増殖する反日謝罪男

髙山 大高さんの新著『日本を貶める──「反日謝罪男と捏造メディア」の正体』(ワック)を読みました。面白いね!

大高 ありがとうございます。どうも日本人の中には中国・朝鮮半島の宣伝戦を鵜呑みにして、尻尾を振っている〝反日謝罪男〟が多い。

髙山 筆頭は丹羽宇一郎、鳩山由紀夫か(笑)。

大高 中国は世界中にコロナを拡散させた汚名を払拭しようと宣伝活動に必死です。さらにチベットの農奴100万人解放61周年とかいって、あるチベット人に「古いチベットでの苦しい日々をへて、今の生活はまるで夢のように素晴らしい。2019年に我が家が村の集団経済から受け取った配当ボーナスは10万元を超えた」(『人民日報』日本語版/3月28日付)と言わせたりしています。

髙山 大高さんの本の中でもウイグルの子供を使って宣伝していることが紹介されていた。スキー授業を受けている子供たちの写真を紹介して、無邪気に雪遊びに興じているように見せた。いずれも迫害の事実から目をそらせようとする政治プロパガンダにすぎない。

大高 ほかにも中国は、一帯一路は〝コロナ街道〟だったにもかかわらず、世界のパートナーと「健康のシルクロード」、人類の公衆衛生を守る健康共同体をいままさに築きつつあると報じています(『チャイナネット』日本語版/3月30日付)。それこそ涙ぐましい努力です(笑)。世界中の人たちが苦笑せざるを得ないような稚拙な宣伝戦を臆面もなくやってしまう。でも、日本人の中には、こういった中国の宣伝を能天気に信じてしまう人もいるでしょう。

髙山 中国はウソつきの天才だ。尖閣諸島に石油が眠っているからといって虎視眈々(こしたんたん)と狙っておきながら、周恩来は領有権問題について「今、話し合うべき時ではない」と誤魔化して、明確な返答を出さなかった。その後、鄧小平も「尖閣の問題は後世に委ねよう」と。いつの間にか両国の係争地に仕上げていく。まともな政治家がやることじゃない。詐欺師の手口だ(笑)。

大高 このコロナ禍でも、むしろ、中国公船の数は増え続ける一方です。

髙山 中国はそういうウソを平気でやる。中国人ジャーナリスト、林語堂(1895~1976年)が面白いことを書いている。中国人は1日何をしているかといったら、朝は太極拳、それから碁を打ち、書を嗜み、午後は日本人の悪口を言う、と(一同爆笑)。「反日」は趣味の一つなんだ。

大高 自ら「小中華」と尊称する韓国人も「反日」がビタミン剤みたい(笑)。

髙山 まさに華夷秩序で、中国によるウソっぱちの宣伝活動を、韓国は縮小して、喧伝している。

大高 ピンチはチャンス。武漢肺炎によって、中国のウソが全世界に知れ渡る絶好のチャンスですね。

髙山 そうですよ、トランプが「中国ウイルス」と言い換えたことに、中国がカエルのツラの小便、逆にウイルスは米国が持ち込んだと言い返した。そんな応酬の中でニューヨーク・タイムズが「今こそコロナウイルスを封じ込めるために、中国もアメリカもそれぞれチエを出し合うべきだ」と書いていた。どこぞの新聞が書いているような話だ(笑)。

大高 「中国人を排除するより、ともに手を洗おう」などと書いていた朝日新聞ですね。

髙山 「米国が持ち込んだ」と公言したのは、中国外務省の超立堅(ちょうりつけん)報道官だけど、それに対抗してトランプは「中国ウイルス」と言い直した。中国が国際社会への責任も感じていないことへの憤りが感じられたが、ニューヨーク・タイムズは米中同レベルの喧嘩はやめようと書く。このことでトランプを引きずり下ろし、中国を責任ある国のように装わせる。これって、実に巧妙なデマ記事だね。

大高 米の大マスコミにも中国の言論工作が浸透している証ですね。ましてや日本は……。想像するだけで暗澹(あんたん)たる気持ちになります。

髙山 小さな事実を、まるで大きな真実であるかのようにサイズを拡大して報じる。引き伸ばしすぎて、全体像がぼやけてしまうほどだ(笑)。

大高 ヒラリーも、トランプ大統領が「中国ウイルス」と言ったことに対して、「レイシズムだ」と北京の肩を持っています。よほどクリントン財団にチャイナマネーが入っていたんでしょうね……。

髙山 火元は明白なんだから、レイシズム云々というレベルじゃない。

大高 中国は感染源をアメリカにしたり、一時は日本だとも微妙な表現で逃げ道を残しながら言い出しました。さらにイタリアじゃないかとも。隙あらば、責任転嫁して他人に罪をなすりつけようとする。

大高さんが「反日謝罪男」を斬る!
『WiLL増刊号』動画はこちら。

根深い宣伝戦

髙山 中国は武漢ウイルスに関してウソをつきまくるが、もっと根深い宣伝戦があるんじゃないか。何清漣の『中国の大プロパガンダ』(扶桑社/福島香織訳)でも、中国の宣伝戦について事細かに、さまざまな例をあげている。

大高 本書でも触れましたが、毎日新聞も中国に取り込まれている。事実、毎日は『チャイナ・ウォッチ』を毎月第4木曜日に折込みで配布していたのです。

髙山 大高さんの本では、韓国の3・1独立運動に関連した堤岩里(ていがんり)教会事件(1919年)を再三取り上げている。

大高 日本の官憲が現地の朝鮮人20人ほどを虐殺したと言われる事件ですね。

髙山 今でもこの話を持ち出して謝罪を要求している。マルハンの会長、韓昌祐も前に話したとき「日本人は残虐」の根拠にしていた。

大高 パチンコ屋のドン韓昌祐氏ですね。韓国で禁じられているパチンコで日本で財をなしたにもかかわらず、安易に日本人にレッテル貼りするのはいかがなものかと思います。パチンコ資金が北朝鮮に核ミサイル開発の資金として流れているのですから、ひどい話です。パチンコ議員(遊技業振興議員連盟)なんかIRに鞍替えしたり、一体どこの国の議員かと思います。韓昌祐氏とかに納税を含め、きちんともの申してこその議員連盟ですが、意味をはき違えていますね。堤岩里教会事件といえば、去年も日本の牧師たちが訪韓して謝罪行脚しています。

髙山 大高さんの本では、陸軍大将の宇都宮太郎の日記にある「毒筆を揮(ふる)ひつつある外国人等」の一文を紹介していた。毒筆とは、意図的に日本を貶めようとする記者のことだ。

大高 朝日は「宇都宮日記 苦い歴史の貴重な証言」(2007年3月1日付)と特集記事を出しつつ、恣意的に「毒筆」については掲載していない。

髙山 宇都宮大将の指摘は重要な意味を持っていると思う。幕末から明治初頭、日本に来た外国人記者や学者の日本評を見ると、そのころは実に冷静に良識をもってとらえていたことがわかる。

大高 お雇い外国人が多数いました。たとえば、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)やフェノロサは日本文化に対して深い関心を寄せ、継承したり、守ったりしています。

髙山 ところが、ある日突然、外国人記者や宣教師が日本の悪口を言い始めた。日清戦争に「旅順虐殺事件」(1894年)という話が出てきたのがきっかけだ。日本軍は果敢に戦い、降参する中国人の捕虜は手厚く扱い、負傷兵の治療もしている。欧州系の新聞はそれを素直に書いたが、米国紙はまったく違った。たとえばニューヨークワールド紙の特派員記者、ジェイムズ・クリールマン。彼は日本軍が旅順要塞を陥落させた後、街に突入して2万人の清軍兵士と旅順市民を実に残虐に殺し回ったと書いた。日本側は「事実無根だ」とうろたえた。悪魔の証明じゃないけど、ないことを証明するために、とても苦労をした。

大高 ウィキペディアでは旅順虐殺事件のことが事実として掲載されています。

髙山 なぜ米国紙がいい加減な記事を載せたか。イエローペーパー全盛期だったから話を盛ったこともあるが、本質は違う。米国は日本を開国させたけど、この繊細な審美眼を持つ不思議な民族の後見人くらいに思っていたら、日清戦争で日本人は見事な海戦を披露し、陸戦でも略奪も殺戮(さつりく)もしない綺麗で強い戦いぶりを見せた。当時もまだインディアン戦争で略奪、殺戮、強姦をやっていた米国人は己の野蛮さを告発されるようでいっぺんに日本嫌いになった。

大高 クリールマンが日本軍を故意に残虐に描く記事を書いたのは、米市民を「彼らも我々と同様に残忍だ」と安心させる一方で、今後は日本を必要以上に悪く書いて日本の国威を挫こうと思ったのでしょうか。

髙山 そのいい証拠は日清戦争前までの日本評はすこぶるよく「日本人も支那人も奇異だが、支那人は気持ちの悪い奇異だ」(ニューヨーク・タイムズ)などと書いたが、日清戦争以後は日本をそう取り上げず、たまに取り上げれば酷評ばかりする。以後、この旅順虐殺のデマが日本報道のモデルになり、南京大虐殺にまでつながっていく。クリールマンはこのあと、米西戦争(1898年)でもスペインがいかにキューバで残虐非道なことをしたか、現場にも行かずにデマを書き飛ばし、アメリカの戦争行為を正当化した。ウソを書くために生涯を費やしたような記者だ(笑)。

大高 まさに「独筆を揮う外国人記者」の典型です。まるで朝日の記者のようですけど(苦笑)。

国益を損なうためのウソ

髙山 外国のジャーナリズムは、国益のためなら大きなウソをついてもいいと思っている。ところが、日本の場合は、国益を損なうためにウソをつく(一同爆笑)。

大高 どうしてこうも正反対なんでしょう。

髙山 その心理が分からない。大高さんが謝罪男の鳩山由紀夫や丹羽宇一郎を取り上げて、その奇異さを報告しているけれど。

大高 罠(わな)に陥って弱味を握られ、謝罪パフォーマンスせざるを得ないのかとも思います。

髙山 それもあるかもしれない。実は何清漣の言う「宣伝戦」で、相手国をいかに誹謗中傷して貶め、国威を挫き、金にしていく中国流の大外宣を描いているけれど、その大もとは、スペインに行き着く。スペインが中南米を侵略していくとき、同じくスペイン・ドミニコ派の宣教師、ラス・カサスが自国民の非道残虐ぶりを告発した。

大高 『インディアスの破壊についての簡潔な報告』(岩波文庫)としてまとめられています。この報告書は1542年頃、発行されました。

髙山 ラス・カサスとしては自国を貶める意識はなかった。宣教師としての〝良心〟に従って告発したわけだ。でも、ラス・カサス自身も現地民を奴隷として酷使している。自分も同じようなことをしているけれど、自分はちょっと紳士なんだと自己弁護する。もしかして鳩山由紀夫や丹羽宇一郎の心の中にも、そういう偽善性があるのかもしれない。

大高 タチの悪い偽善ですね。大航海時代、スペインは大英帝国に先駆けて「太陽の沈まない国」と言われるほど、無敵艦隊を率いて世界各地を征服し、大帝国を築いていました。

髙山 その当時、あらゆる海を制覇したスペインとポルトガルの間では、1494年にトルデシリャス条約が結ばれている。教皇アレクサンデル6世の承認によってヨーロッパ以外の新領土の分割方式を取り決めたものだ。西アフリカのセネガル沖に浮かぶベルデ岬諸島の西約2000キロの海上において子午線にそった線の東側の新領土がポルトガルに、西側がスペインに属することが定められた。あの時代のG2がそう決めたわけだ。

大高 中国が「第一列島線」「第二列島線」と言い出したのも、その条約の取り決めを真似したのではありませんか(笑)。

髙山 中国は単に思い上がった大国だが、確かにそんな感じがする。トルデシリャスに戻ってポルトガルは東インド諸島などを領有したけど、中南米を中心に大部分はスペインが制圧した。その分割後、イギリスやオランダ、フランスなどが植民地獲得に乗り出したが、そこにスペインが大きな壁として立ちはだかっていた。では、どうしたらスペインを追い落とせるか。それでラス・カサスの告発本が利用された。

ラス・カサス本による宣伝戦略

大高 黒を白と、白を黒と言い換えて宣伝戦を繰り広げていく。

髙山 スペインは新大陸に来ると男は奴隷として酷使して最終的に殺した。妊娠している女性と赤ん坊も殺し、処女は慰み者にした。たとえば、今のメキシコでは人口の1割が白人で、六割がその処女に産ませた混血児で、残りが森に逃げたマヤ族ら原住民になっている。

大高 その混血が「メスティーソ」と言われる人たちですね。まさに中国がウイグルに対して同様のことをしてきました。

髙山 そう。いわば民族淘汰だ。ユダヤ人もカナンの地に入ったとき、ミディアンびとに対し同じことをしている。男をすべて殺し、女は神ヤハウェから兵士に下された贈り物だ、好きにしていいとモーゼが言っている。

大高 スペイン人もそのやり方に倣った。

髙山 ラス・カサスはこのスペイン人の民族淘汰を誇大・誇張して報告した。手足を縛った人間を藁にくくりつけて、火をつけ燃やした、とか。インディオの女が抱いていた赤ん坊を取り上げ、手足をナイフで切って腹をすかせた猟犬に投げ与えたとか。似たような話が肥前島原藩2代藩主、松倉勝家(まつくらかついえ)が年貢を納めなかった百姓の蓑に火をつけた話として伝わる。

大高 松倉は圧政のカドにより斬首されています。

髙山 悪政に間違いないだろうけど、こういう残虐さはラス・カサス本でオランダに伝わっていた。キリスト教を追い出した日本の悪口話に、ラス・カサスの話を混ぜ込んだのだと思う。むしろ極東にまでラス・カサスの話が伝わっていた事実の方がすごい。それはレコンキスタでイベリア半島を取り返したスペイン人が、イスラムと協力して金持ちになっていたユダヤ人に目を付けたことから始まった。スペイン人は金持ちユダヤ人を片端から異端審問にかけて火あぶりにし、その財産を奪った。ドミニコ修道会の審問官トルケマーダは8000人を火あぶりにしている。
 で、多くのユダヤ人が、オランダ・アムステルダムに逃げてきた。当時のアムステルダムは活版印刷のメッカ。彼らはそこでラス・カサスの本を各国語に翻訳し、ベストセラーになった。「スペイン人は唾棄すべき残忍な国民だ」と世界中から詰(なじ)られた。

大高 ヨーロッパ諸国のプロパガンダ戦略だったわけですね。

髙山 残酷な処刑方法を描いた銅版画までつくって、挿し絵にしている。

大高 それを真似たのが、『ザ・レイプ・オブ・南京』(アイリス・チャン)だ(笑)。

髙山 その通り。自国民の悪辣非道ぶりを喧伝されたら、落ち込むのが当たり前だ。欧米はこういった大々的なプロパガンダ戦略を300年、400年と続けて、スペインを衰退させた。だから、今でも無気力で、かつての栄光なんて見る影もない。目下もコロナウイルスで疲弊し、行けばスリしかいないと言われる国に堕してしまった。

大高 コロナウイルスで、マリア・テレサ王女まで亡くなってしまいました。

髙山 輝かしい大帝国がここまで落ちぶれてしまったのは、ラス・カサスの報告書を利用した宣伝戦に敗れたからだ。

大高 アメリカだってネイティブアメリカンを虐殺しているのに。

髙山 ホントだ。当時、約1300万人いたが、結局、30万人しか残らなかった。ヒトラー以上の大虐殺だよ。でも、原住民に対する残虐行為と言えば、「スペイン」「コルテス」「ピサロ」となるくらい印象づけられている。

大高 その大元がラス・カサス!

髙山 アメリカでも19世紀末に英訳、色刷りされ、銅版画まで挿入されたものが売れた。スペインはひどい国だとなって、キューバでも同様のことをしていると新聞が書き立て米西戦争の宣戦布告につながった。政治、ジャーナリズム、出版界がスクラムを組んで、スペインをやっつけて結果的にキューバ、プエルトリコ、グアム、フィリピンをアメリカは領有することになった。

骨抜きにされた日本民族

大高 恐ろしい結末です。過去の自己批判書を、うまく利用した。

髙山 日本だって同じことだ。新興国として日本が世界に躍り出たとき、欧米諸国から嫉妬を買った。それで先のクリールマンのような報じられ方につながる。こういった宣伝戦を彼らはいつも心掛けている。

大高 敗戦後の日本では、GHQのWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)によって洗脳活動が行われたことが明らかになっています。しかも7年も続きました。

髙山 それで、あれだけ強かった日本民族が骨抜きにされてしまった。欧米諸国が2千年間守ってきた海戦の方法があった。接近して副砲を撃って、船腹に舳先をぶち込む。だから舳先には衝角がついていた。ところが、日本は日清・日露戦争でまったく違うやり方を示した。相手の船に一度も接することなく、破壊力のある主砲を利用して次から次へと撃沈していった。しかも日露戦争では特殊火薬によって、1万8千トン級の鉄鋼艦が燃えて沈没していった。あり得ない現象だった。

大高 そういう日本に世界は脅威を感じたんですね。

髙山 ギリシャ時代から連綿と続いていた衝角戦法から、日本は主砲による戦艦につくりかえていった。それに倣って英国が最初につくったのが「ドレッドノート」。いわゆる弩級戦艦。それよりも威力があって大型なのが超弩級戦艦。第2次大戦の頃、「プリンス・オブ・ウェールズ」は3万トンクラスで、超超弩級戦艦と呼ばれた。もはや敵はいないはずだったが、日本が英米と決戦したとき、この超超弩級戦艦を日本は航空機によって撃沈してしまった。日本は常に欧米の一歩も二歩も前にあった。「戦争の1年は平時の10年」と言われるけど、日本の航空技術に英米が追いつくのに3年もかかった。つまり、日本は30年先を行っていたわけだ。

大高 それほど革新的な戦法だった。

髙山 だから、かつてのスペイン帝国と同じく、この強い、日本をどうにか降伏させた後、この国の再興を防ぐには何がいいか。それはラス・カサス方式で、日本を残虐な民に仕立てて士気を打ち砕くことにした。それでGHQの「WGIP」が実行された。日本は非民主的で、遅れた国家であり、これからは個人主義的で、残酷野蛮な民族から脱する必要があると。その際に日本人の中で誰かラス・カサスの役割を担ってくれないかと探した。家永三郎や東史郎がその役割を担ったと言える(笑)。

大高 家永氏はかの吉田清治氏の証言を評価した歴史家です。東氏は南京事件の証言のとき、上官の元陸軍第16師団歩兵第20連隊伍長が「中国人を郵便袋の中に入れ、ガソリンをかけて火をつけ、手榴弾を袋のひもに結びつけて沼の中にほうり込んだ」と。郵便袋に人1人入ることなんてできないのに(笑)。私は東氏が所属していた中帰連(中国帰還者連絡会)の集会に参加したことがあります。
印象的だったのは途中から私が参加すると一斉にメンバーの人たちがマスクをし始めた。ウイルスのご時世でもないのにマスクを常時携帯しているだなんて、よほどやましい活動をしているという自覚があったからではないでしょうか(笑)。もう1人、名前をあげるとしたら吉田清治ですね。

髙山 平凡で取り柄もない人間が自虐の波に乗れば、朝日新聞が取り上げてくれる。それで「我こそは日本のラス・カサス」という輩が雲霞のごとく出現してきた。その中の1人が「日本は中国に迷惑をかけた」と唱え続けた日銀マン、岡崎嘉平太だ。岡崎は朝日社長の美土路昌一(みどろますいち)に引き立てられて全日空社長になるが、その見返りに自虐に徹して親中反日になることを求められた。
  岡崎は生涯、日中友好を謳った。日中国交正常化の際に、田中角栄が中国を訪問する二日前、周恩来は岡崎を呼んで食事会を開いた。周恩来は岡崎に「中国には『水を飲むときには、その井戸を掘ってくれた人を忘れない』という言葉があります」「まもなく田中総理は中国に来られ、国交は正常化します。しかしその井戸を掘ったのは岡崎さん、あなたです」と言った。こういう人誑しに周恩来は長けていた。
 岡崎は「ヒトラーはユダヤ人に対して虐殺行為をした。それと同じく日本軍は中国大陸でやった。だから、我々は贖罪をしなければならない」と言って歩いた。

大高 中国政府に量産される〝反日謝罪男〟のメカニズムの一端が解明できて興味深いです!

髙山 その岡崎の背後にいたのが美土路だった。そして、美土路の子分が広岡知男だ。

大高 やっぱり朝日(笑)。広岡氏も「反日謝罪男」の1人です。

髙山
 こういった前提で大高さんの本を読むと「そういうことか」と、より深く理解ができる。

自らラス・カサスに

大高 堤岩里教会事件だけでなく、南京問題や慰安婦問題を焚きつけたのは、ラス・カサスと同じく、みな宣教師のプロパガンダが絡んでいる。

髙山 池田悠の『一次史料が明かす南京事件の真実』(展転社)では、南京にいた外国人の名簿が紹介されている。ジャーナリストや宣教師の名が並ぶけれど、シーメンスの武器商人ラーベを除けば全員反日米国人で、クリールマンの真似をやっていた。

大高 日本に対してはラス・カサスの告発書にあたるものがないから、南京事件を捏造したわけですね。

髙山 そう。国民政府の宣伝工作みたいに言われるけれど丸ごと米国製だった。ニューヨーク・タイムズの記者やマンチェスター・ガーディアンのティンパリーが手を貸している。ティンパリーはもともとデイリー・テレグラフの記者だったけど、この新聞社は米国政府のバックアップを受けて、中国で反日工作をしていた。米国政府とジャーナリズム、そして日本のラス・カサスが一体となって、反日工作を続けていった。さらに、そうやって捏造された南京事件を喜々として受け入れたのが、朝日の本多勝一だ。

大高 本多氏もスター級の〝反日謝罪男〟でしょう。広岡社長(当時)が、校正担当だった本多氏をスター記者に育て上げたのです。意のままに操りたいがための措置だったのではないでしょうか。広岡氏は日中国交回復の時期も中国に数週間滞在しているので、おそらくそこで骨抜きにされたのではないでしょうか。ともかく、本多氏を当時のアイリス・チャンに仕立て上げたのが、広岡氏だった。広岡氏については、長谷川𤋮氏が『崩壊 朝日新聞』(ワック)の中で広岡氏のルーツが中国であることを指摘しています。

髙山 そういうことです。さらに鳩山由紀夫のように自ら「ラス・カサスになります」と言い出す輩も出てきた。今はGHQ時代につくられたシステムを、朝日が中心となって後生大事に守り続けている。

大高 終わりは迎えていないでしょうか。

髙山 今回の歴史教科書検定で「従軍慰安婦」の表記が復活したことを考えると、まだまだ根深い問題として横たわっていると思う。

大高 文科省官僚や教科用図書検定調査審議会委員の中には自虐史観を脱するどころか、子供たちを再び自虐史観で洗脳しようとする怨霊のようなラス・カサスが棲息しています。

朝日の悪辣な意図

髙山 やっぱり「私がラス・カサスです」という日本人が、たくさんいるんだね(笑)。しかも各界に存在している。特に朝日は完全に中国・朝鮮の犬となり果てている。1987年、大韓航空機爆破事件があった。実行犯の一人、金賢姫をバーレーン大使館の職員が捕まえたものの、即座に韓国に引き渡してしまった。金賢姫が自白する中で田口八重子さんや横田めぐみさんの名前が出てきた。

大高 北朝鮮による拉致の実態が顕在化しました。

髙山 騒ぎが広がる中、90年代に入って朝日が何をしたかというと、植村隆による慰安婦問題を持ち出した。吉田清治を復活させ、吉見義明の軍の関与説を引っ張り出し、その間に堤岩里教会事件まで取り上げた。こうした反日的な記事の連打で、拉致問題がいつの間にか後方に追いやられてしまった。

大高 松井やより氏と本多勝一氏はいみじくも「かつて日本は東アジアで20万人の女性を強制連行したのだから、拉致問題のことは言えないでしょう」と、同じような趣旨の発言をしています。慰安婦強制連行をデッチ上げて、拉致問題と相対化する目論見は当時の左翼雑誌に顕著に見られます。たとえば「米下院『従軍慰安婦』決議とアジア連帯会議とのつながり」と題された記事に「日本が拉致被害者と家族たちの解決だけを叫べば叫ぶほど、更に世界各国から『従軍慰安婦』たちの声を真剣に聞き、謝罪と補償を求める要求が高まってくるだろうことは、理の当然だ」(「マスコミ市民」2007年7月号)とあります。

髙山 意図的な工作だね。当時、朝日のトップは中江利忠で、彼が拉致問題を潰す意図で吉田清治の慰安婦強制連行のスピンオフものを持ち出させた。2014年、朝日は吉田清治に関する記事を謝罪・訂正したけど、すでに退陣していた中江は詫びの言葉を述べている。内心、よほど忸怩たるものがあったんだろう。80年代初め、吉田清治のウソ記事を出して、10年後の90年代に入って再び取り上げたのはなぜか。

大高 堤岩里教会事件だって、もともとは70年代に報じられていたのに、なぜか91年、朝日は再び取り上げています。

髙山 その前後で植村の記事がある。朝日は確信犯的に政治的に動いて、宮澤喜一という愚かな首相を取り込んで拉致事件を葬り去ろうとした。そして拉致疑惑が言えないよう近隣諸国条項(日本国の教科用図書検定基準に定められている「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」という規定のこと)をつくらせた。
 もはや朝日はエージェントだと言える。韓国・北朝鮮のみならず、中国にも通じていて、この3国の都合の悪い情報が流れると、必ず打ち消す記事を出してくる。北朝鮮が核実験やミサイル発射を始めたとき、朝日はモリ・カケ問題を持ち出し、2年にわたって大騒ぎした。核を持った北朝鮮と韓国が緩い連邦政府をつくったら、日本は踏ん張ることが難しくなる。 安全保障問題が発生して、すわ大事という局面でありながら、朝日はモリ・カケ問題一色にした。

大高 タイミングが良すぎますよ。

髙山 さらに今回の武漢ウイルス問題でも中国人をシャットアウトして、中国依存の経済体制から脱するべき時に、朝日は「桜を見る会」を盛んに報じた。

大高 昭恵夫人の花見疑惑なんかより、もっと大事なニュースがたくさんあった。

髙山 安倍政権のもと日本国民が一致団結すべきときに、近畿財務局の役人の遺書が出てきて、これまたモリ・カケ問題を再燃させようとしている。彼が自殺した原因は、盛んに書き立てた朝日新聞などマスコミのせいだろう。

大高 朝日はとにかく乱射すればいいという感じです。不発に終わることが多いですが……。

髙山 アメリカは1917年、第1次世界大戦に参戦する理由として、ドイツのUボートに沈められたルシタニア号沈没事件1915年)を持ち出した。でも、それは2年前の話だ(笑)。このときは、米国政府の広報委員会(CPI)とジャーナリズムが一体となって、参戦を正当化するために、世論操作した。
 CPIの当初の目的は、第1次世界大戦に、アメリカも参戦すべきだと新聞・雑誌を使ってプロパガンダ工作をするためだった。ムードを盛り上げて、アメリカは参戦しドイツに勝利する。

大高 CPIはそこで役目が終わったのですが、あえて潰さず、上海委員会をつくります。そこを中心に、『中国の赤い星』を書いたエドガー・スノーや、『老人と海』のヘミングウェイの3番目の妻、マーサ・ゲルホーンもCPIに参加し、蔣介石を持ち上げ、日本を叩こうとした。『大地』を書いたパール・バックにノーベル文学賞を与えたのも、すべてCPIの指揮だったとか。

髙山 そういう反日の波の頂点で第2次上海事変(日中戦争)を蔣介石(しょうかいせき)にやらせた。その1937年から3年間、全米で日本と中国の好感度調査を行っている。中国に対してはパール・バックの本もある。常に好感度が70%以上、ところが日本は1%(笑)。
 日本側が蔣介石軍を何とかやっつけると、今度はドイツが出てきて日本は蔣介石と休戦協定を結べと言い出す。日本はそういう欧米諸国の日本叩きの意図を察していたからトラウトマン工作は蹴って南京を攻めた。CPIがそこで動いて南京大虐殺をつくらせた。南京大虐殺はシカゴ・トリビューンが最初に流し、マギーやベイツら宣教師が神を畏(おそ)れぬ大虐殺目撃のウソをかたっていく。コミンテルンなどの出る幕がないほど、米国は狡猾(こうかつ)だった。

大高 中国の宣伝機関もCPIに倣っているところが大きいかもしれません。

髙山 日本の新聞はそういうところをもっと勉強しなければいけないのに、むしろCPIに率先協力する。まるで反日国家への奉仕団みたいに見える。

正しい歴史観を

大高 日本はどう勝ち抜いていったらいいのでしょうか。

髙山 歴史観をしっかり持つことが大切だね。現象だけを追うと、どうして韓国人はここまで汚いやり口をするのか、平気でウソを言うのかと思う。中国人も同じだ。中韓は、米国との間で日本を貶めることが了解済みになっている。

大高 それほどアメリカは日本を怖れている。

髙山 独立独歩で、どの国からの応援もなしで極東の島国が世界最強の国家になり、白人世界を揺るがした。その脅威の念は消えていない。トランプ政権で流れは変わってきたけど、日本への手綱を緩めることはない。中国が日本の悪口を言ったら、裏でアメリカは拍手喝采している。そういう関係にある。

大高
 韓国の反日行為に対しても同じでしょうか。アメリカは慰安婦像建設をどんどん承認しています。もっともアメリカも一枚岩ではありませんが……。

髙山 ヒラリーなんて国務長官時代、「米国のあらゆる文書・声明で、日本語の〝慰安婦〟(comfort women)をそのまま翻訳した単語を使ってはならない。〝強制的な性的奴隷〟(enforced sex slaves)という表現を使うべきだ」と言っている。

大高 ヒラリーはアイリス・チャンとも懇意にしていました。

髙山 プロパガンダで手を組んでいるのは、何より日本が恐いからだ。ところが、日本人は無邪気にも「何もしていないのに、どうしてここまでイジメられるんだろう」と思っているわけだ(笑)。

大高 相手の真意をまったく見抜いていません。

髙山 日本がどれほどすごい国なのか──そのことを自覚できたら、「あ、こういう誹りもあるのか」とわかる。それと同時に、そんな誹り程度で頭を下げ続けていたら、スペインのように気力・体力が失われかねない。謝罪男〟も(笑)。心して掛からねばなりません。

髙山 1つ注文をつけたいのは日本のメディアは、政府を是々非々で批判するのは構わない。でも、せめて国益のために批判してほしい。この国難の時、日本を不当に貶める意味は何もないんだから。

大高 髙山先生のお陰で、ラス・カサスに始まり、根深いプロパガンダ宣の実態が浮き彫りになりました。せめて政治家や霞が関、メディアで働く人はこういった知識を入れたうえで職務をまっとうしていただきたいものです。そうすれば〝反日謝罪男〟もやすやすとパフォーマンスできなくなるでしょうし……。何よりも日本の子供たちのために切に願います。
髙山 正之(たかやま まさゆき)
1942年、東京生まれ。東京都立大学卒業後、産経新聞社に入社。社会部デスクを経て、テヘラン、ロサンゼルス各支局長。80年代のイラン革命やイラン・イラク戦争を現地で取材。98年より3年間、産経新聞の時事コラム「異見自在」を担当。辛口のコラムで定評がある。2001年~07年、帝京大学教授。著書に、『アジアの解放、本当は日本軍のお陰だった!』『白い人が仕掛けた黒い罠─アジアを解放した日本兵は偉かった』、共著に『こんなメディアや政党はもういらない』(和田政宗)(以上ワック)などがある。
大高 未貴(おおたか みき)
1969年生まれ。フェリス女学院大学卒業。世界100カ国以上を訪問。チベットのダライラマ14世、台湾の李登輝元総統、世界ウイグル会議総裁ラビア・カーディル女史などにインタビューする。『日韓〝円満〟断交はいかが? 女性キャスターが見た慰安婦問題の真実』(ワニブックス)、『イスラム国残虐支配の真実』(双葉社)、など著書多数。「真相深入り!虎ノ門ニュース」(レギュラー)、「ニュース女子」などに出演している。

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