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あべ しんぞう
1954年、東京都生まれ。93年、衆議院議員当選。自由民主党幹事長、内閣官房長官などを歴任し、2006年、戦後生まれで初の内閣総理大臣に就任。12年、第96代内閣総理大臣として再登板を成し遂げる。20年、辞任。著書に『新しい国へ』(文春新書)、『日本よ、咲き誇れ』(百田尚樹氏との共著、ワック)などがある。対談集『安倍晋三 時代に挑む!』(ワック)が刊行。
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さくらい よしこ
ベトナム生まれ。ハワイ州立大学卒業後、「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙東京支局勤務。日本テレビニュースキャスター等を経て、現在はフリージャーナリスト。国家基本問題研究所理事長。『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』(中央公論社)で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『日本の危機』(新潮社)など一連の言論活動で菊池寛賞受賞。第26回正論大賞受賞。

先見性と実行力

櫻井 「あと3年くらいは大丈夫」と私には言っていらした葛西敬之さんが亡くなられました。葛西さんは旧国鉄の分割・民営化を主導され、その後も長年にわたりJR東海の社長・会長を務められました。本当に素晴らしい仕事をなさった。
安倍 素晴らしい経営者であると同時に、「国士」でもありました。体の重心につねに国家を置き、安全保障や宇宙政策、経済から教育まで、様々な問題に取り組まれた。入院中の葛西さんに3度お会いしましたが、「人生に思い残すことはないが、日本の行く末が心配だ」と。最期まで日本の将来を案じておられた。
櫻井 葛西さんは第2次安倍政権時代、集団的自衛権の行使容認に向けた有識者会議のメンバーでしたね。
安倍 野党やメディアから猛批判を浴びながらも、平和安全法制の成立に漕ぎつけることができたのは、葛西さんが議論をリードしてくれたおかげです。「このままでは日米同盟は危険な状況になる。それを防ぐためにも、集団的自衛権の行使を可能にしなければならない」と訴えていた。先見性と実行力に長(た)けた方でした。
櫻井 葛西さんは安倍総理のことが大好きでした。事あるごとに「安倍さんは歴史観、国家観が素晴らしい。安倍さんがいる限り、日本は方向性を誤らない」と。ベタ惚れでしたね。
安倍 第1次安倍政権では「教育再生会議」で委員を務めてもらいました。持病が悪化して私が首相を辞任した後も、様々なアドバイスをいただいた。第2次政権で私が復活したときは、「何事も諦めないことが大切だな」と喜んでくださった。
櫻井 葛西さんは長期的な視点、かつ大きなスケールで将来を見据えておられました。最後の対談(『WiLL』2022年1月号「太平の眠りから覚めよ、日本!」)では、米中対立が激化するなかで、宇宙空間が覇権争いの主戦場になると指摘されていました。
安倍 葛西さんは晩年、政府の宇宙政策委員会で委員長を務められた。宇宙への情熱は人一倍、強いものがあった。
櫻井 葛西さんの案内で超電導リニアに試乗したことがあります。同乗者のなかには、宇宙飛行士の方もいらっしゃった。実際に宇宙に行かれた人たちとの話は夢にあふれ、葛西さんも含めて科学や技術の力で新しい地平を切り開く話をしました。聞いているだけでワクワクしました。(続きは本誌にて!)
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『WiLL』2022年8月号(6月24日発売!)
◎『WiLL』2022年8月号目次
安倍晋三・櫻井よしこ:■葛西敬之JR東海名誉会長を偲(しの)びつつ 防衛費GDP比2%は独立国家の覚悟の証(あかし)だ/河野克俊:米ミサイル配備で中国の野望を挫(くじ)け/平井宏治:疑惑の上海電力 浮上した金脈と人脈
中国が仕掛けるハイブリッド戦争 付 上海電力関連人脈 北尾吉孝・竹中平蔵/大高未貴:米海兵隊岩国基地を包囲するメガソーラー 付 上海電力関連人脈 林芳正外相・山口県議会の〝ドン〟/北村 滋・平井宏治:中国の野心 警戒なき日本 トヨタ・ソニー・ソフトバンクは大丈夫か/片山さつき・有本 香:北海道 中国資本の土地買い その先に自衛隊の施設/阿比留瑠比:ステルス岸田、幸運の星に恵まれて/高市早苗:「岸田内閣が無為無策」という虚構/ 飯山 陽・岩田 温:帰ってきた「魔女・重信房子」―日本赤軍は死んだフリ/武藤正敏・髙山正之:オモテでニコニコ ウラで対日軍備増強 韓国はナニ考えてンだ!!

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