立民・国民の合流を阻む「近親憎悪」

立民・国民の合流を阻む「近親憎悪」

 立憲民主党と国民民主党が合流することで揉めている。常識的に考えて、揉めているなら一緒になれないと思うのだが、なぜか一緒になるために揉めている。そもそも両党は2017年の衆議院選挙をきっかけに民進党から分かれた元仲間同士。揉め方がひどいのは近親憎悪ゆえなのか。
 そこまで揉めていながら、なぜ一緒になろうとするのか。それは解散総選挙が近いと噂されるからだ。衆議院議員の任期満了まであと1年3か月に迫っている。最有力は今年の秋の解散だ。

 しかしながら立憲民主党にとって、驚愕的な事実が判明した。票田たるべき東京都で票が出ないかもしれないのだ。

 7月5日に投開票された東京都都知事選で立憲民主党、共産党、社民党などが推薦した宇都宮健児氏が獲得したのは84万4151票で、このうち共産党の票は66万票(2016年に山添拓議員が獲得)から70万票(2013年と2019年で吉良佳子議員が獲得)。社民党の票は9万余(2016年の増山麗奈氏)や8万6000票(2019年の朝倉玲子氏)なので、党本部の意思が反映された立憲票は10万票に満たなくなってしまう。

 民主党最盛期には参議院東京都選挙区で、蓮舫氏が171万734票、小川敏夫氏が69万6672票と、計240万7406票を獲得したことがある。立憲民主党としても昨年の参議院選で、塩村文夏氏が68万8234票で山岸一生氏(落選)が49万6347票と、計118万4581票を確保していた。このうち100万票以上が立憲民主党が推す候補に流れなかったわけだ。党本部の吸引力が急激に落ちたということになる。

 そればかりではない。維新が東京を侵食しつつある。2013年と2016年の参議院選では50万票の壁を突破できず当選圏に入らなかったが、昨年の参議院選では都議から転身した音喜多駿氏が52万6575票を獲得して当選した。そして都知事選では小野泰輔氏が61万2530票も獲得。4月に行われた目黒区長選でも、維新は予想以上に健闘した。

 これらに焦った立憲民主党の執行部が、国民民主党との合流を早めようとした―というのが一般の見方だ。立憲民主党の政党支持率は国民民主党よりも高いが、それを強味に新党の名称を「立憲民主党」にしろと迫る。通称・略称として「民主党」を掲げるのは、“本家”である国民民主党側の抵抗感を抑えるためだろう。

 しかしながらこの合流劇は、うまくいくとは思えない。本心では合流に反対の国民民主党の玉木雄一郎代表らは、全力でもって知恵を絞り、逃げ切ろうとするだろう。そしてその虚を突くように、安倍晋三首相は解散を打ってくるかもしれない。2017年9月の解散はまさにそうだった。蓮舫代表の突然の辞任と、前原誠司代表による山尾志桜里幹事長の大抜擢。そして山尾氏の男性スキャンダルという与党にとって絶好の機会を、安倍首相は見事にとらえたのだ。

 両党が揉めるほど安倍首相にチャンスを与えることになるが、それでも立憲民主党と国民民主党の近親憎悪は止まらない。
 (1838)

安積 明子(あづみ あきこ):ジャーナリスト
兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。
1994年、国会議員政策担当秘書資格試験合格。参議院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動を開始。夕刊フジ、Yahoo!ニュースなど多くの媒体で精力的に記事を執筆している。

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