戦時宰相としての器
総理の器を考えるにあたって、現在の日本を取り巻く国際情勢を鑑みるに、まず戦時宰相としての資質から、その理由を述べたく思う。
時は1918年、新型ウイルス感染症(スペイン風邪)のパンデミックによって多くの人々が肺炎で死亡する中、世界は大戦争を繰り広げていた。第1次世界大戦である。開戦当初、イギリス政府はアスキス総理を首班とした内閣で戦っていたが、1916年初頭にフランス北東部のヴェルダン塹壕戦による硬直状態が続き、ついにはユトランド沖海戦でドイツ海軍によって英巡洋戦艦三隻が轟沈、6000名以上の英将兵を失う戦術的敗北をした。
次はフランス北部でソンムの戦いが起き、消耗戦が繰り広げられた。従来のイギリス軍は志願兵によって構成されていたが、人的消失が激しいため徴兵された兵士を戦場に投入するほど、戦局は苦しかった。アスキス内閣の軍需大臣だったロイド・ジョージは、アスキス総理の優柔不断な戦争指揮に不満を持ち、少数精鋭による戦争指導の必要性を説いて倒閣運動を始め、1916年12月には第53代イギリス首相の大命を国王から受けた。
ロイド・ジョージ総理は新兵器の開発生産、外交による同盟国の動員、海上補給作戦の3つの領域で活躍した。まず、ソンムの戦いで新兵器「戦車」(マークI型)が投入されたが、故障などで実戦に参加したのはわずか5輌だけであったため、新兵器の増産予算を確保し、「塹壕戦は騎馬の突入をもって戦うべし」とする旧来の戦術に固執する英陸軍首脳を抑え込んだ。次に、大日本帝国に対して日英同盟に基づく援軍派遣を要請し、日本海軍の地中海戦線投入に成功。日本海軍は35回にもわたるドイツ海軍との戦闘に参加し、70万名以上の将兵の輸送作戦も完遂。最後に、食糧物資の輸送作戦をする際、護衛艦を速度の遅い輸送艦の速力に合わせるべく、英海軍首脳を説得して護送船団方式を確立して補給作戦を成功させた。
こうして、ロイド・ジョージ自身が新型ウイルスに感染しつつも、イギリスを世界大戦の勝者に導いたのである。ロイド・ジョージ総理を現在の日本に置き換えると、私は安倍晋三総理こそ、その器を持った人物であると考える。
第1次世界大戦緒戦におけるイギリスの停滞は、すべて前総理大臣アスキスの意志の弱さに起因しており、外交や内政においても決断力の弱さが戦争の硬直を招いていたが、ロイド・ジョージ総理が任命されると、たちまち強い指導力によって国内反対派を抑え込んで新兵器の予算を獲得し、外交では同盟国日本を動員し、イギリスを勝利に導いた。
これは、第2次安倍内閣以前と以後の比較から、その近似性を読み取ることができる。例えば、ロイド・ジョージ総理が新兵器戦車の開発予算を確保したように、安倍総理は平成27年に防衛省設置法を改正して防衛装備庁を新設した。これにより、新兵器の研究開発や諸外国からの輸入を一元化した。また、ロイド・ジョージ総理が大日本帝国の海軍力を外交によって獲得して戦況を有利に進めたように、安倍総理は安保関連法を成立させ、アメリカ合衆国との同盟関係を確固たるものとし、ついに尖閣諸島は日米安保の適用範囲であるとアメリカ政府に公言させるまでに至った。
確かに、指導能力とは形而上にあるもので数理的に測ることは難しい。だが、例えば民主党時代における覚せい剤密輸事件の年間押収量が250キロ平均であったのに対して、安倍政権下の昨年は2.5トンの覚せい剤密輸を阻止している。密輸摘発とは、捜査機関の士気に大きく影響される。単純計算しても民主党政権と比較して安倍政権は10倍の指導力を備えていると考えることはできないだろうか。
では、ロイド・ジョージ総理や安倍総理がなぜ、救国の指導力を発揮できたのか。それは「イドラの排除」にある。
時は1918年、新型ウイルス感染症(スペイン風邪)のパンデミックによって多くの人々が肺炎で死亡する中、世界は大戦争を繰り広げていた。第1次世界大戦である。開戦当初、イギリス政府はアスキス総理を首班とした内閣で戦っていたが、1916年初頭にフランス北東部のヴェルダン塹壕戦による硬直状態が続き、ついにはユトランド沖海戦でドイツ海軍によって英巡洋戦艦三隻が轟沈、6000名以上の英将兵を失う戦術的敗北をした。
次はフランス北部でソンムの戦いが起き、消耗戦が繰り広げられた。従来のイギリス軍は志願兵によって構成されていたが、人的消失が激しいため徴兵された兵士を戦場に投入するほど、戦局は苦しかった。アスキス内閣の軍需大臣だったロイド・ジョージは、アスキス総理の優柔不断な戦争指揮に不満を持ち、少数精鋭による戦争指導の必要性を説いて倒閣運動を始め、1916年12月には第53代イギリス首相の大命を国王から受けた。
ロイド・ジョージ総理は新兵器の開発生産、外交による同盟国の動員、海上補給作戦の3つの領域で活躍した。まず、ソンムの戦いで新兵器「戦車」(マークI型)が投入されたが、故障などで実戦に参加したのはわずか5輌だけであったため、新兵器の増産予算を確保し、「塹壕戦は騎馬の突入をもって戦うべし」とする旧来の戦術に固執する英陸軍首脳を抑え込んだ。次に、大日本帝国に対して日英同盟に基づく援軍派遣を要請し、日本海軍の地中海戦線投入に成功。日本海軍は35回にもわたるドイツ海軍との戦闘に参加し、70万名以上の将兵の輸送作戦も完遂。最後に、食糧物資の輸送作戦をする際、護衛艦を速度の遅い輸送艦の速力に合わせるべく、英海軍首脳を説得して護送船団方式を確立して補給作戦を成功させた。
こうして、ロイド・ジョージ自身が新型ウイルスに感染しつつも、イギリスを世界大戦の勝者に導いたのである。ロイド・ジョージ総理を現在の日本に置き換えると、私は安倍晋三総理こそ、その器を持った人物であると考える。
第1次世界大戦緒戦におけるイギリスの停滞は、すべて前総理大臣アスキスの意志の弱さに起因しており、外交や内政においても決断力の弱さが戦争の硬直を招いていたが、ロイド・ジョージ総理が任命されると、たちまち強い指導力によって国内反対派を抑え込んで新兵器の予算を獲得し、外交では同盟国日本を動員し、イギリスを勝利に導いた。
これは、第2次安倍内閣以前と以後の比較から、その近似性を読み取ることができる。例えば、ロイド・ジョージ総理が新兵器戦車の開発予算を確保したように、安倍総理は平成27年に防衛省設置法を改正して防衛装備庁を新設した。これにより、新兵器の研究開発や諸外国からの輸入を一元化した。また、ロイド・ジョージ総理が大日本帝国の海軍力を外交によって獲得して戦況を有利に進めたように、安倍総理は安保関連法を成立させ、アメリカ合衆国との同盟関係を確固たるものとし、ついに尖閣諸島は日米安保の適用範囲であるとアメリカ政府に公言させるまでに至った。
確かに、指導能力とは形而上にあるもので数理的に測ることは難しい。だが、例えば民主党時代における覚せい剤密輸事件の年間押収量が250キロ平均であったのに対して、安倍政権下の昨年は2.5トンの覚せい剤密輸を阻止している。密輸摘発とは、捜査機関の士気に大きく影響される。単純計算しても民主党政権と比較して安倍政権は10倍の指導力を備えていると考えることはできないだろうか。
では、ロイド・ジョージ総理や安倍総理がなぜ、救国の指導力を発揮できたのか。それは「イドラの排除」にある。
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イドラとは何か
イギリスは強い国である。2度の世界大戦に勝利し、戦後もフォークランド諸島を取り戻し、近年では移民制限政策に成功した。法の支配に支えられ、男系男子爵位相続の貴族たちと普通選挙による庶民院議員による立憲君主制で今も国を運営している。イギリスは哲学上「イギリス経験論」といった思想を国是とし、政治や外交、科学といったあらゆる面でこの思想が使われている。
このイギリス経験論とは、開祖であるフランシス・ベーコン子爵の主著『ノヴム・オルガヌム』(桂寿一訳)によって説明される「イドラの排除」にその目的がある。イドラとは「先入観による謬見」の意味だ。人は何かを認識するとき、必ずといってよいほど各自の主観や記憶に基づいて判断し、「認識したこと」によって自分の主観や記憶を修正するのではなく、自分の主観や記憶と合致するように「認識したこと」自体を歪めて認識してしまう。つまり、現実を無視してしまうのだ。こうして人は失敗する。
ベーコン子爵は、こうした人間の誤った先入観を「イドラ」と呼んで批判した。
「推論によって立てられた一般命題が新たな成果の発見に役立つことは決してあり得ない。なぜならば、自然の持つ精細さは、推論のそれを何倍も超えるものだから」(前掲同書第24節より)
このイドラを現代に当てはめて考えると、どうか。中国は6月30日、国家安全維持法を施行して香港の民主化運動を抑えた。この法律により、日本国籍をもっていたとしても、香港の民主化を主張した者を捕らえて無期懲役に処することができるようになった。これは、民主的な言論によって香港の自由を獲得できるとする期待そのものが、イドラであったといえる。なぜなら、チベットやウイグルでは言論によって自由が得られたであろうか。否、圧倒的軍事力によって制圧されたのである。唯一、自由と民主主義が守られているのは、独自の陸海空軍を持ち、1958年には金門砲戦によって国防に成功した台湾である。
つまり、軍事力なくして自由は守れないといった先行例が過去2例あるのに対して、対話によって自由の実現を図ろうとする認識自体が、ベーコンのいう「イドラ」なのである。憲法改正による再軍備なくして、対話によって平和を保てるとする本邦護憲勢力の認識も、イドラそのものだ。膨張する赤色軍国主義に対抗し得る手段は弁論ではない。唯一、軍事力のみである。
特に、中国共産党は機関紙の人民日報にて、「沖縄は日清戦争後の下関条約(1895年に締結され台湾が日本領に編入された)で奪われたものであり、沖縄は歴史的に中国領土であり、沖縄の帰属先は国際法上まだ決着していない」などとプロパガンダを発信し、その侵略願望を隠そうとすらしていない。事実、沖縄の反米勢力は日毎に増強され、沖縄侵略最大の障害となる在日米軍基地に対して、あらゆる攻撃をしている。
この中で、平和主義といった先見的誤謬を指導者が退けることは極めて重大である。実際、このイドラを伴う戦後民主主義の弊害は、多くの基本的人権の侵害にまで発展している。拉致事件は半世紀近くにわたって長期化し、ついに横田めぐみさんと実父横田滋さんの再会は永遠に不可能となった。これは、暴力によって連れ去られた人々を話し合いによって取り戻そうとすること自体が「イドラ」であり、自国民の救出作戦そのものを違法とする日本国憲法が前提とする「平和を愛する諸国民の公正と信義」そのものが、国家的イドラとなって日本国民を苦しめているからである。
安倍総理は、合理的な演繹、すなわち「推測」による政策提唱をしない。経験に裏付けられた現実を基礎にして、政策を実行している。第1次世界大戦においてイギリスを勝利に導いたロイド・ジョージ総理も、現実として膠着(こうちゃく)している塹壕戦を打開するため戦車を運用し、現実として失敗している物資の海上補給に対して護送船団方式の戦術を確立した。
そこに、「何とかなるだろう」といった安易な推測はない。これは、新型コロナウイルスといった未知の存在に対して様々な推測が飛び交う中、入国制限と緊急事態宣言を執行した安倍総理の指導力についても、「予断や推測をしない」といった共通項がある。経験に裏付けられた政策の実行、それこそが安倍総理の指導力であり、安倍総理の4選によって、日本国のさらなる指導を期待する理由である。
このイギリス経験論とは、開祖であるフランシス・ベーコン子爵の主著『ノヴム・オルガヌム』(桂寿一訳)によって説明される「イドラの排除」にその目的がある。イドラとは「先入観による謬見」の意味だ。人は何かを認識するとき、必ずといってよいほど各自の主観や記憶に基づいて判断し、「認識したこと」によって自分の主観や記憶を修正するのではなく、自分の主観や記憶と合致するように「認識したこと」自体を歪めて認識してしまう。つまり、現実を無視してしまうのだ。こうして人は失敗する。
ベーコン子爵は、こうした人間の誤った先入観を「イドラ」と呼んで批判した。
「推論によって立てられた一般命題が新たな成果の発見に役立つことは決してあり得ない。なぜならば、自然の持つ精細さは、推論のそれを何倍も超えるものだから」(前掲同書第24節より)
このイドラを現代に当てはめて考えると、どうか。中国は6月30日、国家安全維持法を施行して香港の民主化運動を抑えた。この法律により、日本国籍をもっていたとしても、香港の民主化を主張した者を捕らえて無期懲役に処することができるようになった。これは、民主的な言論によって香港の自由を獲得できるとする期待そのものが、イドラであったといえる。なぜなら、チベットやウイグルでは言論によって自由が得られたであろうか。否、圧倒的軍事力によって制圧されたのである。唯一、自由と民主主義が守られているのは、独自の陸海空軍を持ち、1958年には金門砲戦によって国防に成功した台湾である。
つまり、軍事力なくして自由は守れないといった先行例が過去2例あるのに対して、対話によって自由の実現を図ろうとする認識自体が、ベーコンのいう「イドラ」なのである。憲法改正による再軍備なくして、対話によって平和を保てるとする本邦護憲勢力の認識も、イドラそのものだ。膨張する赤色軍国主義に対抗し得る手段は弁論ではない。唯一、軍事力のみである。
特に、中国共産党は機関紙の人民日報にて、「沖縄は日清戦争後の下関条約(1895年に締結され台湾が日本領に編入された)で奪われたものであり、沖縄は歴史的に中国領土であり、沖縄の帰属先は国際法上まだ決着していない」などとプロパガンダを発信し、その侵略願望を隠そうとすらしていない。事実、沖縄の反米勢力は日毎に増強され、沖縄侵略最大の障害となる在日米軍基地に対して、あらゆる攻撃をしている。
この中で、平和主義といった先見的誤謬を指導者が退けることは極めて重大である。実際、このイドラを伴う戦後民主主義の弊害は、多くの基本的人権の侵害にまで発展している。拉致事件は半世紀近くにわたって長期化し、ついに横田めぐみさんと実父横田滋さんの再会は永遠に不可能となった。これは、暴力によって連れ去られた人々を話し合いによって取り戻そうとすること自体が「イドラ」であり、自国民の救出作戦そのものを違法とする日本国憲法が前提とする「平和を愛する諸国民の公正と信義」そのものが、国家的イドラとなって日本国民を苦しめているからである。
安倍総理は、合理的な演繹、すなわち「推測」による政策提唱をしない。経験に裏付けられた現実を基礎にして、政策を実行している。第1次世界大戦においてイギリスを勝利に導いたロイド・ジョージ総理も、現実として膠着(こうちゃく)している塹壕戦を打開するため戦車を運用し、現実として失敗している物資の海上補給に対して護送船団方式の戦術を確立した。
そこに、「何とかなるだろう」といった安易な推測はない。これは、新型コロナウイルスといった未知の存在に対して様々な推測が飛び交う中、入国制限と緊急事態宣言を執行した安倍総理の指導力についても、「予断や推測をしない」といった共通項がある。経験に裏付けられた政策の実行、それこそが安倍総理の指導力であり、安倍総理の4選によって、日本国のさらなる指導を期待する理由である。
憲法改正の意義
ここで改めて憲法改正とは何かを再確認したく思う。政治学者のハロルド・ラスウェルはその著書『権力と人間』(永井陽之助訳)において、政治的権力の源泉を次のように述べている。それは、統治される側の願望を満たすことによって完成し、かつその願望とは2つの領域に分けることができると指摘する。
第1の願望は、健康や豊かな生活を送るために必要な財産保全などの〝福祉的願望〟である。これは、医療皆保険や年金などの福祉政策によって実現できる。
第2の願望は、人間の尊厳や誇りといった精神的な〝承認願望〟である。
戦後日本は、明らかに前者のみに心血を注ぎ込み、後者をこれでもかというほど蔑ろにしてきた。第2次世界大戦直後、日本人はこの2つの願望を喪失したところから再出発した。医療は保障されず、飢餓の恐れさえあり、かつ警察権や国家の安全保障もなかった。
しかし、サンフランシスコ平和条約が締結され、朝鮮戦争の特需によって好景気が始まると、財政上のゆとりが生じて国民健康保険法が施行され、また同時に日米安全保障条約によって対外的な危機が後退した。こうして福祉的欲求が満たされると、憲法改正の声は急激に衰え、護憲勢力が3分の1を占める、いわゆる55年体制に硬直した。
第1の願望は、健康や豊かな生活を送るために必要な財産保全などの〝福祉的願望〟である。これは、医療皆保険や年金などの福祉政策によって実現できる。
第2の願望は、人間の尊厳や誇りといった精神的な〝承認願望〟である。
戦後日本は、明らかに前者のみに心血を注ぎ込み、後者をこれでもかというほど蔑ろにしてきた。第2次世界大戦直後、日本人はこの2つの願望を喪失したところから再出発した。医療は保障されず、飢餓の恐れさえあり、かつ警察権や国家の安全保障もなかった。
しかし、サンフランシスコ平和条約が締結され、朝鮮戦争の特需によって好景気が始まると、財政上のゆとりが生じて国民健康保険法が施行され、また同時に日米安全保障条約によって対外的な危機が後退した。こうして福祉的欲求が満たされると、憲法改正の声は急激に衰え、護憲勢力が3分の1を占める、いわゆる55年体制に硬直した。
福祉的価値を見出さなくなった日本
それはなぜか。諸外国による危機の蓋然性が遠のいたことで、再軍備が精神的欲求の範疇を超えなくなったと見なされたからである。つまり、反共の防波堤として朝鮮戦争における韓国軍の活躍があり、また日米安保がある。この時の北朝鮮と中国の国力は低く、ソ連も軍事力こそ強大だが、その軍事力を支える経済的基盤は弱く、アフガニスタン1つ落とすのに苦労した。その様子を見て、多くの日本人は「再軍備」に精神的価値のみを見出し、「現実の危機から生命と財産を守る」といった福祉的価値を見出さなくなったのである。
つまり、旧来の憲法改正の掛け声は、すでに医療と財産を保障された富裕層である保守派が、その精神的欲求を満たすために唱えていた面を否定できないだろう。
極めて残酷な話であるが、拉致問題は人間の尊厳を特別視する愛国者にとって重大極まりない問題であるが、自分の健康を保障する安定した衣食住さえ事欠く人々にとっては、横田めぐみさんの生死は、自分の福祉に無関係だと認識されてきた。こうして、半世紀近くも国民の基本的人権が(拉致被害者の国外救出作戦を禁じる)日本国憲法によって蹂躙(じゅうりん)され続けてきたのである。
だが、今は昔と違う。現実の危機が迫っているのである。侵略を受けて、今までと同じ医療と福祉、そして財産の保障があると思うなら、それは大間違いだ。現に、訪日外国人が新型コロナウイルス感染症で公費入院している一方、満床で入院できず死亡した日本人が数名いたこと、また法的根拠のない外国人生活保護が充実する一方、日本人貧困層が餓死したこともある。この時代に入院できず病死し、あるいは餓死した深刻性(地方自治体内部の敵勢力)は決して軽視できない。
ここから、憲法改正が単に「尊厳と名誉」を守る精神的承認欲求の問題ではなく、福祉的問題を内包するようになる。この期に及んで、もはや憲法改正による高度国防体制に賛成しないのは、〝畜群(ヘルーデ)〟である(※畜群とは、フリードリヒ・ニーチェの哲学用語。牧場の家畜と同じく意志を持たず精神が不存在である様相を持つ人々を意味する)。
つまり、旧来の憲法改正の掛け声は、すでに医療と財産を保障された富裕層である保守派が、その精神的欲求を満たすために唱えていた面を否定できないだろう。
極めて残酷な話であるが、拉致問題は人間の尊厳を特別視する愛国者にとって重大極まりない問題であるが、自分の健康を保障する安定した衣食住さえ事欠く人々にとっては、横田めぐみさんの生死は、自分の福祉に無関係だと認識されてきた。こうして、半世紀近くも国民の基本的人権が(拉致被害者の国外救出作戦を禁じる)日本国憲法によって蹂躙(じゅうりん)され続けてきたのである。
だが、今は昔と違う。現実の危機が迫っているのである。侵略を受けて、今までと同じ医療と福祉、そして財産の保障があると思うなら、それは大間違いだ。現に、訪日外国人が新型コロナウイルス感染症で公費入院している一方、満床で入院できず死亡した日本人が数名いたこと、また法的根拠のない外国人生活保護が充実する一方、日本人貧困層が餓死したこともある。この時代に入院できず病死し、あるいは餓死した深刻性(地方自治体内部の敵勢力)は決して軽視できない。
ここから、憲法改正が単に「尊厳と名誉」を守る精神的承認欲求の問題ではなく、福祉的問題を内包するようになる。この期に及んで、もはや憲法改正による高度国防体制に賛成しないのは、〝畜群(ヘルーデ)〟である(※畜群とは、フリードリヒ・ニーチェの哲学用語。牧場の家畜と同じく意志を持たず精神が不存在である様相を持つ人々を意味する)。
謀略としてのプロパガンダ
日本の発展を憎む反日主義者は少しでも世論を誤誘導しようと、統計学上、無意味な作為抽出をした世論調査をしばしば発表する。それは平日の日中に音声通話を受信できる者に限る統計母体を作為的に選択し、かつ有権者か否かの書類確認もしない世論調査で、安倍政権の支持率を発表することだ。
だが、もとより人間の精神を数的に把握することは不可能なのだ。なぜなら、「調査に対して必ず正直に答える」とする前提を欠くからである。これは、2016年の米大統領選で世論調査はいずれもヒラリー・クリントン候補の当選を断言していたことからも明らかだ。
また、昨年の参議院選挙広島県選挙区における買収事件の報道についても、自民党本部から河井案里氏の政治団体に寄附をすることは政治資金規正法第21条の2第2項によって全くの合法であり、あくまで河井ご夫妻がその資金を使用したあり方の責任が問われている事案であるのに対し、さも安倍総理が関与したかのように視聴層の法的無知に乗じて作為的誘導を試みるものが目立つ。
この裏には何があるのか。例えば、銀行口座の開設には、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(平成19年法律第22号)によって、外国政府との関係性の有無が特定され、法的規制を受ける。しかし、放送事業や出版業には、こうした法的規制はなく、外国政府が人員面において何らかの関与をしていたとしても、事実上の野放しとなっている。
こうした反日プロパガンダは、安倍総理が4選してしまえば、その領土的野望を実現できなくなる外国政府によるものであるとの疑義を容れる。賢明なる日本人は、こうした謀略に決して騙されてはならない。
だが、もとより人間の精神を数的に把握することは不可能なのだ。なぜなら、「調査に対して必ず正直に答える」とする前提を欠くからである。これは、2016年の米大統領選で世論調査はいずれもヒラリー・クリントン候補の当選を断言していたことからも明らかだ。
また、昨年の参議院選挙広島県選挙区における買収事件の報道についても、自民党本部から河井案里氏の政治団体に寄附をすることは政治資金規正法第21条の2第2項によって全くの合法であり、あくまで河井ご夫妻がその資金を使用したあり方の責任が問われている事案であるのに対し、さも安倍総理が関与したかのように視聴層の法的無知に乗じて作為的誘導を試みるものが目立つ。
この裏には何があるのか。例えば、銀行口座の開設には、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(平成19年法律第22号)によって、外国政府との関係性の有無が特定され、法的規制を受ける。しかし、放送事業や出版業には、こうした法的規制はなく、外国政府が人員面において何らかの関与をしていたとしても、事実上の野放しとなっている。
こうした反日プロパガンダは、安倍総理が4選してしまえば、その領土的野望を実現できなくなる外国政府によるものであるとの疑義を容れる。賢明なる日本人は、こうした謀略に決して騙されてはならない。
命を預けるに足る宰相
本論冒頭に紹介したロイド・ジョージ総理は、イギリスは領土的野心ではなく、ただドイツ軍国主義の打倒のみにあることを内外に宣伝し、戦勝国としてイギリスの国際的地位を確立した。この功績から貴族に叙爵され、今も初代の精神を継ぐ第4代ドワイフォーのロイド・ジョージ伯爵が位する。
内閣総理大臣として憲法改正に尽力された正二位大勲位岸信介の精神も、その孫にあたる安倍総理に必ずしや継がれていると信じる。
現在の国際情勢は厳しく、いつ我が国の総理大臣が戦時宰相として日本存亡の戦いを指導する立場になるかわからないからこそ、私たち国民の「命を預ける宰相」を求めなければならない。そう考えた時、確かな実績のある人物が安倍総理以外にいるであろうか。否、いない。
もし、国家観を欠く指導者が総理となったならば、取り返しのつかない悲劇に見舞われるであろう。だからこそ、日本を戦勝国へと導く器の持ち主として、安倍総理の4選を強く申し上げる。
内閣総理大臣として憲法改正に尽力された正二位大勲位岸信介の精神も、その孫にあたる安倍総理に必ずしや継がれていると信じる。
現在の国際情勢は厳しく、いつ我が国の総理大臣が戦時宰相として日本存亡の戦いを指導する立場になるかわからないからこそ、私たち国民の「命を預ける宰相」を求めなければならない。そう考えた時、確かな実績のある人物が安倍総理以外にいるであろうか。否、いない。
もし、国家観を欠く指導者が総理となったならば、取り返しのつかない悲劇に見舞われるであろう。だからこそ、日本を戦勝国へと導く器の持ち主として、安倍総理の4選を強く申し上げる。
橋本 琴絵(はしもと ことえ)
昭和63年(1988)、広島県尾道市生まれ。平成23年(2011)、九州大学卒業。英バッキンガムシャー・ニュー大学修了。広島県呉市竹原市豊田郡(江田島市東広島市三原市尾道市の一部)衆議院議員選出第5区より立候補。日本会議会員。
昭和63年(1988)、広島県尾道市生まれ。平成23年(2011)、九州大学卒業。英バッキンガムシャー・ニュー大学修了。広島県呉市竹原市豊田郡(江田島市東広島市三原市尾道市の一部)衆議院議員選出第5区より立候補。日本会議会員。