【安積明子】菅総理に直撃!…でも見えなかった"心"

【安積明子】菅総理に直撃!…でも見えなかった"心"

 当たっちゃいましたよ!
 12月4日の首相会見で、質問の機会を与えられたのです。まずはソーシャルディスタンスで席数が限定されている中、内閣記者会非加盟の10席を巡っての争奪戦。官邸報道室から午前10時前に連絡がありました。

「本日午後6時目途で、首相会見が開かれます。さきほど申込フォーマットをメールしました。参加されますか?」

 どうしようかなと迷いました。実は来年早々に単行本を発刊するので、その原稿の追い込み時期だったからです。もっとも、申し込んでも当たるかどうかはわかりません。それでいちおう「参加します」と伝えました。

 お昼ごろに報道室から電話があり、「当選」の知らせが。でも正直なところ、ちょっと微妙な心境でした。

 というのも、当初は午後2時に連載の取材で渋谷に行き、午後4時からの官房長官会見に参加してすぐ帰宅する予定でした。それが官房長官会見がなくなり、午後6時まで永田町で時間を潰さなくてはならない。原稿を書く時間が……。

 いやいや、ここで愚痴っていては罰が当たってしまいます。ひとまず渋谷から永田町に行き、衆議院第一議員会館内のタリーズで質問を練っておりました……。といっても、実際には寝不足がたたって、カウンターテーブルに突っ伏していましたけど。

 それでも質問を考えました。まずはコロナ禍での孤独死の問題を取り上げようと思いましたが、きちんとした統計がないようですね。推計では年間2万件くらいは発生しているようで、コロナ禍で増加しそうです。そこからいろいろ調べた結果、やはり調査数字のある自殺問題に決めました。

 警察庁によると、2020年10月の自殺者数は2153人。前月比では325人、前年比で614人も増加しています。実は第1波直前の今年3月も、前月比で298人も増加していたのです。そして第2波が来た7月も前月比279人増加。しかも女性の自殺者が急増しているとのこと。明らかに新型コロナウイルス感染症の影響で、社会的弱者にしわ寄せがきています。

 コロナ禍で自粛を迫られ、いろんなところにストレスが生じますが、とりわけ日本人は、内側に籠る傾向にあるとか。孤独の中で自分を追い詰めてしまうということでしょう。

 コロナ禍は誰でも苦しい。だから10万円の特別定額給付金が好評だったのでしょう。なんとなく国からの「頑張ってね!」というメッセージのようで、励ましになりましたからね。

 ということで、記者会見で手を挙げました。当たらないだろうなあと思いながら。だって会見場に行ったら、知り合いの記者さんが「先輩、クジ運いいですね!」と褒めて(?)くれましたから。まだそれ以上の幸運があったのなら、年末ジャンボに残したい……。

 でも指名されたんですよ! 山田広報官、有難うございます! しかも名前をきちんと呼んでいただけたのが嬉しかった!前任の長谷川広報官は、「白いお召し物の方」でしたから(涙)。

 ところが質問しようとマイクの前に行く途中、思わずノートを閉じてしまったり、入館バッヂを落としたり……。すみません、あたふたして。それで、私の「こういう時だからこそ、総理が国民に寄り添うために、頻繁にメッセージを出し続けるべきではないか」という質問は伝わったでしょうか、あらかじめ質問通告していませんが。

 いや、伝わっていないですね。菅義偉人首相の回答は、「官房長官が1日2度会見している」と。要するに「総理大臣がわざわざ行うことはない」ということでしたから。

 しかし首相会見と官房長官会見では、国民が受け止めるメッセージの質が違うんですよね。おそらく官房長官会見の4、50回分(1カ月分に相当)以上が、1回の総理会見に相当するのではないでしょうか。

 帰宅途中で携帯を確認すると、ネットでは想像以上に「首相会見は残念だった」との声が多かったですね。そうなんですよ、国民は菅首相の“心”を見たかったのです。

 ということで2020年の全ての勝負運を使い果たし、来年の勝負運に賭けるべく、私はこれから原稿に邁進です。
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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この記事へのコメント

道産子ちびこ 2020/12/8 20:12

ヤフーニュースでよくお読みしていました。良心と正論をおっしゃるので、こちらでははじめて読ませて頂きます。
隠蔽虚偽報道に対して物申してください。
応援しています。お体を大切にされてください。

ゆず湯 2020/12/7 11:12

ご苦労様でした。次は慣れますよ。

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