「合流新党」報道の怪―情報どこから?謎の"関係者"

「合流新党」報道の怪―情報どこから?謎の"関係者"

 約束した覚えもないのに勝手に「参加する予定だった」と言われても、困惑するだけに違いない。TBSが8月20日に「山尾志桜里衆議院議員やれいわ新選組の山本太郎氏らが19日夜に会談したが、これに国民民主党の玉木雄一郎代表が加わる予定だった」と報じた件だ。

 その会合には他に、高井崇志衆議院議員と須藤元気参議院議員が参加した。高井氏はコロナ禍の緊急事態宣言下に歌舞伎町の風俗店で“濃厚接触”していたことが週刊誌にスクープされ、立憲民主党から除籍処分。須藤氏は都知事選で山本氏を応援するために立憲民主党に離党届を出したが、「比例選出なんだから、議席を返せ」と同党から議員辞職を求められている。

 なお、山尾氏は3月に「風通しがよくない」と立憲民主党を飛び出し、山本氏は7月の都知事選で「次の選挙があるかられいわの看板は下ろさない」と同党の応援を事実上拒否して落選。すなわち“どう考えても立憲民主党が主導する合流新党に参加できない面々”といえる。

 これに「合流新党には参加しない」と明言している玉木氏を入れて5人になれば、「科学忍者隊ガッチャマン」ではないがバランスがとれるとでも思ったのだろうか。いや、ガッチャマンは別として、その面々ではいかにもバランスが悪すぎやしないか。

 そもそも玉木氏は、その会合に誘われていないというのが事実だ。8月19日は午後7時40分ごろまで国民民主党の両院議員総会が行われ、記者会見が午後7時45分から8時30分まで。その後、玉木氏は合流不参加の議員数名と衆議院第一議員会館の自室で会談し、午後10時に赤坂宿舎に向かったという。

 筆者の問い合わせに対し、「両院議員総会はいつ終わるかわからなかったので、その後の予定は入れていなかった。会合については知らない」と事務所は困惑気味。玉木氏本人も「そういえば(新党騒動の)ずっと以前に、高井議員から食事を誘われたことがあったような」と記憶もあやふやな状態だった。もちろん会合の日時や場所について、具体的に連絡を受けてはいなかったという。

 にもかかわらず共同通信ですら“関係者”から聞いた話として、「玉木雄一郎代表も出席の予定だったが、党務のために参加をとりやめた」と書いた。“天下のTBS”や多数の地方紙などが配信を頼りにする共同通信がそのように報じる以上、玉木氏本人や事務所よりその“関係者”の言葉に確信を抱いたということになるが、そのような判断した根拠について是非知りたい。

 ということで、メディアの矜持(きょうじ)としての納得できる説明をお待ちしております。
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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