日本流コロナ対策:海外では大絶賛   ミスター安倍・ナ...

日本流コロナ対策:海外では大絶賛 ミスター安倍・ナイスガイ!

マスク姿の安倍首相

日本を絶賛する海外の人々

 日本ではコロナ感染の蔓延が思ったよりひどくならず誠に喜ばしいことです。私は今年の2月〜3月にかけては日本もイタリアやイギリスのようになってしまうのかと思いましたが、日本は大方の予想を裏切り、死者数はイギリスの50分の1でした(6月15日時点)。外国人観光客の入国をそれほど制限もせず、 厳しい都市封鎖を行わず、世界で最も高齢化が進み、医療制度もギリギリでやっている。そんな世界でも最も厳しい条件であった国が、 政府の「要請」=「みなさんへのお願い」をするというだけで蔓延を防いだ日本の実績というのは驚くべきことです。

 イギリスではロックダウン2カ月目の5月はじめから、死者の激増や場当たり的な自国政府の対応に対する不満を溜めている人が激増しました。例えば、高齢者や中年以上の人がよく見ている民放ITVが朝放送するニュース番組「Good Morning Britain(GMB)」 や、その後に放送されるワイドショーは、普段は料理のやり方や芸能人のゴシップを延々と流しているのに、政府の対策を強く非難する声が目立ち始めたのです。

 一方で、同時期に目立ち始めたのが日本を始め韓国や台湾のコロナ対策評価です。イギリスでは民放のチャンネル4のリポーターであるキアラン・ジェンキンス氏が、自身のツイッターで日本とイギリスの死者の数を比較したところ、6.4万件「いいね!」され、話題になりました。日本の人口はイギリスの2倍近いのに、死者はたったの929人。イギリスの死者数は「公式」には4万人を超えている上に、自宅死や老人ホームでの死者の数を含めていないので、その実数は実は6万人を超えると言われており、「本当の死者数」で考えたら日本の60倍以上なのです。超過死者数(コロナウイルスによる死亡者数を推定した数)を加えてもイギリス並みの死者数にはならないし、死者数、感染者数とも、他の国とは桁が違います。

 ジェンキンス氏の「staggering by any estimation」(どんな見積もりだったとしても)という呟きは、あまりにも桁違いだ、という印象が強く現れています。検査数が少ない等の問題もありますが、日本の対策には一定の効果があり、何かうまくいっているようだ、という意見の人が大半なのです。ちなみにチャンネル4というのはイギリスで最も左翼色が強いテレビ局で、普段は社会的な多様性や左翼的な価値観の啓発に熱心です。日本に対しては女性差別や排外主義などを指摘することが多く、決して好意的ではありません。そのチャンネル4が日本を絶賛しているわけです。

 私はこのツイートに対して「私は日本出身です。イギリスの人々の行動を見ていたらこの結果は納得できるものです。誰もマスクを付けていないし、手洗いうがいもしない、土足で建物の中に入る、自己中で個人主義、トイレや公共の場のひどい衛生、CTスキャンやMRIが少ない。政府の対応も遅い」と返信したところ、イギリスや遠くはナイジェリアの方々から様々な意見が寄せられ、ちょっとした議論の場となりました。
 
 驚くべきことに日本を批判する意見はほとんどなく、 むしろ日本の習慣や対策を褒めるものが大半で、イギリス政府やイギリスの人々の行動を自己批判するものばかりでした。寄せられた反応の概要をまとめると、以下のようなもの。

「日本文化はお互いのために振る舞うことが中心のようだ。イギリスの文化は自分、自分、自分ばかり」
「日本の方が人口密度がはるかに高いはずなんだ。ひどい結果だ。我々は人々のために働こうと思ってないリーダーにひどい目にあわされてるんだよ」
「日本人はこのウイルスで最悪の事態を避けたけど、それは日本の人々の行動によるもので、政府が全部やったわけじゃない」
「日本人はリーダーの言うことを聞くけど、イギリスの人々は通りで祭りをやって、警官と乱闘するんだよ!」
「日本人は常識に耳を傾ける、集団主義的な社会、コミュニティを守ろうという意識が強い。俺、俺、俺という自己中で未成熟な社会じゃない」
「多分日本の人たちは『STAY AT HOME』の意味をちゃんと理解している。政府だけを批判することはできない。出歩くほうがいいと思う人だらけなんだよ、ロンドンやパリは!」
「日本には高度肥満の問題がない」

 などなど……。

 みなさん驚かれましたか? これは決して左翼の人々が批判する「ネトウヨ本」や、日本を絶賛しまくる日本のテレビの内容ではありません。イギリスや他の欧州各国、ナイジェリアやポーランドなどに実際に住んでおり、実名でツイッターをやっている一般の人々の書き込みです。コロナ以前から日本は世界で最も高齢者人口が多いことが、イギリスや欧州の他の国でもよく知られています。ニュースやドキュメンタリー番組で高齢化問題を取り上げると、必ず日本が事例として取り上げられるほどです。

 それだけ高齢者が多いのにもかかわらず、今回の新型肺炎の死者は桁違いに少なく、経済もかつてのように上向きではないのにもかかわらず、自粛中の経済的な打撃もかなり小さく抑えているところに驚いている方が多いのです。他の国は日本よりもはるかに出生率が高く、高齢者が少ないのにもかかわらず、すごい数の死者です。これは、日本はなにか正しいことをやっているのだ、と思わざる得ません。

温情文化の国

 日本では企業による大規模解雇も行われていません。イギリスやアメリカは外出禁止令前後に大規模な解雇を行った企業が多く、町中、失業者だらけです。私の知人も十分な体力がある大企業勤務なのに解雇になった方がいます。本人が病気持ちだったり、家族がいるなどの状況の考慮は一切ありません。日本と異なり、実にドライで利益重視型です。

 例えば、イギリスをはじめとする欧州や北米の航空会社は、コロナ危機の直後に授業員を数万人単位で「解雇」しました。パイロットや整備士もバッサリです。多い会社は半分以上の従業員が解雇です。ところが日本の場合、JALもANAも従業員を解雇せず、クルーを普段の仕事の代わりに防護服の製造に回しました。これは欧州でも報道され「なんと情があって柔軟な対応なんだ」と驚かれた。日本式の雇用を守る経営が評価されているのです。

 日本企業の内部留保の多さが危機対応に役立ったことも指摘されています。日本よりは雇用流動性があるとはいっても、欧州でも解雇はやはりショックです。多くの人は住宅ローンやカードローンなどの借金だらけで生活を回しており、貯蓄率も低いため、一旦解雇になったら生活が成り立ちません。イギリスだと失業手当も雀の涙で、中年以上だと次の仕事だって、そう簡単にはみつかりません。

 日本で報道された給料の80%保証も、「雇用中」で「一時解雇になった」という証明がなければでません。それを知っていた上で、解雇にした企業がたくさんあるわけです。一時解雇になった人も、その後雇用されるという保証は一切ありません。自営業だと年の利益が600万円ほどを超えたら保証は一切出ません。解雇をせず、中小企業や自営業にもさまざまな支援がある日本の方が実に情があります。そういうわけで日本企業の温情措置を羨ましく思う人が多いのです。また赤ん坊から受刑者、認知症老人にまで「国民一律十万円」を、資産や収入審査なし、さらに外国人にまで配った国は日本だけです。

 他の国は収入減の証明審査や納税実績など、さまざまな制限があります。アメリカやカナダは比較的寛容に配りましたが、その一方で、日本ではあり得ないレベルの残酷かつドライな解雇をやっている上に、検査は無料でもコロナの治療は日本のように無料ではありません。アメリカの場合は、人によっては数百万円の治療費を請求されますので、総合的に見ると日本のほうがはるかに恵まれているのです。

 ちなみに「国民一律10万円」の件は欧州でも報道されており、うちの家人(イギリス人大学教員)や友人たちは、毎日「10万円! 10万円! ミスターアベはナイスガイ!」と言っているほどです。

日本食が爆売れ

 イギリスでは消費者の行動が、このような日本を絶賛する動きを裏付けています。お金の使い方というのは、いくらメディアで裏工作をしてもごまかせるものではありません。例えば、イギリスでは外出禁止期間中に家で料理に凝る人が増えているのですが、普段はカレーやケバブが「エキゾチックな食事」であるイギリス人の間で、日本食の人気が異様に伸びているのです。

 例えば、イギリスの中流以上御用達の高級スーパーでは、自社のサイトでは買い物検索で「日本食」が53%も増加としているとのことです。 イギリス人というのは日本人に比べると食に関しては本当に保守的で、海外に行ってもイギリスのものしか食べないという人も少なくありません。人の家に招待されても、「私はこれが嫌い」「これは食べないの」と、何も考えずに言うような人が多いし、新しいものに挑戦しようという風潮がないので、いつも似たようなものを食べている人が少なくありません。

 20年ほど前まで、外国料理といえば「イギリス風の中華やカレー」で、イタリア料理やドイツ料理でさえも手をつけない人が本当に多かった。ここ20年ばかりでEUから大量に人が入ってくるようになり、航空券が値下がりし海外に行く人が増えたので、今ではタイ料理やスペイン料理も普通になってきましたが、それでも食べない人はまったく食べません。まして日本料理となると、まだまだエキゾチックで意味不明な食べ物と思っている人も多いのです。

 高級スーパーで買い物をする人々というのは、家計年収が1000万円以上程度はあり、海外旅行に頻繁に行くお金がある人々で、年齢層も高いので非常に健康意識が高い。ですが、基本的にはかなり保守的な人々ですから、寿司を食べたことがないという人もいますし、日本食に手を伸ばそうという人はあまり多くはないのです。 その「保守的な人たち」が今、熱心に日本食を食べようとしているのは、コロナの死者数が少ない日本の健康的な食生活にあやかろうという行動の反映に違いありません。

 日本でもキムチや納豆の売上が急増していますが、アメリカでも韓国とドイツがコロナ対策でうまくいっている、という理由で、キムチやザワークラウトの売上が伸びています。コロナ対策でうまく行っている国にあやかろうという人が多いわけです。そして、メディアでもコロナ以後日本食が登場する機会が増えています。例えばイギリスの富裕層向け保守系新聞のデイリー・テレグラフには日本食にレシピが掲載され、普段や遺跡や寺の話ばかりの「ナショナル・ジオグラフィック」は「味噌を使った5つの料理」という記事を掲載しています。

 イギリスのテレビで大人気のパン職人であるポール・ハリウッド氏が日本を訪問して、ラーメンや会席料理を紹介する番組に対するコメントは「日本には最高の食事がある」「日本に行ってみたい」という声が溢れています。日本を絶賛する反応というのは、決して日本の保守派や、いわゆるネトウヨという人々がつくり上げた虚構ではなく「人々の実際の声」なのです。

3密破りまくりの欧州人

 なぜ、日本がこんなに絶賛され、日本食に注目が集まるのか?
 今イギリスをはじめ欧州や北米に身を置いていれば本当によくわかることです。例えばイギリスは六月半ばになっても死者が1日に200人近くという状態ですが、ロックダウンが緩和されたため、庶民の間ではコロナがもはや消滅した扱いになっています。これはイギリスだけではなく、イタリアやフランス、ドイツなども同じで、日本とは比較にならないレベルの死者や感染者数なのにもかかわらず、経済破綻を恐れロックダウンを緩和せざる得ない状況です。

 一応2メートルのソーシャル・ディスタンスルールや集会禁止などのルールがあるにもかかわらず、ロックダウン生活に飽き飽きした人が多数で、もはやルールは形骸化で各地で違反者続出です。3密破りまくりの密、密、密状態です。イギリスの場合、6月1日から学校も再開していますが、なんとマスク着用を禁止したり、推奨しない学校だらけです。バスや電車などの公共交通機関でのマスク着用は「義務化」されましたが、日本のマスク警察が見たら卒倒しそうな適当なルール運用で、ちゃんと着用している人は多くありません。路上や店では誰もマスクをしていません。店でもソーシャル・ディスタンスなど無視で馴れ合いまくり、喋りまくりです。手の消毒などやっていません。消毒液を配られても無視です。

 そもそも普段から食事前に手など洗いません。学校は土足で、そのまま歩き回ったカーペットの上に幼稚園児が座ったり、そのまま寝っ転がっています。トイレは高級デパートでもひどい有様で、床がなぜか尿で水浸しだったり、流してなかったりとめちゃくちゃ。きれいに使う以前に便座が割れまくっていたり、故障だらけで、不潔というレベルを超越しています。サンドイッチもリンゴも、電車やバスの中で手を洗わずに食べ、ちょっと荒い地域だとゴミをそのまま、床に放り投げます。KFCの骨がぷっと吐き出されたまま、床に捨てられているバスも珍しくありません。エレベーターの中でさえドロドロ。手すりもベタベタ。レストランやファストフード、映画館も床がゴミだらけ、食べカスだらけで、親も子供も片づけもせず立ち去ります。学校の机も文房具もベタベタです。

 これはイギリスだけではなく、私が4年間住んでいたイタリアや、欧州の他の国でもそれほど変わりません。几帳面なはずのドイツの衛生概念も疑問符がつきます。他人に迷惑をかけないとか、街をきれいに保つという基本概念が欠けているのです。しかし、外食前に手を洗おうものなら、周囲の人に「ちょっと神経質すぎて頭がおかしい人」扱いされる。

 実は、私はコロナ以前から医療用のワイプやアルコールを持ち歩いていて、外食時には必ずテーブルや椅子を消毒し、手も洗っていました。ママ友の集まりでは、ぎょっとされたこともあります。義両親から「神経質すぎる」と言われ、家の中の土足厳禁の件も含めて口論になったことも。

麻生氏発言に同意する欧州人

 こんな調子なので、イギリス政府は6月初めのロックダウン緩和後には、緩和したのにもかかわらず一部ルールを厳密化しました。なんと自宅での家族以外とのセックスや野外セックスまで禁止にし、刑法犯に問うことにしたのです。それに対する一般民の反応が「俺は親とセックスしないとならないのか」と怒り心頭。イギリスの民度をよく表しています。

 なぜ、こんなことになったかというと、数十万人が死亡するという予測をつくって市民を恐怖のどん底に陥れた首相のアドバイザーの学者が、ロックダウン中に不倫相手と密会し、ゴニョゴニョやっていたのがきっかけでした。自粛しろ、と言っている奴が不倫しているなら、実は平気なんだろ、室内での密会はダメ、じゃあ野外で性交するならいいじゃないか、と言う人が出始めたのです。

 日本人が粛々と自粛している間、イギリスはあの死者の数で、不倫しまくり、彼氏彼女の家に行きまくりなカップルが大量にいたわけです。他人の家の訪問やパーティーが禁止されていたのにもかかわらず、ルールを破りまくった人も随所で目撃されています。実はうちの近所でも欧州戦勝記念日に路上でパーティーをやったり、親戚を訪問したり、BBQをやっている人たちがいました。当然近所と揉めるわけですが、警察に通報しても、強盗や車の窃盗、麻薬取引が普段よりも盛んなので放置状態です。集まっていないと死ぬ病気か何かに取りつかれているのでしょうか。

 こんな調子なので、先日の麻生氏の「日本はおたくの国より民度が高いんだ」という発言に、むしろ同調する欧州人のほうが多いわけです。自国政府やルール違反の人々にうんざりしているのですから、既往症がある人や、重症化リスクが高い中年以上の人々は「よく言ってくれた」と絶賛です。麻生氏を批判するのは、海外の実態を理解していない日本の左翼やメディアだけですよ。
谷本 真由美(たにもと まゆみ)
1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国で就労経験がある。ツイッター上では「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。

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この記事へのコメント

人生翁 2020/9/30 18:09

面白い記事ありがとうございます。
家に土足で上がる習慣、あまりにも野蛮すぎます。日本人と結婚したのだから、妻に従えと言ってみたら。

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