【朝香 豊】新型コロナ:指定感染症2類の維持は愚策だ

【朝香 豊】新型コロナ:指定感染症2類の維持は愚策だ

指定感染症の扱いを外すことで、医療現場が助かる可能性も

2類感染症である必要はあるのか?

 新型コロナウイルス感染症を巡って、政府の対応が迷走している。

 統計的なデータから見て、新型コロナウイルス感染拡大とはほぼ無関係であることがわかっているGoToトラベル事業が12月28日から一斉停止となった。また、12月17日に厚生労働省は新型コロナウイルス感染症の指定を1年間延長することを決めた。12月28日からは全世界からの外国人の新規入国を原則停止にした。

 いずれも新型コロナウイルス感染症が国民の健康・生命に重大な危険を及ぼすという前提からであり、政府は新型コロナウイルス感染症を指定感染症の2類以上相当の扱いから外す動きにはないようだ。

 だが、その前提は現実に即したものなのか。

 ちなみに1類感染症に指定されているのは、エボラ出血熱とかペストなどで、2類感染症に指定されているのは、SARS(重症急性呼吸器症候群)とか結核などだ。

 2類以上相当というのは、SARSなどと同じような扱いをするということだ。そしてそれは病院や保健所にそのレベルの厳格な対応を求めることを意味する。

 例えば一般の患者と新型コロナウイルス感染症を疑われる人では動線から厳格に分ける必要がある。新型コロナウイルス感染症の患者が触れたシーツやタオルは、病院内で消毒をしないと外に出せない。新型コロナウイルス感染症患者の病棟のゴミを清掃業者が集めることができず、担当の看護師がゴミの廃棄をしなければならない。病院食の配膳も新型コロナウイルス感染症患者の病棟だと担当の看護師が行わなければならない。全ての作業は防御服を着た状態で行わなければならず、通気性の低い防御服は蒸れやすい。アイガードもすぐに熱気で曇ってしまう。手袋も何重にもしなければならない。専門病棟で働く医師や看護師の負担は甚だ大きい。
【朝香 豊】新型コロナ:指定感染症2類の維持は愚策だ

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閑散とする空港

マスコミを恐れて迷走する政府

 ところで厚生労働省によれば、新型コロナウイルス感染症で重症化する人の割合は、50歳代以下で0.3%、60歳代以上で8.5%となっている。少なくとも60歳未満であるならほとんど命に影響しないものだ。このレベルのものを2類相当以上として扱い続けるのをどうしてやめないのか。5類感染症に変更しさえすれば、病院での特別扱いは必要なくなり、盛んに叫ばれる医療崩壊の危険は完全になくなるのにだ。

 看護師が子供を保育園に通園させるのが難しくなっているといった話もあり、激務から職場を去る看護師も出ている。現在でも看護師は数が不足気味で、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる令和7年に6万~27万人不足するとの見通しが立っている。この中でこうした事態を招いているのは笑えない現実だ。

 12月8日に全国保健所長会が厚労大臣宛てに、新型コロナウイルスの指定感染症(2類相当以上)の扱いを解除してもらいたいとの「緊急提言」を送った。

 マスコミを恐れて正しい政治ができない状態からそろそろ脱却してみてはどうだろうか。政府は袋叩きにあうことを恐れているのだろうが、逆に国民からの支持が集まるのではないだろうか。日本国民はきちんと話をして理屈がわからない国民ではないだろう。
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朝香 豊(あさか ゆたか)
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」( https://nippon-saikou.com )の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。

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