山尾志桜里の国民民主入党は「諸刃の剣」か?

山尾志桜里の国民民主入党は「諸刃の剣」か?

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 7月8日に開かれた国民民主党総務会で、山尾志桜里衆議院議員の入党が了承された。3月に立憲民主党を離党した山尾氏は、6月16日に国民民主党本部にアポなしで訪れて入党届を提出しようとした。党本部に“たまたま”いた平野博文幹事長が「立憲民主党と福山幹事長に仁義は切ったか」と尋ねると、山尾氏は福山哲郎幹事長に携帯であっさりと連絡。後に福山氏はその時の感想として、「なんともコメントしようがない」と怒りと困惑が混じった表情で述べている。

 山尾氏の入党届提出から入党了承まで約3週間もかかったのは、国会閉会中のために総務会がなかなか開かれなかったからだ。また古川元久国民民主党愛知県連代表が山尾氏の入党を強烈に拒否したことも影響したらしい。古川氏は「山尾氏が入党したとしても、選挙区は最低でも県外!」と言ったとか言わなかったとか。

 それほど古川氏が山尾氏を嫌う原因として、「挨拶しても山尾氏が古川氏を無視するからだ」と党内では言われているが、それだけではないようだ。「山尾氏は一切感謝がないなど、何においても不義理が多すぎる。それに嫌悪感を抱いているのは古川氏だけではない」と愛知県連関係者は述べている。

 そういうこともあって、山尾氏の男性スキャンダルゆえに民進党崩壊となった2017年の衆議院選で愛知7区で辛勝したにもかかわらず、山尾氏が次期衆院選で出馬する選挙区についてはまだ未定。もっともかなり以前から、「山尾氏は地元に帰っていない」とか「地元事務所は閉じられ、秘書もいない」という話は伝わっていた。まだ立憲民主党にいた頃には、「東京18区で勝手に活動を始め、まだまだやる気十分の菅直人元首相から『来るなら来い!受けてたつ!』と言われて逃げだした」と噂されたこともある。

 国民民主党は立憲民主党と合流を模索しているが、山尾氏の国民民主党入党について立憲民主党の枝野幸男代表が「入党を認めれば会派解消だ」と周辺に語るほど反発は大きい。そのような事情も十分に理解しているはずの国民民主党の玉木雄一郎代表は、実は内心では立憲民主党との統一会派を解消したいのかも。

 もしかして山尾氏をコロナ禍(立憲民主党)を防ぐ“アマビエ”として利用しようとしているのかもしれないが、この“アマビエ”は国民の人気や政党支持率アップをも防ぎかねないということも、玉木代表は十分に覚悟しなければいけない。さてこれで、解散総選挙の可能性がさらに高まった。
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安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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