令和3年元日、読売新聞が人民解放軍による事実上の軍拡計画である「千人計画」に日本人研究者44名が参加していたという恐るべき事実を報道した。千人計画とは、アメリカ司法省が「情報を盗み輸出管理に違反することに報酬を与えてきた」ことだと定義した。その最終目的が中国共産党による軍事侵攻作戦の実現にあることは明白な計画である。
これに先駆け、平成28年5月2日付の産経新聞では、京都大学原子力研究所に所属する男性准教授が朝鮮労働党系列の団体から資金提供を受け、日本人殺害を目的にした核ミサイル開発に参画していたとして日本政府から個人として制裁(再入国禁止措置)が課せられた事件も記憶に新しい。
私たちは外敵に目を向けるあまり、「内なる敵」に対して鈍感であったことを反省しなければならない。ここで改めて、我が国の現行刑法が定める「国家法益に対する侵害」の罰条に目を向けなければならない時局であることを主張したい。「内乱罪」と「外患罪」である。どちらも重大な凶悪犯罪であるため、最高刑は死刑であり、予備罪(実行に向けた準備をすること)も可罰行為である。
これらの国家法益に対する罪は、日本国憲法下では起訴された前例がない。そこで、同じく国家法益を保護目的とする治安維持法の判例はどのようなものだったか参考にすることで、議論を進めたく思う。
一般的に治安維持法は「思想犯罪」を取り締まるものと誤解されているが、実務上の事実として「思想」のみで処罰された事案は存在せず、ほぼ強盗致死傷や殺人、窃盗、威力業務妨害などの犯罪との併合罪、ないしは牽連犯(犯罪の手段、または結果がほかの犯罪であること。たとえば、傷害罪を犯せば相手のメガネを壊してしまい器物破損罪に抵触するなど)である。国家に対して反逆をする上で必要な活動資金を得る目的で、銀行強盗や住居侵入窃盗を繰り返すため、その犯行動機を形成する「思想」を犯罪原因として定めた立法背景がある。
さて、日本国憲法下の終局審は最高裁判所であるが、大日本帝国憲法下は大審院といった。現行の刑事訴訟法および民事訴訟法は、大審院の判決および朝鮮高等法院ならびに台湾高等法院の裁判例と相違する判決を下級審(現在の東京地方裁判所など)が下すことを上訴理由として認めている。(刑事訴訟法第405条第1項第3号など)
このため、本論も大審院の判例を引用したく思う。ここで重要なことは「そもそも国家法益とは何か」といった視点である。この疑問に対して、大審院刑事部昭和18年9月1日判決(事件番号昭和18年〈れ〉第651号原審樺太地方裁判所)は明確に定めているので次に引用する。
「邦土ノ一部ヲ統治権ヨリ離脱セシメンコトヲ画策スル場合ヲ包含スル」
つまり、日本が統治する権利が及ぶ土地をその統治権から離脱させること、およびその画策(準備)が「国家法益の侵害」である。これを現在の日本を取り巻く国際状況に照らして考えてみたく思う。
改めて言うまでもなく、中国共産党は沖縄県の尖閣諸島の領有を宣言して軍隊が接続水域を航行し、中国共産党機関紙の「人民日報」では「沖縄は日清戦争によって奪われた土地であり、沖縄の領有権は国際的に未確定である」と、その侵略願望を内外に堂々と発信している。
これに先駆け、平成28年5月2日付の産経新聞では、京都大学原子力研究所に所属する男性准教授が朝鮮労働党系列の団体から資金提供を受け、日本人殺害を目的にした核ミサイル開発に参画していたとして日本政府から個人として制裁(再入国禁止措置)が課せられた事件も記憶に新しい。
私たちは外敵に目を向けるあまり、「内なる敵」に対して鈍感であったことを反省しなければならない。ここで改めて、我が国の現行刑法が定める「国家法益に対する侵害」の罰条に目を向けなければならない時局であることを主張したい。「内乱罪」と「外患罪」である。どちらも重大な凶悪犯罪であるため、最高刑は死刑であり、予備罪(実行に向けた準備をすること)も可罰行為である。
これらの国家法益に対する罪は、日本国憲法下では起訴された前例がない。そこで、同じく国家法益を保護目的とする治安維持法の判例はどのようなものだったか参考にすることで、議論を進めたく思う。
一般的に治安維持法は「思想犯罪」を取り締まるものと誤解されているが、実務上の事実として「思想」のみで処罰された事案は存在せず、ほぼ強盗致死傷や殺人、窃盗、威力業務妨害などの犯罪との併合罪、ないしは牽連犯(犯罪の手段、または結果がほかの犯罪であること。たとえば、傷害罪を犯せば相手のメガネを壊してしまい器物破損罪に抵触するなど)である。国家に対して反逆をする上で必要な活動資金を得る目的で、銀行強盗や住居侵入窃盗を繰り返すため、その犯行動機を形成する「思想」を犯罪原因として定めた立法背景がある。
さて、日本国憲法下の終局審は最高裁判所であるが、大日本帝国憲法下は大審院といった。現行の刑事訴訟法および民事訴訟法は、大審院の判決および朝鮮高等法院ならびに台湾高等法院の裁判例と相違する判決を下級審(現在の東京地方裁判所など)が下すことを上訴理由として認めている。(刑事訴訟法第405条第1項第3号など)
このため、本論も大審院の判例を引用したく思う。ここで重要なことは「そもそも国家法益とは何か」といった視点である。この疑問に対して、大審院刑事部昭和18年9月1日判決(事件番号昭和18年〈れ〉第651号原審樺太地方裁判所)は明確に定めているので次に引用する。
「邦土ノ一部ヲ統治権ヨリ離脱セシメンコトヲ画策スル場合ヲ包含スル」
つまり、日本が統治する権利が及ぶ土地をその統治権から離脱させること、およびその画策(準備)が「国家法益の侵害」である。これを現在の日本を取り巻く国際状況に照らして考えてみたく思う。
改めて言うまでもなく、中国共産党は沖縄県の尖閣諸島の領有を宣言して軍隊が接続水域を航行し、中国共産党機関紙の「人民日報」では「沖縄は日清戦争によって奪われた土地であり、沖縄の領有権は国際的に未確定である」と、その侵略願望を内外に堂々と発信している。
では上記の事実関係を踏まえて、中国の軍事研究に協力することが、なぜ犯罪の構成要件を成立させると言えるのだろうか。
我が国の刑事法は「条件説」という考え方によって犯罪の成立を定義している。「あれ無ければこれなし」というものである。たとえば、船上で強姦されかけた女性が加害者から逃れるため逃亡する過程で海中に落ちて溺死した場合、被害者の死亡と加害者の強姦未遂には条件説の成立が認められる。
これは、人民解放軍が使用した兵器の開発に日本人研究者が協力していた場合は当然として、「本来ならば中国人研究者がする研究作業を日本人がしたため、中国人研究者の手があいて軍事研究ができた」場合も含む。日本人が基礎研究に協力しなければ、中国人研究者らが軍事目的の応用研究をすることができず、「あれなければこれなし」の条件説が成立するからである。
これまで日本人研究者らが人民解放軍へ協力した社会的背景を俯瞰すると「日本政府からお金を積まれても、日本人の生命財産を守る防衛研究はしない」と主張があった一方、人民解放軍の軍事研究に協力した動機を「日本政府がお金を出さないから中国に協力した」などと詭弁を弄して擁護する悪質極まりない声がある。
まさに「日本人殺害の悪意」を隠すことができていないといえるだろう。
私たち国民は、こうした凶悪犯罪に対して厳しい処罰を求める声を高らかにあげなければならない。そうしなければ、あなたの子や孫の死体をみることになる恐れを否定できないからだ。
我が国の刑事法は「条件説」という考え方によって犯罪の成立を定義している。「あれ無ければこれなし」というものである。たとえば、船上で強姦されかけた女性が加害者から逃れるため逃亡する過程で海中に落ちて溺死した場合、被害者の死亡と加害者の強姦未遂には条件説の成立が認められる。
これは、人民解放軍が使用した兵器の開発に日本人研究者が協力していた場合は当然として、「本来ならば中国人研究者がする研究作業を日本人がしたため、中国人研究者の手があいて軍事研究ができた」場合も含む。日本人が基礎研究に協力しなければ、中国人研究者らが軍事目的の応用研究をすることができず、「あれなければこれなし」の条件説が成立するからである。
これまで日本人研究者らが人民解放軍へ協力した社会的背景を俯瞰すると「日本政府からお金を積まれても、日本人の生命財産を守る防衛研究はしない」と主張があった一方、人民解放軍の軍事研究に協力した動機を「日本政府がお金を出さないから中国に協力した」などと詭弁を弄して擁護する悪質極まりない声がある。
まさに「日本人殺害の悪意」を隠すことができていないといえるだろう。
私たち国民は、こうした凶悪犯罪に対して厳しい処罰を求める声を高らかにあげなければならない。そうしなければ、あなたの子や孫の死体をみることになる恐れを否定できないからだ。