毎日新聞の不遜な記事

 10月25日の毎日新聞に掲載された、「眞子さまも…女性皇族を苦しませる『宮中』というプレッシャー」という記事を読んだ。

 この記事は次のような書き出しで始まる。

 ≪皇族もタイヘンだなあ……とつくづく思う。秋篠宮家の長女眞子さま(30)と小室圭さん(30)の結婚を巡る騒動である。「ふたりの好きにさせなよ」以外の感想は思いつかないのだが、週刊誌やネット空間では今なお「皇室評論家」みたいな人がぞろぞろ登場し、あれやこれやの攻撃が続くのだ。
白川司:眞子様・小室圭さんご結婚:問題の本質を理解でき...

白川司:眞子様・小室圭さんご結婚:問題の本質を理解できない毎日新聞

本当によろしいのですか?
 皇室関係の記事なのに「ふたりの好きにさせなよ」などと乱暴な言葉使いをあえて使い、終始一貫して不愉快きまわりない内容である。その裏に、「皇室をぞんざいに扱いたい」という願望が透けて見える。

 記者は「ふたりの好きにさせなよ」以外の感想は思いつかないと言っているが、その毎日新聞も小室圭さんの母親と元婚約者との問題を、借金400万円の件も含めて連日扱っていたではないか。本当に「ふたりの好きにさせよ」という立場であるなら、なぜ母親と元婚約者の問題に過ぎないことを報道しつづけてきたのか。

 ところが、いざご結婚という段になって、まるでプライベートなことを扱ってこなかったかのように「ふたりの好きにさせなよ」などと言える厚顔ぶりに呆れる。

 そんな不遜な軽口は自分の同僚にでも言ってほしい。社内にはきっと気に合う仲間がたくさんいるだろう。

「人柄」ではなく「家柄」の問題に歪曲

 この記事の最大の問題は、今回のご結婚を「家柄」の問題に誘導していることにある。

 実際、眞子様のお相手の家柄を気にする者がどれほどいただろうか。少なくとも多くの国民は、家柄よりお相手の「人柄」を気にして、最初の婚約会見では「素敵な相手のようだ」と好意的に受け取ったのである。

 だが、会見後、次々と小室さん側の醜聞が伝えられてしまい、多くの者が徐々に疑いの目を向け始めた。だからこそ、小室圭さんの人柄を象徴する問題として、400万円の借金が重要になったわけである。

 お金のことをきちんと処理できない者が信頼できないことは、多くの人が経験しているはずだ。誰でも不安になるだろう。

 私たちが呆れたのは、小室さん側が400万円の問題を「借金という認識はなかった」という1点で何年も抑え込もうとしたことだ。(小室さんの母の)婚約期間に400万円の受け渡しがあって、結局婚約が成就せずに他人の関係になったのだから、400万円ものお金の問題はきちんと処理すべきだろう。
白川司:眞子様・小室圭さんご結婚:問題の本質を理解でき...

白川司:眞子様・小室圭さんご結婚:問題の本質を理解できない毎日新聞

結婚にあたって「お金」の問題があれば、誰でも不安になるのが当然
via twitter
 小室圭さんは今年4月に発表した文書で、400万円に付随する贈与税を支払った旨を注に記しているが、いったい支払ったのはいつなのか。相手が「贈与ではない」と言い続けたことを無視して、何年もほったらかしたうえで「贈与と認識していたなら脱税ではないか」という意見が持ち上がってから贈与税を支払って、そのまま押し通そうしたということだろう。

 このようにお金に執着し続けた小室さん側の態度に、「さすがにこの結婚はまずいのではないか」と思うのはごく自然なことだろう。

 ところが、毎日新聞はこの記事は、大正天皇や上皇后陛下の時のことまでもちだして、今回のご結婚に反対した世論を批判している。そもそも「皇室に入ること」は「皇室から出ること」とは根本的に違うことだし、特に「出る場合」は、多くの人が家柄より「人柄」を重視するであろう。だとすれば、これは情報誘導ではないのか。

「親戚のおばちゃん」の意見は意外に正しい

 これほどおふたりのご結婚に反対論が渦巻いたのは、「親戚のおばちゃん現象」だと私は考えている。

 当人同士は愛し合っているのに、小室家のことを知っている親戚のおばちゃんが「あの家は止めておいたほうがよい。あの母親はちょっとおかしいし、娘さんが不幸になる」と余計なお世話を発揮させたという話だだろう。

 今回の場合、日本中が親戚のおばちゃんだらけだったということに過ぎない。

 結婚というものは、本来「親戚のおばちゃん」も納得させてからやるのが望ましい。

 それに、多くの国民が相手の家柄など気にしないが、相手の家の健全さは気にする。ちょっとまずいなと思えば「その結婚ちょっと待った」と言いたくなるものだ。小室さん側の借金問題などへの対応は、明らかに不健全性が伴っていた。

 複雑性PTSDになられた眞子様にはお気の毒ではあるが、その「親戚」の多さを想像していなかったのではないだろうか。皇室が大変なのは余計なお世話が大好きな親戚のおばちゃんが山ほどいる点だ。しかし、それは皇室にお生まれになった方たちの宿命なのだ。

 ただ、このおばちゃんの多くは「分からず屋」ではない。そこそこ筋が通った結婚であれば納得したはずだ。ただ、お相手の「人柄」だけは譲りたくないだろう。なにしろ、お幸せになれるかどうかはお相手しだいなのである。
白川司:眞子様・小室圭さんご結婚:問題の本質を理解でき...

白川司:眞子様・小室圭さんご結婚:問題の本質を理解できない毎日新聞

好き勝手に話しているようで、その意見は意外に正しい?
 借金を全く返そうとない男に、大事な娘を託したい親などいるわけがない。「あれは借りたんではなくてもらったものなのです」と言ったところで、その証拠も出さず借金の相手も納得させようとしてこなかったのである。

 もし早い時期に小室さんが借金を認めて、少しずつでも返していれば、世間の見方は全く変わったはずだ。

 だが、結局、世論を動かしたのは、納采の儀をおこなわず、一時金を受け取らないと決めたことだっただった。婚約なしの結婚であれば「公に認められたものではなく、本人たちの意志だけで決まれたもの」だということになり、かつ一時金を受け取らないのであれば、一時金目的であることは一応は否定できるからである。

 結局、最後も「お金」だったのである。お金の問題にだらしないことは、家柄の善し悪しを上回る。こんな当たり前のことを理解できない記者に、この問題を語る資格はない。
白川 司(しらかわ つかさ)
評論家・翻訳家。幅広いフィールドで活躍し、海外メディアや論文などの情報を駆使した国際情勢の分析に定評がある。また、foomii配信のメルマガ「マスコミに騙されないための国際政治入門」が好評を博している。

関連する記事

関連するキーワード

投稿者

この記事へのコメント

コメントはまだありません

コメントを書く