佳子様「ジェンダー平等」発言:皇室の"政治利用"を許すな

佳子様「ジェンダー平等」発言:皇室の"政治利用"を許すな

そもそも怪しい「ジェンダーギャップ指数」

 令和3年10月10日、秋篠宮佳子内親王殿下は国際ガールズスカウト百周年記念式典にビデオメッセージを寄せられた。その中で、中国共産党の習近平氏が本部を訪れたことで知られる「世界経済フォーラム」が発表した「ジェンダーギャップ指数」で、日本が120位という低位置にランクインしたことに言及され、「とても残念なこと」であるとのお言葉を述べられた。

 この「ジェンダーギャップ指数」は、出資者情報が秘匿されている「秘密組織」である世界経済フォーラムが独自の解釈で男女格差を定義したものであるが、佳子様だけではなく、例えば自由民主党女性局の局長、吉川ゆうみ参議院議員も同党パブリックコメントで言及し、「同フォーラムが掲げるジェンダーギャップの順位をあげていきたい」旨を発表している。


 しかし、この指数の算定には多くの疑義がある。一般的な女性の感覚からみて、「本当に女性の福祉に適っているのか」という疑問を持たざるを得ない女性虐待の惨状を持つ国々が、「日本より女性を尊重している」という誤解を招くものだからだ。例えば、ジェンダー問題について多くの発信をしているネットアイドルの≪ゆづか姫≫こと新藤加菜氏は、「ジェンダー指数のランキングの算出方法に疑問をもっていただければ幸いです」と佳子様へのご諫言を述べている。(東京スポーツ10月12日付け記事)

日本より上位の国々の実態

 では、肝心の「ジェンダーキャップ指数」で日本より上位の国は、本当に日本以上に女性を尊重しているのだろうか。文化の違いはあるのかもしれないが、我々日本人の感覚では到底そうは思えない上位国の「女性虐待の実態」について、以下に紹介したく思う。

 まず、ジェンダーギャップ指数第5位のスウェーデンは、女性10万人あたりの強姦被害者が67名と世界最大の性犯罪大国である。これは、移民社会となっているため、移民がスウェーデン人女性を強姦しても、その性犯罪を取り締まることは「人種差別」にあたるというよくわからない解釈が為されていることが要因だと考えられる。移民に対する人種差別の禁止が、事実上スウェーデン人女性の基本的人権を制限しているものだと分析できる。なお、日本は10万人あたりの強姦被害件数は1人未満である。

 また、日本より上位の101位にランクインしたインドネシアでは、イスラム法のシャリーア(※)が施行されており、婚前交渉をした女性ないし未婚で宿泊施設に泊まるなど性行為の外観を作出した女性は、宗教警察によって広場など公衆の面前で現在も鞭打ちの刑に処せられ、皮膚が破れ筋肉と血管が露出するまで暴力を受ける身体刑が法定されている。
※「人間として踏み行なうべき道」を意味する。

 このような女性虐待は108位のキルギスにもみられ、同国では「アラ・カチュー」と呼ばれる伝統的な「拉致結婚」が未だ行われており、女性が嫌がっていても複数の男性が女性を拉致監禁して強姦し、結婚の既成事実をつくるということをしている。これは2018年に国連人権委員会が是正勧告を出したことで世界に知られるようになった。

 次に、52位のエスワティニでは、18才未満の女子児童を数万人集めて上半身を裸にして躍らせ、その中から国王の妾を選出するという儀式を毎年行っている。これは、同国の伝統祭事であるため、私たちの価値観で評価すべき事柄ではないとは思うが、それでも今日の人権感覚から言えば許容し難いものであると感じる。なお、同国の性犯罪被害は著しく、正確な統計が為されていないものの、強姦被害によるHIV蔓延を防止するため、国王が「性行為禁止令」を出したことでも知られている。
佳子様「ジェンダー平等」発言:皇室の"政治利用"を許すな

佳子様「ジェンダー平等」発言:皇室の"政治利用"を許すな

「ジェンダーギャップ指数」で日本より上位の国々が、明らかに女性の対する虐待を行っているケースも多い。
 何より、ウイグル人女性への強制堕胎手術や強制労働などの悪行でいま世界的に非難されている中華人民共和国が日本より上位の107位という時点で、信用に値しない統計であることは明白であると思われる。

 ほか、女性強制切除(女子割礼)や、ルワンダのように内戦で就労年齢の男性が虐殺されているため仕方なく女性の社会進出が為されている国などがある中、そうした事情は一切度外視されて、ジェンダー指数が産出されている。

「ジェンダーギャップ指数」1位の国が、"女性の幸福度"では下から2番目

 一方で、社会学者らによる国際的統計、「世界価値観調査」におけるジェンダー指数はどうであろうか。この統計は、国連加盟国の国民に対して、自らの性であることに幸福を覚えるか、といった「心理的質問」を設定していることで知られる。

 この質問に対して、日本人女性は統計が開始された1981年以来今日まで毎回連続で「男性より幸福である」と回答している。そして、日本人女性の幸福度は2017年の最新調査では堂々の世界第2位であり、前回の調査でも世界第1位という不動の地位を築いている(※)。
※記事公開時には「2017年の調査で1位」としておりましたが、「2017年は2位」の誤りでした。お詫びのうえ、訂正いたします申し上げます(10月15日・編集部)。

 ところが、男女格差が皆無であるとされるジェンダーギャップ指数第1位のアイスランドは、この「世界価値観調査」における「女性の幸福度」では世界最下位から2番目に位置している。アイスランドの経済状態は決して悪くないが、それでも女性の幸福度は、飢餓と貧困と伝染病に苦しむプエルトリコ(最下位)の女性よりは「幸せ」に過ぎないという驚愕の事実があるのだ。だとすれば、女性自身の主観において「幸福か否か」を調査していないジェンダーギャップ指数は、むしろ「女性虐待ランキング」と呼ぶのが相応しいのではないだろうか。

日本の女性は世界一"幸福"なのに…

 日本では女性の平均寿命が男性より6年以上長く、出生前検診で女児とわかっただけで中絶され、また生まれた瞬間に女児というだけで殺処分されることもない。これは日本ではごく当たり前のことだ。しかし、日本人の一般的感覚では驚かれるかもしれないが、世界では「女性」と「家畜」の区別がついていない地域が、まだまだ沢山あるのだ。

 雄のひよこを殺処分するように、人間の女児が生まれても「労働力にならない」と見なされるそのような地域と比べてすら「日本は女性の地位が低い」と評価するジェンダーギャップ指数。そんな指数に対して筆者は筆舌に尽くし難い気持ちがあるし、そこには何らかの「反日思想」が含まれているのではないかと思わざるを得ない。

 それではジェンダーギャップ指数はがどのように算出されているかというと、女性国会議員の割合や、女性専門職、女性管理職の割合など「社会的地位」をカウントしているのみなのである。そこには、肝心の女性が主観的にどう思っているかという調査項目は欠如しており、例えば「世界価値観調査」が調査項目に入れている「安全な出産が出来ると思うか」という質問もない。つまり、女性が病院や産院で出産できず、不衛生な道ばたでの出産を強制されていても「女性の社会進出」には何ら無関係である、というのがジェンダーギャップ指数が採る立場である。

 何よりも問題なのは、世界経済フォーラムという組織運営出資者不明の「よくわからない団体」の統計は毎年大きく日本国内で報道されるが、身元が明らかな社会学者たちによる「世界価値観調査」は全くと言ってよいほど報道されないということだ。このため、我が国の皇族や、女性の福祉向上を担うはずの女性国会議員までも、すっかりとプロバガンダに利用にされてしまったという現実がある。自分で調査しなければならない義務のある議員が騙されるのは論外としても、皇族をお守りするはずの宮内庁が上記のような情報を入れておらず、今回の佳子様のご発言につながったとすれば、「君側の奸」とも言えるのではないだろうか。
佳子様「ジェンダー平等」発言:皇室の"政治利用"を許すな

佳子様「ジェンダー平等」発言:皇室の"政治利用"を許すな

「世界価値観調査」では日本女性が世界一"幸せ"

皇族の"政治利用"を許すな

 今回、佳子さまが「皇族」の立場で極めて政治色の強いジェンダーギャップ指数を肯定的に言及された事件は、ひとつの可能性を危惧させる。それは、古代から日本社会に影響を及ぼし続けた「皇族の政治利用」である。時の権力者が自らの政治思想に「皇族」という装いをつけて公表し、それに疑義や反対意見を述べた者を攻撃するやり方である。

 戦前は特にその傾向が顕著で、有名なものとしては、海軍の「艦隊派」がロンドン海軍軍縮条約の締結に際して「統帥権干犯」として反対意見を述べた事例がある。そのような「皇室の政治利用」は万機公論で決するとして始まった明治維新の方向性を硬直させ、正常な議論を封殺してきた歴史がある。

 現代にあっても、皇族の政治利用を目論むものが、自身の政治思想を皇族に代弁させ、反論者の意見を封殺することは十分に考えられる。今回、「ジェンダーギャップ指数」という反日色の強い政治思想を佳子さまのお言葉に含ませたことも、そのような勢力の暗躍があったと考えることは、決して過剰な心配ではあるまい。

 日本人の皇族に対する尊崇の念は非常に強く、現行法では「不敬罪」はないとしても、皇族のご発言に対して異を唱えることは許されない空気があることもまた事実である。しかし、今回の「ジェンダー問題」は未だに多くの意見がある分野だ。そのような議論に対して「ご諫言」が制限されるようなことがあってはならない。

 「皇族の政治利用」は、今回の「ジェンダーギャップ指数」を肯定する「お言葉」によって、杞憂ではなく現実の問題となったことと言える。眞子内親王のご結婚の件、今回の佳子内親王のご発言といい、日本人の一般感覚に馴染まない事象が続くのはなぜなのか。政治家だけでなく私たちもその背景を見極め、今後の対策につなげることが急務であろう。
橋本 琴絵(はしもと ことえ)
昭和63年(1988)、広島県尾道市生まれ。平成23年(2011)、九州大学卒業。英バッキンガムシャー・ニュー大学修了。広島県呉市竹原市豊田郡(江田島市東広島市三原市尾道市の一部)衆議院議員選出第五区より立候補。日本会議会員。
2021年8月にワックより初めての著書、『暴走するジェンダーフリー』を出版。

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