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安倍晋三元首相の論文が世界中で注目を集めている

安倍氏「米国は台湾防衛の意思を明確にせよ」

 安倍晋三元総理が、影響力のある有力者の論評・分析を配信するサイト「プロジェクト・シンジケート」に論文を投稿した。同論文は瞬く間に反響を呼び、「ロサンゼルス・タイムズ」や仏紙「ルモンド」など、米国をはじめ30カ国・地域近くのメディアで掲載された。

 同論文では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を台湾有事と重ねたうえで、米国がこれまで続けてきた「曖昧戦略」を改め、中国が台湾を侵攻した場合に防衛の意思を明確にすべきだと主張している。

 1979年、米国は中国と国交を結んで台湾と断交し、台湾に防御兵器を提供することを定めた「台湾関係法」を制定した。しかし、中国が台湾へ軍事侵攻した場合、米国が軍事介入するかどうかについては明らかになっていない。安倍氏は、この「曖昧戦略」を見直すべきだと主張している。

 この論文を受け、中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は記者会見で「これに関わる日本の政治屋は台湾問題で特に言行を慎み、『台湾独立』勢力に誤った信号を発するのを防ぐべきだ」と非難。趙氏は「台湾問題は完全に中国の内政であり、ウクライナ問題とは本質的な違いがある。いかなる比較もできない」とも主張している。

 いつもの戦狼であることは言を俟たない。

対岸の火事ではない

 安倍氏はかねてより「台湾有事は日本有事」だと主張してきた。

 ロシアによるウクライナ侵攻において、バイデン米大統領は早い段階から「米軍は軍事介入しない」と明言した。それがロシア軍の侵攻を加速させたことは間違いない。台湾に関しても、米国が防衛の意思を明確にしなければ中国が実際に台湾へ侵攻することは容易に想像できる。

 同じ価値観を共有する周辺諸国に対する軍事侵攻は、日本の国家安全保障にも大きく影響する。尖閣諸島への領海侵犯が連日行われている以上、日本も対岸の火事ではない。多くの日本人が傍観しないことを祈る。

(WiLL Online編集部)

安倍晋三「台湾有事は日本有事」【WiLL増刊号】

昨年12月1日に台湾の民間シンクタンク主催の公開フォーラムに参加した安倍元総理の講演の模様はコチラ。

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