女性スポーツの死

ナザレンコ・アンドリー:LGBT配慮が「国際社会の常識...

ナザレンコ・アンドリー:LGBT配慮が「国際社会の常識」はリベラルの洗脳だ!

性別適合手術で男子から女子に性別を転換し、東京五輪に出場するローレル・ハバード(ニュージーランド)選手
via yahoo
 2021年6月11日、国際重量挙げ連盟(IWF)がトランスジェンダー選手の五輪出場を認めた。身体的優位性のあるトランスジェンダー選手(元男性)が女性枠に入れられることは、事実上「女性スポーツの死」を意味する。にもかかわらず、国際機関であるIWFは人生をかけて練習してきたのに優勝の機会を奪われた本当の女性選手の思いや生物学的な事実よりも、度を過ぎたイデオロギーを優先することにした。女性の人権とプライドを踏みにじるIWFの罪も重いが、頭ごなしに「性差別だ」と叫ぶLGBT利権屋からのバッシングを恐れて女性の人権を守るために声をあげなかった人々にも責任があるだろう。早く伝統的な家族観の破壊を推奨する左派リベラルたちのプロパガンダの危険性に気づいて立ち上がらないと、新たな犠牲者が出るのは時間の問題だ。

 かつて欧米の一部の国も同じ道を歩んできたので、欧米活動家の主張の変化を見ることで、日本の行先もだいたい予測できるだろう。以下のとおりである。

「私たちが同性愛者だからといって、差別されるのはおかしいでしょ? 私たちはただ平和に暮らしたいだけ。大人二人がベッドルームで、合意のうえで何をしたって他の人には関係ないでしょ?」

「私たちはあなたの街の中央通りで、私たち(同性愛者)のライフスタイル(生き方)を賛美するプライド・パレードを開催します。全裸になったり性具を振りかざしたりするけど、嫌なら見なければいいだけじゃないの」

「今度は町のいたるところにレインボーの旗を飾ります。これを嫌がったり、反対するのはヘイトになるからな?」

「私たちは何十個もの新たなジェンダーを生み出した。これから相手の性自認に合わない発言をすれば、すべてヘイトクライムになるからな」

「あらゆる映画やゲーム、小説に同性愛者のキャラクターを入れないのは差別にあたる。かつて制作されたアニメなども見直して、ゲイにキャラクターを変更するべきだ。それに会社の役員も2割以上が同性愛者じゃなければ差別になるからな」

「私たちはあなたの子どもが通う学校でジェンダー論を教えます。『性別を決めつける言葉』を使うことを禁止にするから、母親を「母親」とよばず、「保護者」と言いなさい。男子学生にも女子学生の制服を着させます」

「あなたの息子がドレスを着てみたり、女の子用のおもちゃで遊んだりしていたら、トランスジェンダーかもしれません。それなら生物学的性別に伴う第二次性徴の発達を止めるために、 「第二次性徴遮断薬」を投与すべきです。8歳の子どもでもトランスジェンダーを希望するなら、性転換手術を施すべきです」(参考:リベラル母親に性転換されそうになったジェームス・ヤンガーの事件)

「実際の性別ではなく、『女性』を自称する人の辞任を尊重すべきです。女性を自称する人が女湯や女子トイレ、女性刑務所に入りたかったり、女性の大会に参加を希望するなら認めるべきです。たとえ犯罪につながってもです」

 LGBTに関するプロパガンダが暴走してきたことは、火を見るよりも明らかだ。もはや当事者の権利を守る運動ではなく、「LGBTの権利が最優先で、それ以外の人権は二の次だ」という圧倒的なマジョリティーの日常を破壊する運動に変わった。そして日本も今、活動家に騙されて欧米と同じ過ちを繰り返しそうだ。
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毎度「明るく楽しい」様に報道されるプライドイベント

「きれいごと」で反論を防ぐ欺瞞

 アメリカの政治学では「オヴァートンの窓」という概念がある。「社会に受け入れられる思想は、窓のように一定の範囲の中に限定されている。窓の範囲に収まらないような思想は過激と思われるが、その範囲が常に変化しており、少しずつ広げることも狭めることも可能」という考え方だ。世界中の左派リベラルやLGBT利権屋がやろうとしているのは、まさに少しずつオヴァートンの窓を広げることなのだ。まずは差別禁止や人権保護という、聞こえだけはもっとも〝らしい〟理由でLGBT法案などを成立させて、それが多くの人に受容されたら次のステージ(性自認の法的容認や同性婚合法化)に移っていく。そうして、どんどん世論をおかしい方向へ誘導し、歪めていく。

 差別の定義を好き勝手に変えて、賛同しない者に「差別主義者」のレッテルを貼り、社会的粛清を行おうとする戦術も日常化してしまっているが、これが当たり前だと思わせるのも「オヴァートンの窓を広げること」の一例だ。杉田水脈衆議院議員や井上英治春日部市議会議員が受けたように、言葉尻だけを取ったバッシングがまかり通る社会になれば、左翼リベラルではない人が強制的に「矯正教育」を受けさせられる社会まではあと一歩だ。だからこそ、大半のまっとうな国民、いわばサイレントマジョリティーの常識が未だに壊されていないうちに、いまの段階で反家族・反自然的な有害思想の普及を防止しなければならない。多くの国々は実際にそれに取り組んでいる。

 6月11日に本サイトに掲載された記事で、山口敬之氏は「LGBT推進=『国際的潮流」はウソ」と主張したが、これはまさにその通りで、現在はむしろ多くの国が左派リベラルによるLGBTに関するプロパガンダを禁ずる法案を採択している。

 死刑に値する罪として「同性愛」が扱われているイスラム教圏は言うまでもないが、たとえばロシアの場合、2013年に「同性愛宣伝禁止法」が成立し、子供に伝統的家族価値を否定するような情報を故意に与えることは法律違反となった。外国人がこの罪を犯したら、強制送還の対象にもなる。さらに2020年の憲法改正によって、同性婚を禁止する条文も正式に憲法に盛り込まれた。

 またポーランドでは、2019年から約100の自治体(国全体の三分の一ほど)が「LGBTフリーゾーン」の設立を宣言した。こちらの自治体においてLGBTプロパガンダを広めたり、プライド・パレードを開催したりすることが認められなくなったということだ。

 それにウクライナでも、憲法では「結婚とは男女の結合」と定められており、同性婚は認められていない。しかもプライド・パレードが開催されると、参加者より警察官とカウンターしに来ている保守的市民のほうが何倍も多く現場に集まる。
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ナザレンコ・アンドリー:LGBT配慮が「国際社会の常識」はリベラルの洗脳だ!

反LGBTで知られるポーランドのドゥダ大統領

LGBT「国際社会の常識」はリベラルのプロパガンダ

 もちろん東欧のみならず、西欧においても現代のLGBT運動に対して反感を抱いている人々(当事者含めて)が多くいて、日ごろから闘っていることも事実だ。

 実は、日本の左翼が「国際社会の常識」としてアピールしているイデオロギーは、海外の左翼政党の思想そのものであり、バイアス(傾き)のかかった一般人の感覚からずいぶんかけ離れているものにすぎない。マスメディアは親LGBTの意見のみを取り上げたり、反対意見を言う海外政治家の発言を完全無視したり叩いたりすることで印象操作しているだけなのだ。しかし、それは立憲民主党や朝日新聞の意見を「日本人の総意」として紹介するのに等しい悪辣な手段だ。安易に信じてしまわないほうがいい。

 最後になるが、ジョージ・オーウェルが『1984』で以下のように述べている。

 「自由とは二足す二が四であると言える自由である。その自由が認められるならば、他の自由はすべて後からついている」。身体的男性のことを「男性」と呼んではいけない社会は、はたして自由だと言えるのだろうか。生物学より本人の性向を重視する制度は本当に正気だと言えるのだろうか。人口の半分を占める女性の人権と安全をないがしろにして、1%にも満たないトランスジェンダーのわがままを優先する国は民主主義だと言えるだろうか。私はそう思わない。

 日本でLGBT法案が廃案されたことは「劣化を止めて正常に戻るのにまだ遅くない」という希望を与えるものだと思う。少子化が最大問題である日本にとって、この課題は特に重要なので、今後も差別利権屋に屈しないことを願うばかりだ。
ナザレンコ・アンドリー
1995年、ウクライナ東部のハリコフ市生まれ。ハリコフ・ラヂオ・エンジニアリング高等専門学校の「コンピューター・システムとネットワーク・メンテナンス学部」で準学士学位取得。2013年11月~14年2月、首都キエフと出身地のハリコフ市で、「新欧米側学生集団による国民運動に参加。2014年3~7月、家族とともにウクライナ軍をサポートするためのボランティア活動に参加。同年8月に来日。日本語学校を経て、大学で経営学を学ぶ。現在は政治評論家、外交評論家として活躍中。ウクライナ語、ロシア語のほか英語と日本語にも堪能。著書に『自由を守る戦い―日本よ、ウクライナの轍を踏むな!』(明成社)がある。

関連動画:【左旋回】稲田朋美は自民党を去れ!【WiLL増刊号#544】

LGBT配慮を推進する稲田朋美議員についての動画です

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