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10月13日、北京市内の高架橋に「独裁の国賊、習近平を罷免せよ」などと大書した横断幕が掲げられた
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 中国共産党大会の開幕を3日後に控えた10月13日、北京市内の高架橋に「独裁の国賊、習近平を罷免せよ」などと大書した横断幕が掲げられた。
 当局が慌てて撤去したものの、SNSなどで画像が拡散し、国際的なニュースとなった(中国内ではまもなく閲覧不能の措置が取られた)。
 決死の行為に出た勇士は、その場で当局に拘束され、車で連れ去られた。

 日本をはじめ自由主義国なら、せいぜい道路交通法違反で注意処分程度の話である。しかし、習近平神格化を進める中国では、「仲間の名前を全て言え」等々の拷問を経たうえで、重罪に問われるだろう。
 米国に亡命した中共中央党校の元教授、蔡霞(さいか)氏によると、実行者(男性)は「彭載舟」のハンドルネームを持つ彭立発氏だという。何とか生き永らえ、解放の時を迎えられるよう、支援していかねばならない。国際社会が声を上げなければ、獄中で虐待死に追い込まれるだろう。
「国賊」といえば、日本でも、自民党議員でありながら左翼に迎合し、国葬儀をボイコットした村上誠一郎氏が、安倍元首相を「国賊」とまで呼び、さすがに党規違反に問われた。
 相当な覚悟があっての発言かと思いきや、党紀委員会が迫った段階で、お座なりな「謝罪文」を提出するなど党籍に未練を見せた。卑小というほかない。

 厳正に臨むはずだった党紀委の方も、「党員資格停止や除名といった厳しい処分を求める意見が大半だった」にもかかわらず、結局「1年間の役職停止」という大甘な措置でお茶を濁(にご)した。
「国賊」発言から処分に至る全過程を通じて、何の本気度も感じさせないサル芝居に終始したと言わざるを得ない。当然、中露・北朝鮮などは、ますます自民党を舐めて掛かってくるだろう。
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無責任かつ身勝手、「志位滅裂」の志位和夫委員長
現在、日本国内の反安倍勢力中、世代的に最も大きな塊を成すのは、1960年代末に「全共闘運動」にいそしんだ「高齢者アベガー」たちだが、こちらも精神的ユルさが目立つ。
 当時はアメリカでも学園紛争が盛んだったが、ベトナム戦争への徴兵に対する命懸けの抵抗という面があった(今ロシアがそうなりつつある)。ベトナムでは、最終的に米兵5万8000人が死亡、28万8000人が重傷を負っている。

 安全地帯でのサル真似に過ぎない全共闘の革命遊びとは違った。彼ら日本の左翼学生は「安保粉砕」を叫んだが、その実、自衛隊と米軍に守られて平和に暮らし、相対的に恵まれた年金生活を送りつつ「安倍国葬粉砕」デモなどで余剰エネルギーを発散している。高齢者アベガーには日教組の元教員などが多いというが、よく分かる話だ。
 彼らの反軍・反米左翼教育を、何の批判精神もなく受け入れた「優等生」の典型が、「安倍は人間じゃない。叩っ斬ってやる」と叫んだ法政大教員の山口二郎氏だろう。

 この種のアベガーの執拗な演説妨害に対し、普通なら「こんな連中」と突き放すところを「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と抑えた表現を用いた安倍首相は、忍耐力において秀でていた。
 朝日新聞は、「異論に不寛容で、批判を敵視する姿勢は安倍政権の特徴の一つだった」と総括するが、汚い野次を放置しては、民主制の基本である議論が成り立たない。あくどい妨害に対しては、戦う姿勢も必要となる。

 自民党議員は政権を追及したくとも「党の政調でやるのはいいが、国会ではやめてくれ。予算の通過に支障が出る」と言われ、深追いが難しい。
 その分野党の役割が重要になるが、ワイドショー追随以上の質問はほとんどない。野党が愚かだと議院内閣制は機能しない。

 立憲民主党にも野田佳彦元首相を筆頭に自称保守派がいる。しかし辻元清美氏、蓮舫氏ら「はしたなさ」(三浦瑠麗氏の評)を売り物にする左派に圧倒され、常に縮こまっている。そこそこ数があっても、戦闘力を欠けば政治勢力たり得ない。
 9月17日、創立100周年を記念した講演で共産党の志位和夫委員長は、安保条約廃棄の旗を掲げ続けると宣言した。一方、侵略を受けた場合は「憲法違反の自衛隊」に「頑張っていただく」とも述べている。
 米軍との関係を断ち切って自衛隊単独で戦い、自分たち共産党員の命も守れというわけだ。無責任かつ身勝手、「志位滅裂」そのものだろう。耳を傾けろと言うなら、もう少し理性的な「異論」を唱えねばならない。
島田 洋一(しまだ よういち)
1957年、大阪府生まれ。福井県立大学教授(国際政治学)。国家基本問題研究所企画委員、拉致被害者を「救う会」全国協議会副会長。著書に『アメリカ解体』(ビジネス社)など。

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