期待値は高いも、課題も多し
12月21日に「デジタル・ガバメント閣僚会議」の「デジタルガバメント実行計画」や「データ戦略タスクフォース第一次とりまとめ」などが発表された。デジタル庁の設置は管政権の看板政策の1つであり、20年にわたる掛け声だけのデジタル化からのテイクオフを期待している。
期待できる要素は多い。
自民党内きってのデジタル通と呼ばれている平井卓也氏がデジタル改革相となり、河野太郎行政改革・規制改革相とタッグを組んで進めている。平井デジタル改革相は役人を介さないで政治家だけで話し合う機会を重視する姿勢を打ち出し、役所の抵抗を極力排除する姿勢も鮮明にしている。
デジタル庁を各省庁への勧告権などの総合調整機能を持った司令塔組織にする方針も定まり、デジタル庁設置法やIT基本法の改正案は来たる1月の通常国会に提出されることになった。2021年度の予算編成では、人件費と基盤システムの開発費で81.3億円の予算要求の満額を勝ち取り、非常勤を含めて職員500名で来年9月にデジタル庁が発足するのは確実となった。副大臣や政務官も配置することになる。令和4年度(2022年度)の国家公務員採用試験からはデジタル人材向けの新たな試験区分が設けられ、民間企業から実務経験者を確保する方針も固まった。
「実行計画」を見ると、具体的な施策としてワンストップサービスを大きく打ち出している。例えば現在は引越しをする場合に、住所変更の手続きは様々な場面で必要となるが、ワンストップサービスが実現すると住民票さえ変更しさえすれば、残りの手続きは自動化されて不要になる。しかも行政が関与する話だけでなく、銀行口座などの一部民間のサービスまでこうしたワンストップサービスが行き渡るような制度設計を考えている。
ワンストップサービスについて、子育て系で15、介護関係で11、被災者支援系で8など、かなり具体的な項目まで列挙しているのも評価できる。請求書のシステムを電子化するにあたっては、国際標準になっているPEPPOL(ペポル※)の採用を決め、これにより日本全国で一元的に管理する方針が固まってきたこと、マイナンバーカードのスマホ搭載や健康保険証機能の付与が謳われていることも評価できる。
※電子インボイスなどの電子文書をネットワーク上で授受するための国際的な標準規格
ただ、産業構造の転換を促し、効率的な民間事業を促進させるデジタルプラットフォーム作りという観点は弱いのではないかという印象がある。各企業のバラバラな対応をなくすための共通プラットフォーム作りに成功し、それを海外にも採用してもらえる標準として育てるなら、日本企業が海外で戦う上での大きな武器にもなる。
従来にはない革新的な規格を打ち立てるという場合には、これまでの業界標準規格にとらわれないようにしないといけないが、この役割を個別企業が担うことを求めるのはリスクが高すぎるだろう。日本企業の競争力を強化する見地からも、統一的なプラットフォームを作り、それを他国に採用を促すところまで進めていくことまで、是非ともデジタル庁には考えてもらいたいものだ。
期待できる要素は多い。
自民党内きってのデジタル通と呼ばれている平井卓也氏がデジタル改革相となり、河野太郎行政改革・規制改革相とタッグを組んで進めている。平井デジタル改革相は役人を介さないで政治家だけで話し合う機会を重視する姿勢を打ち出し、役所の抵抗を極力排除する姿勢も鮮明にしている。
デジタル庁を各省庁への勧告権などの総合調整機能を持った司令塔組織にする方針も定まり、デジタル庁設置法やIT基本法の改正案は来たる1月の通常国会に提出されることになった。2021年度の予算編成では、人件費と基盤システムの開発費で81.3億円の予算要求の満額を勝ち取り、非常勤を含めて職員500名で来年9月にデジタル庁が発足するのは確実となった。副大臣や政務官も配置することになる。令和4年度(2022年度)の国家公務員採用試験からはデジタル人材向けの新たな試験区分が設けられ、民間企業から実務経験者を確保する方針も固まった。
「実行計画」を見ると、具体的な施策としてワンストップサービスを大きく打ち出している。例えば現在は引越しをする場合に、住所変更の手続きは様々な場面で必要となるが、ワンストップサービスが実現すると住民票さえ変更しさえすれば、残りの手続きは自動化されて不要になる。しかも行政が関与する話だけでなく、銀行口座などの一部民間のサービスまでこうしたワンストップサービスが行き渡るような制度設計を考えている。
ワンストップサービスについて、子育て系で15、介護関係で11、被災者支援系で8など、かなり具体的な項目まで列挙しているのも評価できる。請求書のシステムを電子化するにあたっては、国際標準になっているPEPPOL(ペポル※)の採用を決め、これにより日本全国で一元的に管理する方針が固まってきたこと、マイナンバーカードのスマホ搭載や健康保険証機能の付与が謳われていることも評価できる。
※電子インボイスなどの電子文書をネットワーク上で授受するための国際的な標準規格
ただ、産業構造の転換を促し、効率的な民間事業を促進させるデジタルプラットフォーム作りという観点は弱いのではないかという印象がある。各企業のバラバラな対応をなくすための共通プラットフォーム作りに成功し、それを海外にも採用してもらえる標準として育てるなら、日本企業が海外で戦う上での大きな武器にもなる。
従来にはない革新的な規格を打ち立てるという場合には、これまでの業界標準規格にとらわれないようにしないといけないが、この役割を個別企業が担うことを求めるのはリスクが高すぎるだろう。日本企業の競争力を強化する見地からも、統一的なプラットフォームを作り、それを他国に採用を促すところまで進めていくことまで、是非ともデジタル庁には考えてもらいたいものだ。
朝香 豊(あさか ゆたか)
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」( https://nippon-saikou.com )の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」( https://nippon-saikou.com )の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。