【安積明子】大阪都構想否決に浮かれる自民党大阪府連の"...

【安積明子】大阪都構想否決に浮かれる自民党大阪府連の"勘違い"

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 大阪市を4つの特別区に分割する大阪都構想が11月1日に否決され、すっかり「自分たちが勝った」感のある自民党大阪府連。11月13日午後3時には首相官邸に赴き、菅義偉首相に「勝利のご挨拶」をしたようですね。

 これって凄いことなんですよ!
 というのも、菅首相とおおさか維新の会との蜜月関係は超有名で、今回の大阪府連の動きを外交で例えていえば「日本政府が北朝鮮から拉致被害者を奪還したお礼を、北京に行って中国政府に述べた(当然、中国政府は何にもしていないのに)」というのと同じようなものですから。

 そもそも今回の大阪都構想反対運動にしても、自民党大阪府連は党本部から何の援助ももらっていない。にもかかわらず、わざわざお礼に上京するとはなんとも変な話ですね。あっ、「お礼」ではなく「報告」でしたっけ? それなら維新贔屓の菅首相に対する「宣戦布告」と等しいんじゃないですか?

 それにしても、自民党大阪府連は勝利に浮かれる資格があるのでしょうか。10月31日から11月2日まで大阪入りしていた筆者は、全くそうは思いませんでしたけど。

 目立っていたのは大阪に乗り込んだれいわ新選組の山本太郎代表のゲリラ的な街宣で、「次期衆議院選では2議席獲得を狙って、山本代表が近畿ブロックで出馬するのではないか」と囁かれています。また投票日当日になんば高島屋前で行われた街宣で見た吉村洋文知事と松井一郎市長のお疲れモードも印象的でした。当初は大阪都構想賛成が15ポイントほどリードしたにもかかわらず、瞬く間に逆転されたわけですから、落胆ぶりは当然です。

 その逆転の決め手になったのが、10月26日に毎日新聞が報じた「218億円のコスト増」と言われ、同紙が維新側から「インチキ」と批判されています。よほど悔しかったようで、10月29日の衆議院本会議でも日本維新の会の馬場伸幸幹事長が総務大臣に「毎日新聞の報道は違法だ」と言わせようとしていましたが、かえって私怨を国政の舞台で晴らしているように見えて興ざめでした。「真相」については来年3月に大阪市財政局長が定年退職らしいですから、その時に明らかになるんじゃないですか。

 いずれにしろ、自民党大阪府連が有頂天になるのは違和感ありすぎです。「あんたら単独では、全然勝ってないやろ!」と突っ込みを入れたいところですが、その価値すらあるのかどうか……。
 もっとも大阪府連による官邸への「お礼参り」の効果には大きく注目していますので、次期衆議院選はもちろん、現職の松川るい参議院議員以外に2人目の自民党候補を無理くり擁立するという次期参議院選が楽しみです。うふっ!
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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