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いわた あつし
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科在学中に『日本人の歴史哲学』(展転社)を出版。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。著書に『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『「リベラル」という病 奇怪すぎる日本型反知性主義』 (彩図社)などがある。

白昼夢を見ているような

 人生で一番難しい論考を書いているのかもしれない。独りで現実に向き合わねばならぬと思った。だから今、独りホテルで原稿を書いている。だが、なかなか筆が進まない。書いているうちに涙が溢れてくるからだ。1人の政治家が亡くなって、ここまで涙を流したことはない。我ながら驚いている。

 安倍元総理のことを思い起こそうとユーチューブを開く。安倍元総理が演説する映像が流れる。
「昔から岸田さんは男前。若い頃は歌舞伎役者みたいでした。自民党本部の受付の女性がうっとりして見るんです。みんな不愉快になるくらいでした」。だから「一番男前なのは岸田文雄」。しかし「一番人柄がいいのは安倍晋三。こう言われていたんですよ」。拍手が起きる。すかさず安倍元総理が語る。「ここで拍手が起こらなかったらどうしようかと思っていたんですよ」。聴衆がやんやと拍手喝采をおくる──。

 調べてみると、若い頃の岸田総理は男前である。歌舞伎役者になっていてもおかしくはない。そして、安倍元総理も人柄が良いだろう。それは誰もが認めることだ。だが、話の内容以前に、たった1カ月前にこんな冗談を仰っていた方がテロリストの凶弾に斃(たお)れたこの現実を現実として認識できない。今でも白昼夢を見ているような感覚に囚(とら)われる。(続きは本誌にて!)
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『WiLL』2022年9月特集号(7月26日発売!)
◎『WiLL』2022年9月特集号目次「安倍晋三元総理 追悼大特集 ―死の壮絶とその志―」
櫻井よしこ 安倍元総理は日本の誇り/百田尚樹・井沢元彦 死者にムチ打つ「朝日」の品性/菅 義偉 今こそ安倍晋三の出番/岩田 温「同じ空気を吸いたい」菅前総理がみせた誠意/高市早苗 誓います 安倍元総理への恩返し/ 
小川榮太郎 慟哭(どうこく)いまだ止まず 日本の砦(とりで)となった人/谷口智彦 G7首脳 伊勢神宮表敬の快挙/門田隆将・有本 香 中国覇権に立ちはだかった「自由の守護神」/阿比留瑠比・髙橋洋一 財務官僚と朝日を相手に一歩も引かず/藤井厳喜・古田博司 左派メディア、リベラル教授も加担 安倍元総理を殺害した〝悪意の銃弾〟/谷本真由美 エリザベス女王「安倍さんは私たちの仲間です」/加藤康子・江崎道朗 冷やメシ覚悟で立ち上げた歴史研究会/齋木昭隆 拉致「一時帰国」を一蹴した安倍さん/河野克俊 誇らしい最高指揮官/藤井 聡 死の直前、安倍さんの闘志「次は絶対やりますよ」/陳 銘俊 安倍元総理は台湾の永遠の友人/井上和彦・佐々木 類 日本の宝が奪われた/朝香 豊・茂木 誠 安倍亡きあと 自民「リベラル」化を憂う/有馬哲夫〝敵〟にも信頼された安倍さん/小野寺まさる・長尾たかし 中川さんも安倍さんも〝マスコミに殺された〟/白川 司 称賛の嵐 世界の首脳が寄せた追悼の辞、安倍政権 七つの偉業/編集部 グラビア特集 安倍晋三メモワール

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