【安積明子】永田町に吹きはじめた解散総選挙の「風」

【安積明子】永田町に吹きはじめた解散総選挙の「風」

 解散総選挙の風がちょっと吹き始めました。理由は内閣支持率の下落がひとまず落ち着いたことと4月上旬の菅義偉首相の訪米の決定です。昨年当選したばかりのバイデン大統領にとって、菅首相は最初に面会する外国首脳ということになりますが、これがとても大事。ほら、安倍普三前首相も当選したばかりで就任前のトランプ前大統領に会いに行きましたよね、お土産のゴルフ道具を持って。

 このプレゼントのおかげかどうかは知りませんが、安倍前首相とトランプ前大統領との良好な関係はここから始まったと言えるでしょう。では菅首相は何をお土産にするのでしょうか。日テレが大統領選の時に作成した表によれば、バイデン大統領の趣味は愛車でドライブで、好きな食べ物はアイスクリームだそうです。日本車をお土産にはできませんが、アイスクリームが良さげですね。菅首相も甘いものが大好物ですから、一緒にアイスクリームを食べながら、いろんな問題を溶かしてほしいと思います。

 この場合、投開票日は4月25日と言われ、衆議院北海道第2区と参議院長野県選挙区の補欠選挙、参議院広島県選挙区再選挙と重なるわけです。いずれも自民党にとって有利とはいえない選挙区ですが、本選挙が行われるとなれば、そういう事情も吹っ飛びます。

 2019年の参議院選で公職選挙法違反で公判中の河井克行氏が衆議院議員を辞めることを決意したと報じられたことも、その一環でしょうか。河井氏が裁判で無罪を主張して粘ると、補選や再選挙に良い影響を与えません。解散総選挙となると、なおさらです。

 都議選と同日の7月4日説も有力です。選挙が重なるのは公明党にとって嫌かもしれませんが、公明党が都民ファーストを応援した4年前と異なり、今回は自公で政策協定を交わしています。国政とのねじれがなくなるということは、同日選挙に向けての布石でしょうか。

 もっとも重要なことは、菅首相にとって一番の「敵」は党内にいるということです。もしこのまま内閣支持率が下落し、9月の総裁選を迎えるとすると、衆議院の任期を目の前にして「新しい総裁で戦いたい」という声が大きくなるに決まっています。虎視眈々と総理総裁を狙う輩も、ひとりやふたりではありません。
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敵は「党内」にあり?
 そこで9月の前に解散総選挙を行わなければなりませんが、7月23日からオリンピックが始まり、パラリンピックが閉会する9月5日まで続きます。その最中あるいはその後で国会を召集して解散…。これはちょっと難しいですね。かつての有力説である10月17日説では、追い込まれ解散の可能性大。この時にまたコロナの感染が拡大している可能性もありますし、オリンピックを終えた小池百合子東京都知事が「大きな仕事をやりとげました!」とばかりに、国政に復帰しようとするかもしれません。有力な“ポスト菅”がいない今、小池知事にとってチャンスですからね。

 ひとまずは千葉県知事選の結果、首都圏の知事たちの勢力図がどのようになるのかに注目しています。なお今年の春分から「風の時代」に入るそうですが、風向きが気になるところです。
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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