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門田隆将氏
1958年、高知県生まれ。作家、ジャーナリスト。中央大学法学部卒業後、新潮社入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て、2008年4月独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、のちに角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『オウム死刑囚 魂の遍歴─井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『新・階級闘争論─暴走するメディア・SNS─』(ワック)などベストセラー多数。
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岩田清文氏
1957年生まれ。79年に防衛大学校卒業後、陸上自衛隊に入隊。戦車部隊勤務を経て、93年、米陸軍指揮幕僚大学へ留学。2010年、陸将、第七師団長。11年、統合幕僚副長。12年、北部方面総監。13年、第34代陸上幕僚長に就任し、16年に退官。著書に『自衛隊最高幹部が語る令和の国防』(新潮新書/共著)など。

国民は核議論を求めている

門田 世界中でウクライナ戦争を通じてハッキリと認識されたことは〈核保有国が軍事を支配する〉という現実です。
岩田 現在の国際社会は核保有国の武力行使を止める手段を持たない──残酷かつ厳しい現実に直面しています。
 今回の戦争で明らかになったのは、強大な破壊力を持つ戦略核の恐怖に連鎖するため非戦略核(小型核)の使用を思いとどまる、という核抑止の枠組みが崩れつつあるということです。核の使用をほのめかし、そして核弾頭が搭載可能な極超音速兵器や短距離弾道ミサイルを躊躇(ちゅうちょ)なく使用するプーチン大統領ですから、究極の状況に陥った時には小型核の使用も十分考えられます。まさに「核の恫喝」による“恐怖の時代”の到来です。日本もこの現実を直視し、安倍晋三元首相が、核共有(シェアリング)を一例にして、議論の必要性を主張されましたが、核に関する議論を加速させる時期に突入しています。
門田 戦争の理不尽さを目の当たりにしたことで、これまで日本に蔓延していた「現実逃避型平和主義」と「空想的平和主義」が破綻しました。これは戦後秩序の崩壊でもありますね。
岩田 ただ、そうした平和主義からまだ抜け切らない人たちもいます。
門田 その典型例が立憲民主党の議員です。
 最近も、泉健太代表が「核は事実上、使えない兵器であるから不要である。核は抑止にもならない時代遅れのもの」(4月6日・ユーチューブ)と発言する始末です。さらに、小川淳也政調会長も「コロナが起きたら『憲法改正だ。緊急事態だ』。ウクライナ情勢で『憲法改正だ、緊急事態だ』。便乗するのは、いい加減にしてほしい」(4月8日・日曜報道)と発言して大炎上。今ほど憲法改正の議論が急がれる時期はないというのに……。
岩田 その思考こそ「時代遅れ」です。
 今はまだ、米国は中国に核戦力で優位性を保っていますが、昨年、米国防総省が「中国が2030年までに、少なくとも千発の核弾頭の保有を目指している」と指摘する報告書を公表しました。米中経済安全保障調査委員会(同年開催)では「中国の核戦力は約10年後には質的、2030年には量的にも米国と対等になる可能性」と指摘されている。米中の戦略核が均衡状態になるのは時間の問題です。
門田 つまり、10年以内に現在のロシアと同じように、中国も戦略核の保有数で米国と肩を並べることになる。米国の核抑止が意味をなさなくなる日を、われわれは覚悟しておく必要があります。
岩田 そうなれば、中国が台湾有事で小型核を使用する可能性も出てきます。そういう意味で、安全保障上の地殻変動が起きる時代に直面しているのです。
 このような現状において、多くの日本国民が「日本を核の脅威からどのように守り、どのように生き残るのか」という核抑止の議論を求めているといえます。
 産経新聞の調査では「核共有に向けて議論すべきだ」と回答した人が20.3%、「核共有はすべきではないが、議論すべきだ」と回答した人が62.8%との結果が出ています。
門田 合わせると、8割以上の国民が「議論せよ」と言っていることになりますね。ロシア軍による民間人への無差別攻撃もあって、大半の国民が平和ボケから目覚めている。(つづきは本誌にて!)
『WiLL』2022年6月号(4月26日発売!)

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◎『WiLL』2022年6月号目次
百田尚樹:橋下徹の怪しい言説 キミは中露の代弁者か/「ロシア・中国・北朝鮮“魔の三核地帯"に立つ日本」安倍晋三・北村滋:プーチンは力の信奉者/高市早苗:《早苗の国会月報》日本は核兵器の最前線/ナザレンコ・アンドリー:ロシアに降伏したら地獄が待っている/岩田清文(元陸上幕僚長)・門田隆将:これならできる核共有(シェアリング)/中村逸郎(筑波学院大学教授):ロシアを決して信じるな/廣瀬陽子(慶應義塾大学教授):ハイブリッド戦争の内幕/宮嶋茂樹:グラビア 殺戮と破壊 これが戦争じゃ! 目を背けるな!

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