コロナ情報・「フェイクニュース」という決めつけに騙されるな!

コロナ情報・「フェイクニュース」という決めつけに騙されるな!

総務省「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査」

 総務省が発表した「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査」では、17の事例がフェイクニュースとして取り上げられている。

 これらの中には「新型コロナウイルスは5Gテクノロジーによって活性化される」とか「お茶・紅茶を飲むと新型コロナウイルス予防に効果がある」といった明らかなフェイクニュースもあるが、「新型コロナウイルスは、中国の研究所で作成された生物兵器である」のような、まだ真偽が確定していないものが一方的にフェイクニュース扱いにされているのは、いかがなものかと感じられる。

 謀略を疑う以上は扱いに慎重さが求められることには異論はないが、可能性としていまだ存在するものをフェイクと決めつけて排除するのは適切だとは言えない。

傍証①:中国研究者の証言

 香港大学公共衛生学院でウイルス学と免疫学を専門として研究していた閻麗夢氏(Li-Meng Yan)という女性研究者がいる。彼女が勤務していた研究室はインフルエンザウイルスとコロナウイルスの研究を専門的に行い、WHOにこれらの流行性疾患の情報を提供する役割を持っている。彼女は上司の指示により、この研究室を代表して昨年末からこの新型コロナウイルスの調査を進めてきた。実際WHOは新型コロナウイルスに関する情報をこの研究室にも求めている。

 彼女は自分の研究結果を上司に話したところ、このことを黙っているように求められ、一線を越えるとみんな消されることになると警告を受けた。彼女によれば、実際にこの研究室も情報隠蔽に加担する側に回った。このような中で彼女は自分の知り得たことを公表するのは使命だと感じ、まさに命がけでアメリカに逃亡し、このウイルスが人為的なものであると証言した。

 彼女によると、このウイルスはZC45とZXC21と呼ばれるコウモリのウイルスを人工的に改変したものであり、そのことには数多くの証拠がウイルスの遺伝子配列の中に残っているという。

傍証②:進む発生経緯の研究

 ところで今回のウイルスの起源については、武漢の海鮮市場だとする「通説」があるが、こちらは事実上崩壊している。確かに海鮮市場の31の店から新型コロナウイルス陽性のサンプルが合計33個検出されたとされ、その中には「野生生物」を扱うお店も含まれているが、それらはすべて水産物のお店だ。だが、水産物が自然宿主(ウイルスが自然の状態で共生していた生き物)だったという報告は一切ない。

 そもそもこのウイルスの自然宿主はタケネズミだとかセンザンコウだとかいろんな可能性が言われてきたが、このウイルスに感染しているそうした動物はただの一匹も見つかっていない。中国版CDCの高福所長も5月25日になってから「全体過程を見直してみると、海鮮市場と関係する感染が報じられる前からウイルスは存在していたはずだ」と述べ、海鮮市場起源説を事実上否定している。

 さて、新型コロナウイルスは細胞にあるACE2レセプターと結合することで、細胞内に侵入することがわかっている。オーストラリアのフリンダース大学のペトロフスキー教授は、このウイルスがどの動物のACE2レセプターよりも人間のACE2レセプターと結合しやすいことを突き止めた。仮にこのウイルスに自然宿主があるならば、その動物のACE2レセプターにもっとも結合しやすいはずだが、そんな動物は見つからなかったのである。

 アメリカのバイオサイエンス・リサーチ・プロジェクトの二人の研究者、、ウイルス学者のレイサム氏と分子生物学者のウィルソン氏は、ペトロフスキー教授が挙げている点について、さらに興味深い点を指摘している。

 2人は中国の論文の中から興味深い修士論文を見つけた。その論文には6人の鉱山労働者が坑道についているコウモリの糞を剥(は)ぎ取る作業を行った後に、現在流行している新型コロナウイルス感染症と同じような症状を患い、コロナウイルス感染症だと診断されたことが記載されていた。
 感染者の中には何ヶ月も入院していたケースがあり、この場合にウイルスは人間の体内で人間に適応するように進化することが予想され、こうした人から採取されたサンプルが武漢ウイルス研究所に送られたことも記載されていた。
 この武漢の研究所に持ち込まれたウイルスが起源であるとすれば、自然宿主がいないことは合理的に説明できる。

 そもそも自然宿主から人間に感染したとすれば、ウイルスが変異する中で人間の細胞との結合性に関わる部分は急激な変化が見られるべきものだが、この結合性に関する部分についてはウイルスにほとんど変異が生じていないのだ。

 この2人の研究にはさらに興味深い指摘がある。今回の新型コロナウイルスには様々な種類の細胞との結合を引き起こせる「フリン・サイト」と呼ばれる領域があるが、この「フリン・サイト」は近縁の既知のウイルスのどれにも存在しないのである。人為的にこの「フリン・サイト」を付け加えたと考えないと、この部分の説明がつかないのである。

「不都合な情報=フェイク」という決めつけに警戒を

 こうした諸点から考えれば、このウイルスを「生物兵器」と呼ぶかどうかは別として、武漢の研究所で開発された可能性は排除できないだろう。
 にもかかわらず、陰謀論の臭いがするからという理由で「フェイク」だと頭から決めつけるのは正しいとは言えまい。

 決めつけを行うことには慎重であるべきだろうが、もし「中国政府に失礼だから」といった理由で可能性まで排除しているとしたら、それは科学的態度とは相反する判断だ。
 フェイクニュースに気を付けることはもちろん必要だが、都合の悪い言説を「フェイク」扱いにして、その判断をあたかも正しいものごととして扱わないといけない空気が覆っているのであれば、その事実にこそ私たちは警戒をすべきではないだろうか。
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朝香 豊(あさか ゆたか)
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」( https://nippon-saikou.com )の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。

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