野党合流を阻む立憲民主党の「身勝手さ」

野党合流を阻む立憲民主党の「身勝手さ」

 立憲民主党と国民民主党の合流劇が話題になっている。いや、実際にはそれほどでもないが、一応ここでは「話題になっている」と仮定しておく。そうでないと、話が始まらないからだ。

 立憲民主党には衆議院では56名、参議院では33名が所属する。一方で国民民主党は、40名の衆議院議員と22名の参議院議員を擁している。衆参両院で立憲民主党は野党第一党で、国民民主党は野党第二党。実は国会運営上でその差はとても大きい。野党第一党なら、議院運営委員会や予算委員会で筆頭理事を出せるからだ。

 両党はとりわけ参議院で関係が悪いが、その原因のひとつが予算委員会で野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の蓮舫氏だ。国民民主党の舟山康江参議院国対委員長が「蓮舫氏はホウレンソウ(報告・連絡・相談)が足りない」と苦情を述べたこともある。蓮舫氏は10歳年上の石井準一与党筆頭を「準ちゃん」と呼び付けるなど、公私の区別が曖昧。さらにいつの間にか「筆頭間の協議で決まった」と物事が進めたが何度もあったようだ。それでは他の野党はたまらない。

 身勝手な点においては、立憲民主党の枝野幸男代表も変わらない。両党の合流にあたって国民民主党の玉木雄一郎代表が党首会談を求めているが、枝野氏は頑強にこれを拒否。8月6日の原爆慰霊式典に出席するために広島入りしていた玉木氏がその前夜に電話をしたが、枝野氏はこれに出なかった。枝野氏は留守電に入れられた「電話をくれ」との玉木氏のメッセージも無視したのだ。
 
 果たして枝野氏に野党第一党の代表としての自覚があるのか。たとえば立憲民主党の代表会見は月に1度しか行われていないが、枝野氏はその責任を安倍晋三首相に転嫁する。たとえば8月4日に行われた代表会見で、枝野氏は「総理が週にいっぺんやるということであれば、参考にしなければいけないかなと思っている」と悠長に答えている。安倍首相の会見数は少ないことは事実だが、果たして総理大臣と野党の党首は“同等”なのか。

 そもそも野党は与党よりも存在感を発揮しにくい。いやしくも政権を狙うならば、強力なリーダーシップを伴った上で強烈に国民に対してアピールする必要があるだろう。「次の総理として自分を選んでくれ」と求める以上、それが国民に対する最低のマナーと言えるのではないか。

 所属の国会議員数で比較すれば、立憲民主党は国民民主党の1.4倍にもなる。合流して代表を選ぶなら、玉木氏より枝野氏になる可能性は高いだろう。要職の多くも、立憲民主党側が占めるかもしれない。しかしそれでは、立憲民主党が膨張したに過ぎないのではないか。

 野党第一党に求められるのは、立憲民主党なるものでもなければ、かつての民主党・民進党でもない。にもかかわらず国民にとって“見飽きた顔”がまたもやぞろりと出てくるのなら、たとえ合流しても何も生み出さない。くれぐれも民意を侮ることなかれ。
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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