【安積明子】2021年:自民党の前途多難

【安積明子】2021年:自民党の前途多難

 謹賀新年。今年は衆議院議員選挙が行われ、9月に自民党総裁選もあります。しかし大変なんですよ、自民党が。

 12月の初めに世論調査をしたそうですが、ものすごく厳しい結果が出たそうです。どれだけ厳しいかというと…。

 「えええっ!これって、吉川問題や二階ステーキ会食の前にやった調査だろっ!!なのにこの結果かよっ!!」
 
 と、ある自民党の議員が悲鳴を上げたくらいなんですよ。これまでの選挙は楽勝だったこの議員も相当厳しかった様子で、すっかりヤサぐれておりました。

 といっても、世論調査では野党の支持率は与党にはるかに及ばない。なのになぜ?と思うでしょうけど、それは現実の票の動きを見れば納得です。

 キーポイントは共産党や公明党の票。高齢化とともに減少しつつありますが、依然として「組織票」のパワーを持っています。大阪府下では公明党が自民党から維新に、その他の都道府県では共産党が独自候補を立てずに野党の票が集まったら、どうなると思いますか。本当にピンチ!自民党は大ピンチなんですよ!!
 
 しかもこれから吉川問題や河井夫妻問題、安倍普三前首相の「桜を見る会前夜祭」問題がバッバッバッと襲ってきます。「前夜祭」問題はもうおカネの問題というのではなく、あのわけわかんない記者会見の開催が加わって、安倍前首相の「虚偽答弁問題」になっています。

 しかも会食問題について全く反省の意を示さない二階俊博幹事長とくれば、自民党から出馬する候補としては、手足を縛られ口にはさるぐつわをはめられているのも同然ですね。同じジイサンなら、清和会の細田博之会長の方が“無駄口”がなくていいですね。おカネくれそうにないですけど。いやそれは、もっとあかんわよねえ…。

 それに追い打ちをかけるように、12月22日から27日に行った日経新聞社とテレビ東京の共同調査が公表されました。9月の菅内閣発足時には74%と歴代内閣で3位の高支持率だったのに、わずか3か月で32ポイントも減少しています。しかも支持率と不支持率が逆転。その大きな理由が、自民党支持層の離反です。同調査では自民党支持層の菅政権支持率が前月比で13ポイントも減少しています。朝日新聞の調査も同じ傾向を示していました。身内の離反はきついですね。

 ということで、今年は自民党内で大きな地殻変動が起こる予感です。少なからず「菅義偉首相では選挙は戦えない」という声が大きくなるでしょう。

 実際に4月25日には、アキタフーズ事件で辞職した吉川貴盛元農水相の衆議院北海道第2区と、新型コロナウイルス感染症で羽田雄一郎元国交相が死去した参議院長野選挙区で補欠選挙が行われる予定です。前者は自民党の不祥事、後者は立憲民主党の弔い合戦。いずれも野党に有利です。

 これに河井克行元法務相の衆議院広島県第3選挙区と案里夫人の参議院広島県選挙区が加われば、自民党ますますピーンチ!野党に転落?という悪夢も再来するかもしれません。

 奇しくも今年は丑年で、12年前の丑年は政権交代の年でした。しかも「辛丑(かのとうし)」だから、相当に痛みのある変革になりそうな予感です。ということは、今の自民党の苦難はまだ序盤かも…。今年もますます政治から目が離せません!
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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