永田町のジンクス~マイナス効果をもたらす二人の議員とは~

永田町のジンクス~マイナス効果をもたらす二人の議員とは~

 永田町では「この人が政治の表舞台に出ようとすると、ケチがつく」というジンクスを持つ議員が何人かいる。たとえば前原誠司衆議院議員と山尾志桜里衆議院議員だ。前原氏は民主党代表を務めた2006年に永田メール事件が勃発。責任をとって代表を辞任した。

 2011年の民主党代表選では、同じ票を喰い合う野田佳彦前首相に「あなたでは勝てない」と言いながら、野田前首相は当選して自分は落選。2017年には民進党を解消すべく小池百合子東京都知事と希望の党を結成し、「小池ブーム」に乗っかって政権を奪取しようとしたが、見事にコケた。 

 その前原氏だが、日本維新の会と組むことで、拠り所を見出そうとしているようだ。6月には地方分権についての勉強会「新しい国のかたち(分権2.0)協議会」を立ち上げ、7月の都知事選では日本維新の会が推薦する小野泰輔氏を応援した。

 前原氏にすれば、国民民主党が立憲民主党と合流話を進めている中で“右側”にウイングを広げているつもりだろうが、前原氏の地元である京都は日本維新の会の根拠地である大阪に近く、油断すれば足元が維新カラーに染められかねない。 

 山尾氏に至っては、そもそもがちやほやされすぎた。その責任があるのが岡田克也元民進党代表で、岡田元代表は2016年に民進党が結党した時、「保育園落ちた日本死ね!!!」ブログを国会で取り上げて注目された山尾氏を政調会長に大抜擢。「次代を担うリーダー」と根拠もなく大絶賛した。

 もっとも岡田氏は党人事を発表した時、それほど貴重な人材であるはずの山尾氏の名前を見事にすっ飛ばした。さらに「民進党」を「新進党」と言い間違えもした。最初からケチが付いたわけだ。幸先いいわけがない。

 そんなジンクスを持つ前原氏と山尾氏がダブルとなって表舞台に出ようとしたのが、2017年9月の民進党の人事。代表に就任した前原氏が山尾氏を幹事長に抜擢しようとした件だ。
 後に「仕事を進める上で代わりはいない」とまで山尾氏が言い切った“政策ブレーン”である倉持麟太郎氏との“密会”を週刊文春が報じると、それまでの山尾氏の“虚像”はガラガラと崩壊。そこを狙って不支持率が支持率を上回っていた安倍晋三首相が解散を打ち、“排除”により振るいにかけた希望の党は一気に絶望の党へと変容した。

 その山尾氏は今、国民民主党に入党し、玉木雄一郎代表にくっついている。入党の動機について山尾氏は、「『ウィズコロナの時代のあるべき国家像・社会像の議論を9月を目途に取りまとめる』という玉木代表の主張に共感した」と述べたが、本当のところは解散風が吹き始めて無所属という立場に不安になったのではないか。

 また、玉木代表にとって立憲民主党に後足で砂をかけて出ていった山尾氏は、国民民主党を飲み込もうとする立憲民主党に対する“アマビエ”のような存在で、両者の利害関係が一致しただけではなかったか。

 そして、この“アマビエ”はご利益もなく、立憲民主党と国民民主党の合流話は進んでいる。なんといっても両者の最大の支持母体である連合が合流に賛成だから、これに抗(あらが)えるはずがない。
 国民民主党内の合流慎重派は切り崩されつつあり、下手をすると(衆議院では)残るのは玉木代表と山尾氏だけということにもなりかねないが、それで未来は開けるのか。永田町のジンクスを侮ることなかれ。
 (1898)

安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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