【安積明子】菅政権 支持率「9ポイント上昇」の不思議

【安積明子】菅政権 支持率「9ポイント上昇」の不思議

支持率9ポイントUP‼
 もうビックリですよ!讀賣新聞社が3月5日から7日までに実施した全国世論調査によれば、菅政権の支持率は48%となったのですから!前回の調査(2月5日から7日に実施)と比較して、なんと9ポイントも上昇ですよ!さらに不支持率は44%から2ポイント減少して42%となり、支持率が不支持率を上回りました。 

 その原因は何でしょうか。讀賣新聞は新型コロナの新感染者数が減少し、感染状況が落ち着いていることを反映したと分析しています。しかし首都圏の1都3県では、緊急事態宣言は2週間延長されました。これだけで9ポイントも上昇するとは思えません。 

 では他に何があるのかと考えてみたら、NTT接待問題ではないかと思うのです。そもそも菅首相が窮地に陥ったのは、東北新社に勤める長男のスキャンダルでした。週刊文春2月11日号の「決定的スクープ撮 菅首相長男 高級官僚を違法接待」は衝撃的で、2月25日号の「菅首相長男『ウソ答弁』証拠音声を公開する」でその疑惑は確定的になったのです。総務省利権を牛耳る父親とその七光りに甘んじる長男という構図に、国民はうんざりしたはずです。そして3月11日号の早刷りが出る3月3日の前日に、永田町に不思議な噂が流れたのですー菅首相の三男が勤務する大手ゼネコンの辺野古利権の話が出る、と。 

 総務省官僚と接待漬けだった長男に続き、三男まで文春砲を浴びるとなると、菅政権崩壊は間違いありません。いずれの構図も「息子は別人格」とは言っていられないほど、菅首相に近いものだからです。しかし週刊文春3月11日号(3月4日発売)が報じたのは、NTTによる総務省官僚への接待問題でした。

 「これで、菅政権は一息ついたはずだ」 

 筆者はこのように思いました。菅ファミリーがとりあえず文春砲の標的から外れ、その代わりとなったのがNTTでした。 

 もちろんNTTの“接待問題”のターゲットには総務官僚の他、武田良太総務大臣など菅政権のメンバーなど政治家が含まれています。しかし菅首相は含まれず、安全地帯に逃げ切った印象があります。大臣なら斬り捨てることができますからね、息子は無理ですけど。 

 いずれにしろ、菅政権が国民の怒りのターゲットからやや外れたことは事実ですが、これに乗じてさっそく早期解散総選挙説も流れています。4月初めに菅首相が訪米しますが、その“成果”を手土産にするのだとか。
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バイデン大統領と「初」面会へ
 世界で最初にバイデン大統領と直接面会することを“売り”にしたいようですが、バイデン大統領は就任前から「4年の任期をまっとうするのは無理で、ハリス副大統領に引き継がれるのではないか」と噂があります。ですからむしろ、女性初の副大統領であるカマラ・ハリス氏に近づいた方が良いのでは?ほら、森喜朗元首相の発言で、ジェンダー問題が話題になりましたし。  

 と思ったのですが、2人並んだシーンを想像してもしっくりこない…。うーん、やっぱり「9ポイント上昇」は、偶然だったのかなぁ。
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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