【安積明子】森会長辞任騒動~総バッシングで置き去りにさ...

【安積明子】森会長辞任騒動~総バッシングで置き去りにされる「差別解消」の本質

 森喜朗元首相が2月12日、「失言問題」で東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長職を辞任しました。森元首相は以下のことを言ったとされています。

 「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」

 「女性を増やす場合は発言の時間もある程度は規制しておかないと、なかなか終わらないので困る」 

 はて、どこかで見たような……と、なんとなく蘇る既視感。そう、菅義偉官房長官時代の会見です。 

 確かに“あの記者”の質問は冗長だった。しかもなかなか終わらなかった。挙句の果てには官邸サイドは時間制限し始めました。その結果、週に1度しか参加できないのに質問数も制約され、不利なフリーランスはさらに不利に。「さら問い」なんてほぼ夢のまた夢でしたよ、フン! 

 でもね、それを一部のメディアは「差別だ」「取材妨害だ」、挙句の果てに「国民の知る権利を侵害している」とか主張して、一方的に“例の記者”の肩を持っていました。もっとも「意図」を持って騒いでいるんでしょうけど、視野と心が狭いんですよね。そうではなくて原因を作ったのは誰だ? 本当に迷惑を被っているのはどこだ? ということを主張すべきなんですよ、まともなメディアなら。 

 そもそも「国民の知る権利」は誰のものなのでしょうか。時代に乗り遅れて死に行くメディア(新聞のこと)がエラそうに、勝手に国民の権利に乗っかからないでよ! 

 さらに森元首相失言問題で既視感があったのは、本当に迷惑を受けたのは「騒ぎの当事者ではない」ということです。今回の本当の被害者は森元首相のご家族でしょうし、菅官房長官会見問題で迷惑を被ったのはまともな報道をしようとするメディアや国民に他なりません。
 ただ、こういう騒ぎの場合、「当事者」だけを見ると興行プロレスのようで面白い。そして大物を叩けばなお面白い。結局は自社のミスを認めなければならなかった朝日新聞の慰安婦報道も、その根源は同じでしょう。
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森発言に抗議する人。果たして「差別解消」に資するのか。
 もちろん女性差別はゆゆしき問題なのは当然です。しかし「女性差別反対」という建前に乗っかかりすぎると、本質が見えていないということにもなりかねない。  

 たぶん森元首相は(自分の発言がいつも長いのはさておき)「理事会の時間が長い」ということを言いたかったんでしょうけど、その問題は解決されたんでしょうか。「女性差別」という側面のみが肥大化し、肝心の「時短」や「会議の効率化」はうっちゃらかされているのでは?  

 今回のあまりにも加熱した報道を見ると、その反動が来ることも懸念されます。本当の「女性差別解消」を叫ぶならもっと冷静になりたいですね、本来の女性らしく。
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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