムザイヤー論文への撤回要求運動に賛同し、署名している研究者がいる。」
 「Web サイトに掲載された 署名者のリストを調べた結果、日本学術会議連携会員で署名したのは、次の 3 氏であるこ とが判明しました(掲載順、敬称略)。
 ・駒澤大学教授 姉歯暁
 ・東京大学教授 松島斉
 ・明治大学教授 西川伸一 」

 「日本学術会議連携会員は、日本学術会議法第十五条第二項の定めにより、日本学術会議会長が任命した者です。さらに日本学術会議会則の第十五条には、手当を給付することも定め られています。」

 「日本学術会議が学術論文の撤回要求運動を明確に否定せず、上記のとおり事実上黙認する態度に出たのは、会長が任命した日本学術会議の連携会員の中に学術論文の撤回要求運動に参加している者がいることを踏まえたからではないかと推測されます。もしそうだとすれば、日本学術会議は学術論文の撤回要求運動に加担していることになります。これは国費で賄われている日本学術会議として決してあってはならないことです。」

 首相の任命拒否に対して「学問の自由が侵された」などとして激しく反発した日本学術会議は、自身の連携会員による、他の学者に対する「学問の自由の侵害行為」についてどう釈明するだろうか。
 
 藤岡氏の2つの公開質問状は、まさに日本学術会議の「痛いところ」をついたのである。

活動家にだけ都合のいい「学問の自由」

 日本学術会議のニュースは、菅政権発足直後は大手メディアが大きく扱った事もあり、リベラルサイドでも保守サイドでも様々な議論を呼んだ。

 大手メディアとリベラルサイドの言論人は、「菅政権による学問の自由の侵害だ」というトーン一本槍であった。

 例えば、今年1月には『学問の自由が危ない』と題する本が緊急出版された。
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リベラル一本槍のメディア界?
via 著者提供
 本の宣伝文句には、こう謳われている。

 「菅義偉首相による日本学術会議会員への被推薦者6名の任命拒否は、学問の自由と独立性を侵害する重大な危機につながる行為」

 この本を書いた東大名誉教授の上野千鶴子氏や神戸女学院大学の内田樹氏など3人の学者は、ラムザイヤー教授の学問の自由についてはどういう見解なのだろうか。

 首相が任命を拒否した6人の学者は、その後も以前と変わらず自分のしたい研究に従事しているのであって、学問の自由を奪われたり、奪われそうになった事実は全くない。

 ところがラムザイヤー教授は、発表した学術論文に関して、学術的な論争を経ないまま有無を言わさぬ撤回要求を突きつけられ、ハーバード大学には解任や懲戒を求める声も殺到した。これほど「学問の自由が危ない」事態は他にあるまい。

 ところが、上野氏や内田氏が、「ラムザイヤー教授の学問の自由を守れ」という本を出したり、そういう運動を主導したりしたという話は、寡聞にして聞かない。

 自分の都合の良い時だけ学問の自由を振りかざし、ラムザイヤー教授の学問の自由は蹂躙されても構わないというのであれば、上野千鶴子氏や内田樹氏にとっての「学問の自由」とは、単なる方便に過ぎないと断定せざるを得ない。そして、特定の政治集団や外国勢力と連携して日本の言論界を歪める、学者の皮を被った活動家だという事になる。

「飽きっぽい」「粘着しない」という保守の弱点

 一方保守サイドは任命拒否問題に関して、「日本学術会議は国の機関でありながら日本共産党や中国の強い影響下にある事が明らかになった」として、「赤い学術会議問題」として捉えた。

 産経新聞は当時、社説でこう書いた。

 「学術会議が抱える根本問題は、国民を守る自衛隊の抑止力の向上を妨げてきたことだ。平成29年の声明で、軍事科学研究を「絶対に行わない」とした過去の声明の継承を宣言した。これにより、防衛省予算で軍民両用技術研究を助成する「安全保障技術研究推進制度」への大学、研究機関の応募が激減した。研究者の学問・研究の自由を脅かすものでもある。その異常性を自覚すべきだ。」
 「軍事忌避を学術会議が続ければ日本を侵略したり、威嚇したりしようという悪意を持つ国の政府、軍が喜ぶばかりだ。学術会議は長年にわたる軍事忌避という反国民的姿勢を猛省し、直ちに改めてほしい。」

 至極もっともな意見であり、学術会議そのもののあり方に対する重要な問題提起だったが、コロナ禍のニュースに掻き消されて議論自体下火になってしまった。

 保守論壇が攻撃の手を緩めた事もあって、日本学術会議はその後、210人の定員の内任命拒否された6人を除いた204人の会員によって、何事ももなかったかのように運営が続けられている。

 このまま行けば、せっかく問題点が浮き彫りになった「赤い日本学術会議」は、保守層の飽きっぽさに救われて、赤いまま日本のアカデミアに君臨し続けるのだろう。
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日本学術会議は軍事科学研究は「一切行わない」という―

政府も専制主義・共産主義に"しぶとく"対抗せよ

 しかし、藤岡氏は違った。昨年9月の「任命拒否問題」以降日本学術会議に対して抱いた疑問符を忘れず、「何とかしなければならない」という危機感を持ち続けていたからこそ、ラムザイヤー論文問題における「学問の自由の侵害」を起点に、日本学術会議の自己矛盾を鮮やかに浮き彫りにした。

 藤岡氏は、1963年に日本共産党に入党した経験を持っている。今では共産主義思想と決別し、「新しい歴史教科書を作る会」で中心的な役割を果たすなど、保守派の重鎮として活躍している。

 しかし、共産党員としての経験を持ち、共産主義のしぶとさ、陰湿さを知り抜いた藤岡氏だからこそ、日本学術会議の本質的問題点を炙り出せたとも言える。

 ここからは菅首相の出番だ。就任直後に任命拒否という異例の決断をしたのも、菅首相が「日本学術会議のあり方には問題が多い」と判断したからに他ならない。

 それならば、藤岡氏の提起した論点をしっかり受け止め、これをテコに日本学術会議の抜本改革を断行するのが、首相の責務である。

 「民主主義は断続的で飽きっぽく人を許しやすい」。バイデン政権下で行われている民主主義の総括を克服できるか。菅首相の真価が問われている。
山口 敬之(やまぐち のりゆき)
1966年、東京都生まれ。フリージャーナリスト。
1990年、慶應義塾大学経済学部卒後、TBS入社。以来25年間報道局に所属する。報道カメラマン、臨時プノンペン支局、ロンドン支局、社会部を経て2000年から政治部所属。2013年からワシントン支局長を務める。2016年5月、TBSを退職。
著書に『総理』『暗闘』(ともに幻冬舎)がある。

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