ファウチ所長が今さら「自然発生」に自信ナシ
新型コロナウイルスの起源について、アメリカでは急激に風向きが変わってきた。
昨年、アメリカ大統領選挙が激戦と化していた頃に、新型コロナウイルスは中国の武漢ウイルス研究所と関わりがあるのではないかと指摘すると、たちまち「ファクトチェッカー」から根拠のない陰謀論であると指摘され、SNS上の投稿が強制的に削除されたり、アカウントの停止が相次いだことは、記憶に新しい。
香港大学でコロナウイルスの研究を行っていて重大な事実に気がつき、これを公表するためアメリカに亡命した閻麗夢博士が、FOXニュースの番組で上記のような主張を行ったことについて、アメリカを代表するファクトチェッカーサイト「ポリティファクト」が「すでに虚偽であることが証明された陰謀論を主張した」と認定したことも忘れるべきではない。
ところが最近になって、この点に関する雲行きが随分と変わってきた。
「ポリティファクト」のケイティ・サンダース副編集長がアメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長に「新型コロナウイルスの起源については、いまだにモヤモヤしたものが多くありますが、ウイルスが自然に進化したことに今なお自信をお持ちですか?」と尋ねたところ、ファウチ所長は「実はありません」と答えたのである。
ファウチ所長は「私はそれには確信が持てていません。我々は力の限り何が起こったのかを探求し続け、中国で起こったことの調査を続けるべきではないでしょうか」「確かに過去調査にあたった人たちは、このウイルスが動物の体内で進化をして人間にも感染するようになった見込みが高いと述べていますが、そうではなかったかもしれません。私たちはそれを解明する必要があります。私がウイルスの起源を調べる調査に完全に賛同する理由はそれです」と述べている。
このファウチ所長の発言を受けて、「ポリティファクト」は先に書いた閻麗夢博士に関するファクトチェックを取り消した。
昨年、アメリカ大統領選挙が激戦と化していた頃に、新型コロナウイルスは中国の武漢ウイルス研究所と関わりがあるのではないかと指摘すると、たちまち「ファクトチェッカー」から根拠のない陰謀論であると指摘され、SNS上の投稿が強制的に削除されたり、アカウントの停止が相次いだことは、記憶に新しい。
香港大学でコロナウイルスの研究を行っていて重大な事実に気がつき、これを公表するためアメリカに亡命した閻麗夢博士が、FOXニュースの番組で上記のような主張を行ったことについて、アメリカを代表するファクトチェッカーサイト「ポリティファクト」が「すでに虚偽であることが証明された陰謀論を主張した」と認定したことも忘れるべきではない。
ところが最近になって、この点に関する雲行きが随分と変わってきた。
「ポリティファクト」のケイティ・サンダース副編集長がアメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長に「新型コロナウイルスの起源については、いまだにモヤモヤしたものが多くありますが、ウイルスが自然に進化したことに今なお自信をお持ちですか?」と尋ねたところ、ファウチ所長は「実はありません」と答えたのである。
ファウチ所長は「私はそれには確信が持てていません。我々は力の限り何が起こったのかを探求し続け、中国で起こったことの調査を続けるべきではないでしょうか」「確かに過去調査にあたった人たちは、このウイルスが動物の体内で進化をして人間にも感染するようになった見込みが高いと述べていますが、そうではなかったかもしれません。私たちはそれを解明する必要があります。私がウイルスの起源を調べる調査に完全に賛同する理由はそれです」と述べている。
このファウチ所長の発言を受けて、「ポリティファクト」は先に書いた閻麗夢博士に関するファクトチェックを取り消した。
米議会も「武漢起源」の方向へ
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長も、新型コロナウイルスの発生源が武漢ウイルス研究という主張は、一つの可能性として存在することを5月19日に行われた上院の公聴会で発言した。
またウォール・ストリート・ジャーナルも、武漢ウイルス研究所の研究者3人が2019年11月に病院で治療が必要になるほど体調を崩していたことが、未公開の米情報機関の報告書で明らかになったと報じた。
米下院情報特別委員会も「新型コロナウイルスと武漢ウイルス研究所」と題した詳細なレポートを発表し、この中で武漢ウイルス研究所から漏出することでコロナウイルスが始まったことを示す重大な状況証拠が存在することを示している。その状況証拠に、
①中国では研究所からウイルスが漏洩して人に感染する事態がこれまでも何度もあること、
②早くも2017年には武漢ウイルス研究所が必要な安全性確保のプロトコルを守らずに危険なコロナウイルスの研究を行っていると、中国駐在のアメリカの外交官たちが何度も警告をしていること、
③人間にかかりやすくするようにウイルスに変異を起こさせる機能獲得型研究が武漢ウイルス研究所で行われていたこと、
④武漢ウイルス研究所には中国人民解放軍が関与しており、生物兵器計画があったことは文書に残っていること、
⑤新型コロナウイルスが広がった実際の状況を隠そうと中国政府が何度も動いていること
などをあげている。
そのうえで、中国政府が完全に信頼できる調査を邪魔していること自体が研究所からの漏出説を裏づける圧倒的な状況証拠だという、中国政府に対する痛烈な皮肉を述べている。
一方、今回のウイルスが他の生物を介して人間に自然と感染するようになったとする中国政府の見解を支持できる状況証拠がないに等しく、そもそも人間に感染させた動物の特定さえもできていないことも、報告書は指摘している。
またウォール・ストリート・ジャーナルも、武漢ウイルス研究所の研究者3人が2019年11月に病院で治療が必要になるほど体調を崩していたことが、未公開の米情報機関の報告書で明らかになったと報じた。
米下院情報特別委員会も「新型コロナウイルスと武漢ウイルス研究所」と題した詳細なレポートを発表し、この中で武漢ウイルス研究所から漏出することでコロナウイルスが始まったことを示す重大な状況証拠が存在することを示している。その状況証拠に、
①中国では研究所からウイルスが漏洩して人に感染する事態がこれまでも何度もあること、
②早くも2017年には武漢ウイルス研究所が必要な安全性確保のプロトコルを守らずに危険なコロナウイルスの研究を行っていると、中国駐在のアメリカの外交官たちが何度も警告をしていること、
③人間にかかりやすくするようにウイルスに変異を起こさせる機能獲得型研究が武漢ウイルス研究所で行われていたこと、
④武漢ウイルス研究所には中国人民解放軍が関与しており、生物兵器計画があったことは文書に残っていること、
⑤新型コロナウイルスが広がった実際の状況を隠そうと中国政府が何度も動いていること
などをあげている。
そのうえで、中国政府が完全に信頼できる調査を邪魔していること自体が研究所からの漏出説を裏づける圧倒的な状況証拠だという、中国政府に対する痛烈な皮肉を述べている。
一方、今回のウイルスが他の生物を介して人間に自然と感染するようになったとする中国政府の見解を支持できる状況証拠がないに等しく、そもそも人間に感染させた動物の特定さえもできていないことも、報告書は指摘している。
トランプ前大統領は正しかった
また、この報告書はアメリカ政府や学術機関のあり方についても問題にしている。すなわち、武漢ウイルス研究所での機能獲得型研究に協力していたのではないかとの疑いを提起しているのである。アメリカ政府がNPO法人の「エコ・ヘルス・アライアンス」を通じて740万ドルの資金を武漢ウイルス研究所に渡していたが、この武漢ウイルス研究所への資金提供にはアメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)が関わっており、ファウチ所長の関与もあったのではないかと指摘されている。
一連の流れを見ていくと、米下院情報特別委員会の報告書が仕上がり、武漢ウイルス研究所が起源ではないかとの立場で議会がまとまってきたのを受けて、これに抵抗することは難しいと判断して、ファウチ所長もこれを認める方向に転換したように見える。
大統領選挙の際には、トランプ大統領の主張につながるこうした発言を封じていたが、大統領選挙から半年が過ぎて、こういう主張を抑え込む必要性がなくなったということかもしれない。
いずれにせよアメリカ国内の公式的な立場が武漢ウイルス研究所起源説の側に大きく動いているのは間違いない。外堀がどんどん埋まっていく中で、本質的には中国に甘い姿勢を示してきたバイデン政権のあり方も変容を求められることになるかもしれない。ブリンケン国務長官は「未来志向」から今回のコロナウイルスのパンデミックに関して中国に対して懲罰的処置は取らない姿勢を示してきたが、ウイルスの武漢ウイルス研究所起源説を採用せざるを得ない状態になった時に、従来の姿勢を保つことはできるのだろうか。今後の展開が面白くなってきた。
一連の流れを見ていくと、米下院情報特別委員会の報告書が仕上がり、武漢ウイルス研究所が起源ではないかとの立場で議会がまとまってきたのを受けて、これに抵抗することは難しいと判断して、ファウチ所長もこれを認める方向に転換したように見える。
大統領選挙の際には、トランプ大統領の主張につながるこうした発言を封じていたが、大統領選挙から半年が過ぎて、こういう主張を抑え込む必要性がなくなったということかもしれない。
いずれにせよアメリカ国内の公式的な立場が武漢ウイルス研究所起源説の側に大きく動いているのは間違いない。外堀がどんどん埋まっていく中で、本質的には中国に甘い姿勢を示してきたバイデン政権のあり方も変容を求められることになるかもしれない。ブリンケン国務長官は「未来志向」から今回のコロナウイルスのパンデミックに関して中国に対して懲罰的処置は取らない姿勢を示してきたが、ウイルスの武漢ウイルス研究所起源説を採用せざるを得ない状態になった時に、従来の姿勢を保つことはできるのだろうか。今後の展開が面白くなってきた。
朝香 豊(あさか ゆたか)
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。