国民とともに歩む

 私は、平成29年の衆議院議員総選挙で希望の党から立候補した。安倍政権による移民政策の公約に納得ができず、我が国に災禍をもたらす政策であると考えていたからだ。 しかし、ふとした偶然から平成25年4月14日、硫黄島と小笠原諸島父島を訪れ、硫黄島の滑走路に膝をつき泣き崩れる安倍総理の写真を目にした。

 マスコミの報道がなかったとはいえ、遅ればせながら6年以上の歳月を経て、私は事実を知った。硫黄島の自衛隊基地の滑走路の下には、先の大戦で散華された英霊のご遺骨が眠っており、米軍がそのまま滑走路建設をしたため、遺族のもとにおかえしすることがままならない。このことを知った安倍総理は涙を流し、泣き崩れたのだった。

 そして、300億円の予算を首相官邸が負担し、大東亜戦争で散華された英霊のご遺骨を最後の一柱まで収集する考えを明らかにされた。

 ところで、FNNによる合同世論調査では毎回、総理の「人柄」をどのように評価するかといった質問事項がある。安倍総理の人柄に対する国民の評価から、為政者に相応しい人物か観測しているのだ。最近の調査では、安倍総理の「人柄」に対する評価が下がり、低空飛行を続けているといった報道表現が目立つ。

 だが、果たしてそうであろうか。考えてもみてほしい。一国の宰相が両膝を地面につけてひれ伏し、祖国のため尊い命を捧げられた方々に対し、謝罪をされたのだ。この情景のすべてを、私のつたない表現力ではお伝えできないかもしれない。しかし、泣き崩れた総理の写真を見た私の目からは涙があふれ、一つの思いが心の中に満ちた。

「一人でも多くの国民が、安倍総理のこの写真を見れば」

 安倍政権のあらさがしに行き詰まり、マスコミはついに人柄批判まで始めたが、私にはこの「安倍総理のお人柄」こそ、政権の人気の秘密ではないかと思う。

 安倍政権は、暗黒の民主党政権で進捗した失業率を改善するなど、強い経済に裏付けられた政権だとの見方もあるが、実際のところは、国民と共に歩む〝情愛〟にこそ、権力の源泉があるのではないだろうか。

移民とはただの労働力?

 前述までの安倍総理のお人柄に対する信任を前提に、より国益に資すると私自身が信じる次の2点を安倍政権に上申し、日本の発展を願いたい。それは「移民政策」と「防疫政策」である。

 まずは「移民政策」について述べていこう。

 私は前回の衆院選において、全候補者中ただ1人だけ移民政策反対を訴え、当時28歳で地元広島県から立候補をした。なぜ、かくも強く移民政策に反対したのか。それは、国家の基幹に深くかかわることであるからだ。

 昨年4月から施行された改正入管法によって在留資格が拡大され、外国から多くの人々が職を求めて来日することが可能になった。これは、産業界の切実な人手不足の要請に応えた形ではあるが、その理由には疑義がある。

 一般的な経済学の考え方として、人手不足とはそれこそ対独戦直後のソヴィエト連邦のように成人男性の多くが死傷した場合を除き、単純に支払賃金がない状態だ。人手不足とは要するに労働に見合うだけの賃金が期待できないため、求職者がいないことを意味する。

 労働者に十分な賃金を支払えない状態は、市場における当該企業の需要が低いということである。実態としては安価な外国人労働力が欲しい一方、人手不足と言い換えて体裁を整えている。

 なるほど確かに外国人移民によって企業は安価な労働力を手に入れ、利益を追求できる。しかし、国家全体ではどうか。外国人による犯罪によって失われる利益、捜査費用、裁判費用、収監費用などを計算しているのだろうか。外国人の集団が居住した不動産価格の低下あるいは上昇を想定しているのか。日本人との婚姻によって出生した子の帰属や文化的摩擦を解消するための費用を算定しているのか。私が見た限り、そうした計算は一切なく、ただ労働力のみ得られると考えているのではないだろうか。

 すでに、ドイツやスウェーデンでは移民問題の先行例があり、たとえば平成27年末には、1000人規模の被害女性を出した集団強姦事件がドイツのハンブルクやケルンにおいて発生している。もちろん、日本へ働きに来る人々は在留期限付きであり「移民ではない」との主張があるが、文化習慣が一致しない人々が大量に長期間在留するといった点においては何ら変わりがない。

 女性が1人で出歩ける状態が「かつての古き良き日本」には存在した、という事態になってしまうことは絶対に許されない。

正しい「防疫政策」なのか

 次に「防疫政策」についてだ。

 前述までの移民政策の精神が最も悪い形で具現化したのが、今般の新型ウイルス問題である。まず、 この問題が発生した背景について述べたい。
 
 旧民主党の経済政策は、「砂漠で雨の心配」をするかのごとく、極度にインフレを恐れたデフレ政策であった。このため、世界に流通する日本円の量は少なく、情報通信技術の発達によって日本国の実態を知った多くの人々が魅了され、安全資産として日本円を買い求めて円高はさらに進行した。すると、輸出立国として経済大国の地位を築き上げた日本の製品が、どのように性能が良くても円高である以上売れなくなった。そこで、観光立国などといった虚弱体質になり、外国人のインバウンドによる外貨獲得に期待するようになったのである。

 この状況下では、観光客を阻むことは経済失策にあたるため、今回のような新感染症が外国に発生したとしても、政府は国民の生命よりも、経済を優先せざるを得なかったのである。

 時に、政府は「対応する法律がない」と述べたが、これは虚偽である。今から69年も前に政府は、今回のような新型ウイルスの発生を想定し、検疫法(昭和26年法律201号)を制定し、同法第34条にて入国禁止から交通制限および強制隔離が可能であった。

 現に、平成15年に重症呼吸器症候群(いわゆるSARS)が流行した際は、政府は遅滞なく同感染症を政令(平成15年政令第305号)にて検疫法第34条指定新感染症とし、日本人感染者が1人もいなかったにもかかわらず入国制限等を可能な状態にしているのである。

変化を嫌うな

 平成15年当時と現在では何か違うのか。それは、外貨獲得の手段が工業製品の輸出からインバウンドに変わりつつあったことである。観光業界の利益のため、新型ウイルスの危険性を見誤り、国民の生命を危険にさらした責任は決して免れるものではないことを率直に申し上げる。
 米ハーヴァード大の哲学教授ウィリアム・ジェームズは、その主著『プラグマティズム』(桝田啓三郎訳)の中で、不幸なものは不幸な現状を首肯することなく変化を望むが、不幸ではないものは現状の維持を支持すると述べている。
 
 この理屈は安倍政権の長期化にも言える。すなわち、社会保険料などの重税に苦しむ一方で、現代にはある程度の娯楽もあり、驕奢ではないにしろ衣食住にも事足りているため、不幸であるとの意識が気薄なのだ。従って、変化を嫌い、リスクをとるべき理由がないと考える。
 
 リスクとは何か。言うまでもなく、野党(一部除く)である。数年間も論点のずれた議論に固執して国会を空疎な場とし、安全保障政策への無策、今般に至っては花見客の名簿を巡り騒ぐなど、もはや正気の沙汰とは言えない有様を国民に見せ、日本の中に何か別の国があるかのような印象さえ与えている。平成27年の平和安全法制の審議では、国会前で太鼓を叩いてダンスをする集団に交じって叫び、二重国籍疑惑を払拭できない者がその後、党要職を務めた。
 
 昨年の台風被害でも、国民の命を守る堤防建設維持費用の削減を主張していた過去などが暴露され、国民からみれば、もはや「良い暮らし」といった高次の話ではなく、彼らに権力を信託したならば生命身体の安全が脅かされる恐怖感さえ覚えさせているのが実情だ。命の危険が迫るよりは増税の方が良い、との比較衡量論に一般国民が落ちつくのは、当然の帰結といえるであろう。

令和の門戸開放をせよ

 では、今後の安倍政権に対して、どのような期待をすべきだろうか。

 それは、憲法改正はもちろんのこと、武器輸出規制のさらなる緩和である。
 不謹慎ではあるが、不幸中の幸いとでも言うべきか、新型ウイルスについて日本政府の対応への不信感からか、世界の人々は日本円を投げ売りし、急激な円安が進行した。日銀が8年間かけても達成できなかった恒常的な円安を新型ウイルスによって達成しつつある。つまり、本来の輸出立国としての地位を取り戻せる高い蓋然性が今あるのだ。

 壊れにくい日本車に対する信用から、世界は日本の兵器を求めている。すでに飛行艇US2の輸出がインドやタイなどの関係国と議論されているが、そうではない。大規模かつ常道的にこれを推進し、令和の門戸開放をするのだ。

 そうすれば、三菱重工やSUBARU(富士重工)、豊和工業などの防衛産業関連株価の大規模上昇によって日経平均株価も後押しされ、その経済的恩恵はいずれ一般国民の手に届くと考えられる。

 特段の積極的政治思想を持たない国民にとって、現状の安倍政権とは、ほかに選択肢がない前提を基礎にした消極的選択の結果である怖れを感じている。飢えた国民が増加すれば、「とりあえず違う選択をしてみたい」と考えて投票することも当然予想される。

 溺れている者は正常な判断ができず、たとえ浮力のある浮き輪を持っていても、その浮き輪を捨ててワラなど全く浮力のないものを摑んでしまう、愚かな習性を持つ。それはリーマンショック後の民主党政権ですでに経験した。

 しかるに、国内における女系天皇論の謀議、そして膨張する大陸の軍事国家が特定の民族だというだけで罪なき妊婦や赤子まで抹殺せんとする中、我が国は習近平国家主席を国賓にするという歴史的な過ちを犯しつつあった。特に、新型ウイルスに感染すると、回復後もおたふく風邪合併症にある睾丸炎のように、生殖能力を喪失する例が諸外国からは報告されている。

 万が一、国賓晩餐会に臨席されたご家族経由で、秋篠宮家の長男・悠仁親王殿下が感染されたならば、どのようにその大罪の責任をとられるおつもりだったのか。

中国との付き合い方を見直せ

 以上から、今後の安倍政権に期待することは次の2つだ。従来の移民政策および防疫方針を改め、かつ憲法改正の前駆的行動として、武器輸出を全面的に推し進めることだ。

 自由主義国の装備強化は我が国の安全を強化し、防衛関連企業にもたらされた莫大な富は問題を一挙に解決し、ひいては「賃金がないという理由の人手不足状態」など一瞬で解決するだけの需要が発生し、外国人による低賃金労働や外国人観光客による外貨獲得に期待を寄せるべき事由も消滅する。

 安倍政権は正義の観念をもって外交に取り組み、ホロコーストの実行者との商取引や観光産業などではなく、我が国の武器輸出規制の大規模緩和を裁量的解釈で成し遂げ、道義的に非難される謂れのない富を日本国へもたらすべきであると上申し、本稿を終える。
 安倍晋三総理大臣こそ、聖上陛下より大権を預かり奉る領くものなのだから。

橋本 琴絵(はしもと ことえ)
昭和63年(1988)、広島県尾道市生まれ。平成23年(2011)、九州大学卒業。英バッキンガムシャー・ニュー大学修了。広島県呉市竹原市豊田郡(江田島市東広島市三原市尾道市の一部)衆議院議員選出第5区より立候補。日本会議会員。

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