「コロナ差別」はそろそろやめませんか?

「コロナ差別」はそろそろやめませんか?

飲食業界は変わらず四苦八苦

 10月27日、新型コロナウイルスの新規感染者は158人、重症者は4人増え、33人が確認されたという(東京都発表)。

 重症者が30人台になったのは先月以来ということで、またもやGO TO EATを中心とした国の施策が問題視されているが、GO TO EATに関してはむしろ制度設計の甘さを批判すべきだろう。高級店はまだしも、コスパの良い個人飲食店やチェーン店などは恩恵を受けておらず、ポイントの不適切な利用などで(ポイント相当額を下回る飲食をするなどして、差額を得る)、事業対象から外されている。

 筆者が最近訪問した高級ステーキ店では、予約サイトが国からもらって行うポイント還元の他に、店側が「タイムセール」などで通常のコースを値引き販売するなど努力をし、なんとかお客を集めていた。われわれ、ユーザーにとってはありがたいが、店側は、値引き台の負担に加え、予約サイト業者にも支払があるので、

「本当に薄商いですが、全く営業ができなかった時期に比べるとはるかにましです」

 と、諦め模様だ。一方で、再び新型コロナウイルスの感染拡大を煽るような役所発表や、報道はやめてほしいと真剣に話していた。

「コロナ差別」が被害を生み出す

 実際に医療関係者の意見は、概ね次のようなものだ。

「過剰反応しすぎです。数字だけ見て、騒いでいるのでしょうが、日本は、死亡者数も圧倒的に少ないし、飛沫感染を防ぐ努力さえすれば、問題ない。これだけ長期にわたると、飲食店も飛沫感染ケアを徹底し始めていますし。だいたい、新規感染者という言葉の使用方法に問題があります。実は、新規でない可能性の方が高いのに、新規感染者という言葉を使うがために、永遠に危険な病気というイメージができて、コロナ差別なるものも社会に生み出してしまった。
 もちろん、対策を打つことは重要だし、数を把握することも大事です。しかし、〝数の意味〟まで伝えなければ、むしろ、誤解をばら撒くことになります。いま顕在化している問題は、コロナ患者が家族に出てしまった子どもたちへのいじめです。この傾向はひどくなる一方です」

 そもそも、春先の段階では、マスクや検査キットの不足に加え、医師側も検査に慣れておらず、実態が掴めなかったという。

 だが、今では、それらの課題はクリアされており、この間に、新型コロナウイルスに感染していたが、無症状の人もいたはずだ。それに、症状自体が軽ければ、自分がコロナ感染者であると認めるのは難しいことなので、基本的に病院に行かなかった人が多かったのではという疑念が、彼らの「新規感染者」という言葉を使用することへの反論の根底にある。 

 大人の世界でも、一時は、コロナに罹ったというだけで、職場を失う人も出たぐらいだ。相当に具合が悪いと感じるほどでなければ、自ら名乗り出て病院に行き、検査を受けるという行動には出ないだろう。

 新型コロナウイルスは、1度罹れば抗体ができるわけではない。何度目かの感染で初めて「新規感染者」と認定された可能性もある。また、軽傷者で、すでに治りかけていても「ウイルスの残骸」を発見し、新規に加えている場合もあるという。そうすれば、当然、感染者数は増える。

 基本的に、新型コロナウイルスで重症化するのは、高齢者や肥満者、持病のある人だ。日本は、そこまでの肥満者が少ないこともあり、死亡者も世界的視点でみると、圧倒的に少ないと言える。

 感染防止対策はもちろん重要だが、日々の数字に一喜一憂せず、新型コロナウイルスに対する正確な知識を共有すること。
「コロナ差別」という二次的被害で日本がダメージを深くする前に私たち個々人が冷静に対応することこそが、結局自らをコロナから守ることになるのではないだろうか。
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横田由美子(よこた・ゆみこ) 

埼玉県出身。青山学院大学在学中より、取材活動を始める。官界を中心に、財界、政界など幅広いテーマで記事、コラムを執筆。「官僚村生活白書」など著書多数。IT企業の代表取締役を経て、2015年、合同会社マグノリアを立ち上げる。女性のキャリアアップ支援やテレビ番組、書籍の企画・プロデュースを手がける。

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