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かどた りゅうしょう
1958年、高知県生まれ。作家、ジャーナリスト。中央大学法学部卒業。『週刊新潮』元デスク。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、のちに角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『新・階級闘争論─暴走するメディア・SNS─』(ワック)、『疫病2020』、『日中友好侵略史』(ともに産経新聞出版)などベストセラー多数。
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いわた あつし
1983年生まれ。日本学術機構代表理事。早稲田大学政治経済学部政治学科在学中に『日本人の歴史哲学』(展転社)を出版。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。著書は『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『「リベラル」という病 奇怪すぎる日本型反知性主義』(彩図社)など。最新刊は『政治学者、ユーチューバーになる』(ワック)。

常識が通用しない国

門田 今年は司馬遼太郎さんの生誕100周年に当たります。司馬遼太郎記念財団が実施した「好きな司馬作品」アンケートでは、『坂の上の雲』が1位。『竜馬がゆく』と『燃えよ剣』が続きます。
岩田 『坂の上の雲』が描くのは明治の精神です。日本が近代国家の階段を駆け上がり、日露戦争の勝利というクライマックスを迎える。
門田 昨年、ロシアがウクライナ侵略に踏み切った。奇しくもロシアは、『坂の上の雲』において日本が破った国でもある。当時と今を重ねることで、得られる教訓があるかもしれない。
岩田 日露戦争の時代と現代を比べたとき、最大の違いは国際法の違いです。第2次大戦前、主権国家は自由に戦争することができた。戦争は国家の権利だったわけです。しかし、悲惨な第2次大戦以後、戦争は違法化された。そんななか昨年、国際法を破って他国に侵略する国が現れてしまった。後に振り返ったとき、ウクライナ侵略は歴史の分岐点と評価されるでしょう。
門田 戦後秩序が崩壊した歴史的瞬間ですね。第2次大戦では6000万人を超える人々が犠牲になり、その犠牲者の「無念」を無にするまいと、世界は戦争を起こさない仕組みを戦後70余年にわたり築き上げてきた。それがいとも簡単に破壊される光景を目の当たりにしたわけです。〝時計の針〟が戦前に戻ってしまった。
岩田 「常識が通用しない国」はロシアだけではない。中国は虎視眈々(こしたんたん)と台湾侵攻のチャンスをうかがっています。日本にとって最大の脅威は中国にほかなりません。台湾は国連非加盟国なので、多くの国が台湾を国家として承認していない。ウクライナ侵略より台湾侵略のほうが実行のハードルが低い。(続きは本誌にて!)
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『WiLL』2023年3月号(1月26日発売!)

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