古代脳のまま

古田 今、韓国は本当に危ない。大韓航空のCEOは、妻や娘のパワハラ問題を通じて潰したし、次はアシアナ航空です。政府系の銀行に融資と引き換えに株の放出を強いられた。国有化への道筋をつけているように見えます。次の狙いはサムスンでしょうか。

藤井 従来、韓国では財閥のほうが企業体としてはうまく機能していたのですが。

古田 ええ、分業が下手なので、財閥がワンセット主義で配下に各分野を抱えます。中小企業がうまく育ちません。配下にないものは信用しないのですね。「信用社会」がダメなので、「約定・分業・法治・人権」などの精神の近代化が、韓国ではまったく根づいていません。できたのは産業テクノロジーの進歩だけ。そんな「古代脳」のままなので、文在寅政権のように、いまどき社会主義経済をやろうとする勢力が出てくるのです。

藤井 サムスンのトップが裁判にかけられ、最高裁から高裁に差し戻しになりました。今までの罪状で無罪の部分だけを差し戻しています。となると、無罪も有罪に変わる可能性があります。トップが禁固刑になったら、司令塔がいなくなる。その間に国有化を進めるつもりではありませんか。

古田 文大統領の狙いはそこでしょうか。側近の曺国を法務大臣に任命することも、その一つです。「タマネギ男」と言われるほど、疑惑だらけなのに、まったく世論を無視しています。北のような専制政治がしたくてしょうがないように見えます。

藤井 そう言えば、『週刊ポスト』(9月13日号)が「韓国なんて要らない」を特集して、左派の連中が大騒ぎしました。

古田 幹ちゃん(木村幹・神戸大学教授)が「週間ポストへの風当たりはわかるけど、であればWiLLやHanadaのもっとひどい特集はどうなるのだろうか」(9月2日)とツイートしていたね。

藤井 我々は事実主義で、韓国の問題を取り上げています。それを「ヘイト」と言われるのは心外です(笑)。木村氏や元外務省の連中が韓国を擁護するのは、自分たちの言論界の特権を守りたいからでしょう。

古田 均衡を保って、ウィン・ウィンの関係をつくることが、自分たちの仕事だと思っている。そんなことは、もう世界に通用しません。

藤井 現実的にあり得ようもない。トランプが戦っていることの1つにPC(ポリティカル・コレクトネス)があります。クリスチャンも「メリークリスマス」も言えないなんておかしいじゃないかと抵抗している。言葉狩り以上に思想狩りの側面が強い。いわばマジョリティに対するヘイト行為ですよ。

古田 「反知性主義」という大衆に対する悪罵が典型的なそれでしたね。結局、進歩史観の崩壊を広く知らせないとダメです。歴史の中に人間のためのオートマチック・システムなんて存在しない。世界の中に絶対的な価値がないことを伝える。そうすれば、彼らのような均衡論、ひいては文系の理論はあらかた崩壊します。

藤井 チャイナもコリアも本質は変化していない。

古田 変わりませんよ。進歩史観を放棄しないと、彼らの言動は永遠に理解不能です。

藤井 古田さんの言う「古代脳」のままだ(笑)。

古田 放棄しなければなりませんが、そうなったらなったで、別の因果ストーリが始まるでしょう。時代は変化している。その変化のコマをうまくつかんで「先見」しないと、学者も乗り遅れて大変です。

切羽詰まった英韓

藤井 ところで、トランプ政権では、ボルトン大統領補佐官が辞任しました。イラン問題で強硬策ばかり主張するので、戦争をしたくないトランプが事実上クビにしたのです。トランプは慎重です。また、少し気になる動きがあります。GSOMIA破棄を決定したのが、8月22日。その2日前の20日、ハリー・ハリス駐韓米大使が14の財閥代表を集めて、非公開で懇談会を開催しました。表向きはGSOMIAが破棄されないよう理解を求めるものでした。ここからは私の推測ですが、おそらく「アメリカに来ないか」と伝えたのではないでしょうか。

古田 その推論は鋭いかもしれない。妥当ならば事実が後追いしてきます。

藤井 大工場をアメリカに持ってくれば生き残ることができるぞと。文政権の国有化から逃げろと言うわけです。アメリカに行けば、日本の輸出規制だってまったく関係ありません。アメリカとしても、ゆくゆくは北朝鮮の勢力圏に入るような国で、メモリーチップだけでも72%のシェアを任せることはできないでしょう。アメリカとしては、なるべく内製化を推進したいのです。製造業界には「ファウンドリー」という概念があります。研究開発をせず、製造だけに特化した工場のことですが、これをアメリカにつくれと促したのではないでしょうか。

古田 文政権は北の下僕ですから、国有化された企業を北にプレゼントしたいんでしょうね。土地の国有化まで企てているらしい。

藤井 その通りだと思います。実はイギリスも危ない。ボリス・ジョンソンが新首相に就任しましたが、万が一総選挙で労働党が勝利を収めたらどうなるのか。党首のジェレミー・コービンは19世紀型の古い社会主義者ですから。

古田 空想社会主義者でしょう。

藤井 間違いなく銀行や鉄道、エネルギーの再国有化を進める。

古田 これでは時代が回帰してしまいます(笑)。

藤井 イギリスは世界中で悪いことをしてきましたから、その祟りです(笑)。実は、GSOMIA破棄通告の前日、イギリスは自由貿易協定を結びました。どの国と手を結んだか。

古田 韓国ですね。

藤井 そうです。両国にとって貿易総額の1%ほどの依存度でしかないのに、なぜ結んだのか。

古田 うーん、どうしてだろうか。

藤井 両国とも切羽詰まっての、やけのやんぱちだったと思っています(笑)。協定を結ばないよりはいいだろうと。現在のイギリスは反米国家ですから、反米で手を結んだ英韓同盟が結成されたようなものです。

古田 イギリスは確かにそういうところがあります。ファーウェイだって、イギリスが最初に裏切ってしまったでしょう。

藤井 英韓両国は政治中枢が麻痺(まひ)した状態です。そもそもイギリスは北朝鮮と公式的な外交関係を結び、脱税や麻薬など、北の悪行を見て見ぬふりをしてきました。つまり、汚いイギリスがそこにはありました。

古田 要するに「二重帳簿」のイギリスだ。

藤井 スエズ運河危機で大きな利権を喪失した頃、何とか新しく稼ぐ方法を編み出そうとした。そこで、イングランド銀行は外国から入って外国に出ていく金は、国内の帳簿に入れず、別建てでいいとしたのです。つまり、規制がかからないお金を良しとしてしまった。そのお陰でシティ(ロンドン金融の中心)は繁栄できたのです。

古田 グローバル資本主義の流れに乗れなくて、後退してしまったわけですね。イングランド銀行についてマックス・ウェーバーが「札束で相手の頰を叩くような銀行だ」と書いていました(笑)。たしか『一般社会経済史要論』だったと思いますが、手元になくて引けません、ごめんなさい。

米露冷戦の夢よもう一度

藤井 イギリスでは製造業が退潮して、金融で食べていかざるを得なくなった。それが今のイギリスの惨状です。北朝鮮もある意味でタックスヘイブン(租税回避地)です。独立国で主権国家だから、ニセ札をつくろうが、麻薬に手を染めようが、他国は介入できない。そういう北朝鮮を、さまざまな国がうまく利用してきたのでしょう。イギリスのシティは確実にそうだったと思います。

古田 香港もそうだった。

藤井 ええ。中華人民共和国が独立したとき、最初に承認した国がイギリスでした。

古田 実に速かった。

藤井 米ソの冷戦時代、その狭間で一番稼いだのがイギリスです。かつて「ユーロダラー」という言葉がありました。つまりヨーロッパにあるドルという意味で、一度、アメリカから流出してしまったドルです。

古田 国際化したドルということでしょう。

藤井 そう、だから日本に流れてきても「ユーロダラー」と言われていました。ソ連は金や材木を売ってドルを稼いでいたのです。貴重なドルですから、西側から買わなければいけないものを、それで購入していた。でも、ドルをアメリカに置いていたら、冷戦時代下、いつ資産凍結されてもおかしくない。じゃあ、ドルをどこに置くのが一番安全か。

古田 ロンドンですね。

藤井 それでロンドンを中心にソ連がお金の運用を始めたのです。これが「ユーロダラー」の始まりです。金融家は国際的なドル資金がロンドンのシティに滞留しているから、株券や債券を発行し始めたのです。シティが漁夫の利を得て、他国も真似するようになった。1973年、74年のオイルショックのあと、アラブの連中はオイル・マネーをロンドンに置くようになりました。米ソの冷戦時代は、イギリスにとっていい時代だったのです。

古田 米中新冷戦時代はどうでしょうね。

藤井 もうイギリスの足腰はよれよれですから、今回ばかりはうまくいかないんじゃないですか(笑)。英中が裏でつるんでいるのは事実ですが、シティのタックスヘイブンとしての機能はもう大きく制限されています。ロシアゲートでトランプとロシアが協力体制にあったという証拠の文書を捏造したのが、クリストファー・スティールという元MI6(イギリスの諜報機関)のロシア担当デスクです。米露が再び冷戦状態になれば、シティが儲かるという目算があっての工作ではなかったのかと疑っています。

古田 やることが賊っぽい(笑)。

藤井 スティールが捏造したのが「トランプ調書」と言われていますが、その実態はヒラリー・クリントンがお金を出して、スティールに「トランプのゴシップを探してこい」と頼んだに過ぎません。実際にロシアに行って探したわけでもなく、CNNの落書き掲示板に書いてあったウソ情報を羅列したのです。スティール自身も名誉棄損でイギリスで訴えられて、裁判のとき「何の根拠もありません」と告白しています。

古田 米露冷戦の夢よもう一度、だったんだ。ひどい話だな。イギリスはけっこう野蛮な国ですね。

藤井 そうです。だから、アングロ・サクソンは天下を取れたんです(一同爆笑)。

古田 もともと海賊だしね。カエサルが『ガリア戦記』で言っているんだけれど、イングランドの兵は、体中ミドリ色にぬって森から飛び出してくるんだって。ものすごく怖いと、軍人らしく誉めていました。よく言えば、奇知に富んでいる。

藤井 それとアングロ・サクソンは謀略が好きなんですよ(一同爆笑)。「ロシアゲート」は実に安っぽい謀略だったけど。

香港に経済制裁を

古田 香港デモの情勢はどう見ていますか。

藤井 東京で日米協力の保守政治活動討論会「J-CPAC」(Japanese Conservative Political Action Conference)が8月31日と9月1日に開催されました。これはアメリカの草の根保守団体「American Conservative Union」(ACU)が主催する討論会CPACの日本版です。香港独立を訴える著名な運動家、陳浩天(アンディ・チャン)氏も参加予定だったのですが、8月29日夜、香港から日本に向かう飛行機に乗ろうとして、空港で警察に拘束されたのです。保釈金を払って解放されましたので、会にビデオメッセージを送ってくれました。彼が言うには中国共産党はナチスと一緒で、警官隊がデモ隊に対して無制限の逮捕や暴力を振るっているそうです。

古田 天安門事件とやっていることが一緒ですね。

藤井 あと、香港警察に対して装備品を売らないでくれと言っていました。また、経済制裁を香港にかけてほしいと訴えていました。そうしなければ方向転換できない。そこまで追い詰められているわけです。韓国にも少数ながら親日派の人や良識的な学者がいます。そういう人たちも、日米は韓国に対して厳しい経済制裁をかけるべきだと言っている。そうしなければ文政権の暴走を止めることができないということです。

古田 目覚めさせるための処方箋ですよ。香港に対して、台湾はどう動くだろうか。

藤井 台湾は事実上の独立国ですから、手を差し伸べることができます。アメリカも台湾に対して兵器を売ることができる。でも、香港の民主化運動に兵器を供与することはできない。1つ言えるのは、香港のデモの影響で、台湾の来年の総統選は蔡英文が勝利する流れになったことは確かです。

古田 香港は中国のIT系に関する秘密情報が入ってくる場所ですから、中国だって簡単に潰すわけにはいかないでしょう。

藤井 そうなんですよ。香港は中国共産党にとって利用価値の高い場所だと思います。さまざまな状況を踏まえると、軍隊を導入することはないでしょう。

古田 そう思います。

藤井 その代わり、香港警察を動かして自由を圧殺する行為をやらせる。催涙ガスを撒いたり、無制限に殴り掛かったりしていますから。

古田 警察の連中は香港人ではないのかな。

藤井 チャイナ本土から新しく香港に流入してきた人たちで構成されている可能性があります。だから、中国共産党寄りなんですよ。

古田 あとは刑務所の囚人を連れてくる場合があります。韓国では全斗煥政権のとき、政治デモを弾圧するために、機動隊ではなく囚人を使って石を投げさせていた。あのとき現場にいて、あやうく石にぶち当たりそうになりました。

藤井 ただ、デモが激化し、政治体制が揺らぐような事態に陥ったら、当局は躊躇なく軍隊を投入し、血の弾圧を実行するでしょう。それが共産党の正体ですから。

古田 だって、天安門事件だって中国共産党は正当化している。

藤井 中国共産党は、あの事件があったから、その後の政治的安定が生まれたと主張しています。彼らの歴史観から言えば成功例なのです。2~3年我慢していたら、西側の連中がチャイナの経済力を魅力に感じて、経済制裁も解除しましたから。

古田 中国も韓国と同じで、いまだに「古代脳」です(笑)。

藤井
 ただ前の天安門事件とは様相が異なる面があります。あの頃のチャイナ経済は高度経済成長に入ろうとしている時期でした。今回は経済的に落ち目になっている。しかも、アメリカに強力な反中政権が誕生し、関税をかけられマイナス成長です。天安門事件のようなことをしたら、チャイナ経済は崩壊する可能性があります。

古田 でも、習近平だからな。

藤井 習近平は政治も経済も統制すればいい、と考えている。ネット規制や武力行使による強権発動となれば、怖いことは何もない──それが共産党です。下策中の下策ですけど、習近平がその決断をしたら、体制の綻びが生まれるのではないかと期待できます。

古田 習近平は教養がなく、単細胞ですから、本当にやるかもしれませんよ(笑)。

藤井 警察隊を動員して大量逮捕し、厳罰化でデモ運動が退潮してきたら、リーダー格の連中を1人ひとり消していく──おそらくこの方法が一番現実的ではないでしょうか。

古田 突然行方不明になるとか、闇に葬る。

藤井 共産党が一番得意な方法でもあります。

香港に関心を

古田 トランプ政権は静観し続けるのかな。

藤井 アメリカからすると、香港問題はイギリスのマターなのです。チャイナが1国2制度を約束したのは、香港の人民に対してではなく、イギリスに対してです。だから、デモ弾圧を糾弾できる資格を持っているのは、イギリス以外にありません。

古田 でも、先ほど話が出たように、イギリスは中国寄りでしょう。

藤井 そうです。さらに政治中枢も麻痺していますから、とても糾弾できる状況ではありません。アメリカも手が出しにくいのです。香港の民主派が訴えているのは「とにかく香港に関心を持ってくれ」ということ。TV中継があれば、強力な鎮圧活動はしにくい。ところで、今日のチャイナの中で香港のデモ鎮圧はもっとも残酷なことではありません。

古田 チベットやウイグルはもっと悲惨な目にあっています。

藤井 しかし、その悲惨な状況を動画や写真として見ることができません。カメラも記者も入れないから実態が不明です。

古田 香港は情報がまだ入ってきています。

藤井 世界の関心が集まっている以上、強権発動をしにくい状況ではあります。実は今回のデモに対して、私は少々驚いたのです。そもそも香港人は金儲けだけに興味があって、政治的には無関心だと思っていました。ところが、そうではなかった。自由と民主を守る気概を持っていることに感動すら覚えます。ただ香港の支援方法は難しいと言わざるを得ません。

古田 「近代脳」の香港人を「古代脳」の中国人が専制支配しようとしている!

藤井 陳浩天氏は「今は21世紀じゃないか、全体主義的な政権に、仮にも700万人の民主政治の国が潰されていいのか」と憤っていましたが、チャイナは21世紀を生きていません。

古田 古代の淵(ふち)に引きずり込まれるようなものですね。

藤井 全くです。反乱を起こしたら、力で弾圧すればいいということしか知らないのです。

古田 香港警察の隣に軍隊が並んでいたでしょう。その映像を見ていたら、秦の始皇帝の兵馬俑を思い出しましたよ。民主主義を古代からどうやって守っていくのか、その岐路に立っているようです。アメリカの経済制裁が、中国にどう効いていくか。

藤井 アメリカはチャイナのハイテクのサプライチェーンに関しては完全に排除していく方針です。

古田 そのあたりの事情を深田萌絵さんが『「5G革命」の真実』(ワック)で言及していますが、実に面白い本でした。5Gを中国が独占すると大変なことになるから、トランプが矢面に立って戦ってくれていると指摘しています。

藤井 全くです。靴や衣料品をチャイナから購入するのは問題ない。ただ、ITやAIの根幹的な技術の研究・開発・製造に関しては、何とかアメリカ本土に戻したい。少なくとも友好国の間で生産したいと考えています。

古田 あそこまで関税をかけられたら、アメリカの大手IT企業だって商売にならないでしょう(笑)。

藤井 実際に、多くの企業は、チャイナから工場を引き揚げることを表明しています。GAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)は無国籍的企業ですから、本音としてはトランプ嫌い。チャイナで安く生産できれば良かったのですが、それができなくなりました。アップルも工場の一部をイスラエルと米本国に移すことにしたのです。

古田 トランプはその点「先見」が利きますね。

藤井 「中国製造2025」が実現していたら、アメリカも日本もアウトでした。

古田 お得意の大ボラ気分でばらしてしまったのだろうか。じつにトロいよね。

藤井 だから、習近平は〝優秀〟なんですよ(一同爆笑)。鄧小平のような狡知があったら、何も言わず粛々と進め、10年後に結果が出ていたら、恐ろしいところでした。

古田 韜光養晦(とうこうようかい)(「才能を隠して、内に力を蓄える」という中国の外交・安保の方針)だ。

藤井 チャイニーズの不思議なところですが、一度自信を持つと妙に傲慢になります。

古田 中国は近代史をすべて失敗しているからです。いいところが1つもない。最近少し良くなってきたから、無茶苦茶傲慢になってしまった。今までの歴史上の恨み、つらみが溜まっていて、それを吐き出している。

藤井 共産党が「怨念がある」と教えたんです。

「非韓3原則」で対処せよ

古田 1980年代、日本の大学に来ていた中国の学者は劣等感の塊でした。

藤井 そうでした。「日本のような先進国に来させてもらってありがとうございます」「我が国は何百年も遅れています」という感じでした。

古田 「中国はもうダメです」と、言っていた。あの頃の中国人は良かった。

藤井 日本人も下手に出られたら、一所懸命教えたくなるのです。

古田 それで騙された。僕が提唱した韓国の「非韓3原則」(助けるな、教えるな、関わるな)と一緒で、中国に対しても「非支(支那の支)3原則」ですよ(笑)。

藤井 「古代脳」は対処のしようがないから、付き合わないのが一番です。今の世界は二重基準で対処するしかない。ルールを遵守する近代国家と、ルールは破るべきものだと思っている古代国家に分かれる。初めからルール破りされると、WTOも制裁ができません。例外措置で関税をかけて、付き合わない。日米欧のような国は自由貿易の原則に則って進める。それでいいのではないでしょうか。

古田 古代脳国同士でやってもらえればいい。

藤井 アフリカになると、また別ですけど。

古田
 こちらはある意味「未開脳」だな(笑)。

藤井 チャイナがアフリカでやりたいことを勝手にやっていると、現地のアフリカ人がチャイニーズを虐殺する事件が発生しています。未開人を怒らせると怖い。日本人は近代脳ですから、そんな野蛮なことができません。

古田 未開脳によって古代脳を封じ込めるわけだ。それも危うい(笑)。ほとんどウォルター・バジョット(英銀行家の息子にして政治学者)の世界です。アフリカのことを偏見に満ちて書いているように見えるけど、今振り返ると、結構当たっているんです。東大の社研の先生方も「時代を超えて、説明能力をもっている」と誉めている(『政治思想研究』第2号、2002年5月)。これはしまった発言だね。

藤井 チャイナは「5G」を推進しようとしていますが、自動車の自動運転は8Gまで行けば、ようやく実用可能だと言われています。

古田 もういいですよ(笑)。電気自動車だって電気が必要だから、原子力発電所がもっと必要になる。

藤井 だから、電気自動車は技術的に失敗すると思いますよ。パワーが出ませんから。

古田
 出川哲朗が電動バイクで全国を走る「充電させてもらえませんか?」(テレビ東京系)という番組がありますが、見ていると途中で停止してしまう(笑)。

藤井 今の技術では走行距離や輸送力に限界があります。自動運転も当面、完全実用化はムリなようです。高速道路に専用レーンを別につくればできる。

古田 街中では危ないですよ。それにハッキングされて、勝手に操作される可能性もあります。

藤井 チャイナからすると、電気自動車になればまったく新しい製造過程ですから、世界一になれるチャンスがあると考えています。でも、頓挫するでしょう。

古田 テクノロジーの進歩は恐ろしい面があります。20世紀、「歴史は進歩する」と言われながら、進歩したのはテクノロジーと国民の民度だけでした。

藤井 民度は一部ではありませんか。コリアとチャイナは「古代脳」のままでしょう。

古田 そうですね、韓国は近代化に失敗してしまったし、北朝鮮は「近代合理性」自体、丸っきり理解していません。泰川というところに、寧辺の核開発用の発電所を建てるのですが、そこの大寧江という川に五つもダムを計画してしまう。そんなにたくさんつくったら、最後は水がチョロチョロしてしまうではありませんか。私はこういう下らない論文ばかり書いてきたのですが、ダム5つのうちの1つはどうやら途中で気づいて止めたようです(笑)。

藤井 古代脳がテクノロジーを持つから恐ろしいのです。

古田 たとえるなら、インカ人が電動バイクを走らせているようなもの。

藤井 原爆や長距離ミサイルを持っているわけですから。

古田 近代脳と古代脳の相剋(そうこく)は当分続きそうです。
古田 博司(ふるた ひろし)
1953年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科東洋史専攻修士課程修了。延世大学、漢陽大学などで日本語講師を務める。滞韓6年の後、帰国。下関市立大学を経て、筑波大学名誉教授。『ヨーロッパ思想を読み解く──何が近代科学を生んだか』(ちくま新書)、『日本文明圏の覚醒』(筑摩書房)など著書多数。近著に『韓国・韓国人の品性』(ワック)、藤井厳喜氏との共著『韓国・北朝鮮の悲劇 米中は全面対決へ』(ワック)がある。
藤井 厳喜(ふじい げんき)
1952年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。77~85年、アメリカ留学。クレアモント大学院政治学部(修士)を経て、ハーバード大学政治学部大学院助手、同大学国際問題研究所研究員。82年から近未来予測の「ケンブリッジ・フォーキャスト・レポート」発行。株式会社ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ・オブ・ジャパン代表取締役。古田博司氏との共著『韓国・北朝鮮の悲劇 米中は全面対決へ』、石平氏との共著『米中「冷戦」から「熱戦」へ』(ともにワック)など著書多数。

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