パイプライン破壊はテロ?

 デンマーク国防当局は、9月26日、ノルドストリーム2からのガス漏れを発表。その様子を撮影したデンマーク軍司令部提供の写真が公開された。
 翌日27日、スウェーデン海事局もノルドストリーム1で2カ所、29日にはノルドストリーム2での4つ目のガス漏れを確認した。パイプラインを経営するノルドストリームAGは「同時に3カ所でパイプラインに大きな穴があく」とは「想像が困難」であり、破損のレベルは「前例がなく」「復旧の見通は予測不可能」との見解を示している。スウェーデンの外務大臣アン・リンデは、公共放送SVTで「スウェーデンへの攻撃ではない」と語った。

 一方、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は「明らかに意図的」で「事故によるものではない可能性がある」、NATOは「破壊工作を確信」し、「ドイツの治安当局は、500キログラムのトリニトロトルエンに相当するほどの高い爆発力を持った爆弾によって破壊された可能性があり、責任は『ひとつの国家的アクター』だけにある」、と推測している(『フランクフルター・ルンドシャウ電子版』2022年9月29日)。
 ウクライナは「ロシアによる『テロ攻撃』だ」との見解を示し、ポーランドも「攻撃的な東の国」(マルチン・プシダチ・ポーランド外務次官)による仕業だと疑っている。欧州委員会議長のウルズラ・フォン・デア・ライエンは、未確定の犯人に向かって「これが破壊活動であることは完全に明白」と、「可能な限り最も強力な対応をする」と宣言した。

 プーチンは、今回の件は「国際テロ」だと表明し、スポークスマンのペスコフは「国家の関与なしには不可能だ」という見方を示している。また「ロシアの仕業だ」という指摘には「愚かでばかげている」とコメントしている(『ターゲスシャウ電子版』9月27日)。
 確かに自分の財産を破壊するなど狂気の沙汰であり、ノルドストリームよりは後述の「バルト海パイプライン」を破壊した方がロシアの利にかなっているように思える。
 地震学者らも爆発の可能性を指摘している。デンマーク・グリーンランド地質調査所の発表によると、ガス漏れの近くの「デンマーク・ボーンホルム島の地震計が、26日現地時間の午前2時と午後7時、2回の振動を記録した」。ドイツの研究センター(GFZ)は、この揺れが「爆弾によるものかの明言は避け」「地震は観測されていない」と述べている。

 ウプサラ大学国立地震学センターの地震学者ビョルン・ルンドは、これらは爆発であることは疑いの余地がないと、スウェーデンのラジオ局SVTで語った。デンマークの気候エネルギー大臣ダン・ヨルゲンセンは、これらの学者の証言から、水中深くにある鉄とコンクリートから成るガスラインが、船の錨などで破壊されるといった可能性はない、と述べている(『ターゲスシュピーゲル電子版』9月28日)。

 ノルドストリーム2は2021年に完成したが、ウクライナ侵攻後、稼働開始を止めたため、いまだに一度も稼働されていない。「国際社会」と足並みを揃えることを決めたドイツの「信号政府」(赤は社民党、緑は緑の党、黄色は自由党)が「プーチンを利するぐらいならウクライナのために凍えよう」と禁輸による対露経済政策をとったためである。
 ノルドストリーム1は今年9月初めから完全に停止している。露政府傘下の連邦技術規制・計測庁の技術者が「シーメンズエネルギーのタービンの設計上の欠陥」は「火災と爆発のリスクを高める」と稼働を停止させた。「必要ならノルドストリーム2を稼働させたらどうか」というプーチンの提案に乗るまいと、ノルドストリーム2を稼働させることはせず、さらに欧州のガスの価格は上昇した。

 なぜ、稼働していないパイプラインから大量のガスが漏れるのか。
 前述のノルドストリーム2AGは「いつでもパイプラインを稼働させられるようにするには、パイプにガスを通し圧力を常に約103バルにしておく必要がある」と説明している。このガスは、温室効果や気候変動の原因で「二酸化炭素よりも4倍環境に悪い」と言われているメタンとみられている。ドイツ環境省はインターネットニュースRNDの質問に「現時点でガス漏れによる海洋生物への重大な脅威はない」と答えているが、環境団体は黙ってはいないだろう。

 グリーンピースのマッズ・クリステンセンは「我々の試算では、ガス漏れはデンマークの二酸化炭素排出量の8カ月分に相当する可能性がある」とツイッターに投稿、コロナ収束も束の間、「環境危機」の幕開けを示唆している。「破滅的レベルの気候変動を回避する」ため、メタンガス排出量削減が世界の潮流となっているが、パイプラインの破壊で「ロシアの天然ガス」は「環境に悪い」の烙印(らくいん)を押されつつある。
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爆破されたノルドストリーム

存在意義を失った自由党

 ドイツでは「安価な天然ガス」による暖房の割合は約50%強である。ボッシュ・サーモテクノロジーの暖房機器の専門家は、1人当たり14立方メートルとして、年140キロワット、来年のガス代請求額は1人当たり約1540ユーロとの試算を行った(『ハンデルスブラット電子版』9月28日)。この価格は前年比で232%増という驚異的な数値である。今回の「破壊工作」によってガス代はさらに「史上最高レベル」に引き上げられるであろう。

 8月に破産した独最大の電力・ガス企業ユニパー(本社デュッセルドルフ)の救済措置として、政府は約150億ユーロ(約2兆1千億円)の税金を投入して部分的国有化を行い、約30%の株式を保有することになった。もともとユニパーの危機には、10月から始まるガス料金値上げとガスの消費税値下げ対策によって対応する予定だったが、間に合わず税金からの救済を行う、という形になった。
 シャワーの時間や調理の時間を気にしながら生活する国民に対し、ショルツ首相は「君たちを1人で歩ませることはしない」と「負担軽減対策パッケージ」を発表し、これで「国民は勇敢に迎えることができる、大丈夫だ、乗り越えられる!」と舌を振るったものの、ドイツ国民は冷めた視線を送るばかりである。

 ショルツの楽観論に反して、ミュンヘンのIFO経済研究所は、2023年のインフレ予測を9・3%に引き上げた。IFOの経済予測責任者、ティモ・ウォルマースホイザー氏は、「冬の景気後退に突入しつつある」と見ている。
 日々思い知らされるインフレへの不安や怒りは「無能な政府」に向かう。今年の夏あたりから反エネルギー政策デモを呼びかける声が高まってきている。「Heiße Herbst」(「闘魂の秋」抗議の比喩)を掲げ、ザクセン・チューリンゲン地方などの旧東ドイツの地域を中心にデモが急増している(『ターゲスシャウ電子版』9月6日)。

 左翼党自体はノルドストリーム2の稼働に反対しているが、デモは左翼支持者から起こった。さらに「極右」と呼ばれる「ドイツのための選択肢」(AfD)の支持層が加わった。政治的立場は左右正反対だが、「エネルギー価格の高騰の原因は現政府の対露経済制裁だ。今すぐノルドストリーム2を稼働させよ」と主張が一致している。このデモを歓迎したのは、「左翼の右翼」と呼ばれる元左翼党党首のザラ・ワーゲンクネヒトであった。

 ワーゲンクネヒトは「戦争の責任は始めたロシアにあるのは揺るぎない事実だ」と認めながらも「しかし禁輸による経済戦争を始めたのは西側諸国であり」「今ドイツに起こっているエネルギー危機は自ら招いたもの」だから、「今すぐロシアと交渉し天然ガスの輸入を再開せよ」と主張している。9月7日に行われた「経済とエネルギーに関する予算論争」に関する連邦議会での一般演説では「どれだけ愚かなのか? 我々の政府はヨーロッパ一愚かだ」と現政権を激しく批判した『ヴェルト電子版』は、この時の演説をユーチューブ動画にあげているが、再生数242万回、高評価9万弱を獲得している

 自身の動画では、エネルギー価格の高騰により、中小企業をはじめとするドイツ経済は「これまでに例を見ない深刻な危機に瀕している」と訴えた。通常、中小企業を支持母体とする「自由党」から発せられる言葉だが、左翼の政治家が言っているのである。自由党は「赤」と「緑」に引きずられ、「自ら自身の存在意義を失った」という認識が広まっている。ワーゲンクネヒトへの賛同は比較的多いのだが、流石に左翼党支持はまずいと伝統的に自由党の支持者であった自営業や中小企業の経営者はAfDに流れる傾向にある。
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『ヴェルト電子版』がユーチューブ動画にアップした元左翼党党首のザラ・ワーゲンクネヒトの演説シーン

深刻化する産業経済

 ドイツ産業連盟 (BDI)が2月21日、中小企業を対象にしたエネルギー価格に関するアンケートを行った。回答企業の約9割がエネルギー価格上昇を「企業存続の脅威」とみなし、5件に1件の企業が生産・企業立地・雇用の一部を国外へ移転を具体的に検討し、5・5%は会社全体の国外移転の検討をすでにしているという。経済学者で作家のDr. Daniel Stelterは、このままではドイツは「脱工業化」すると指摘する(『Bild電子版』9月29日)。

「倒産の波」は異常な状況にある。デュッセルドルフ市のトイレットペーパー製造会社「Hakle」、ハンブルク市を拠点とする大手の靴屋「Görtz」、ドイツの自動車部品サプライヤー「Dr. Schneider」の倒産。いずれも創業百年クラスの伝統的家族経営企業である。また、肥料の高騰による農業経営の深刻さは度を越え、「食糧危機」が荒唐無稽な話ではなくなる可能性も否定できない。ちなみに、筆者は秋冬用の芝生の肥料を購入したところ、価格は約3倍に跳ね上がっていた。
 昨年の売上は4億5100万ユーロだったという「Dr. Schneider」は、米国、中国スペイン、ポーランドの海外拠点は無事だったようだ。破産したのはドイツ本社のみで、2000人の雇用が失われたが、この事実はエネルギー高騰でドイツ企業が国際競争力を失っていることを物語っている。「ドイツはもはや投資できる国ではない」。

 エネルギー高騰にあえぐ企業が検討する移転先は、電気料金がドイツの3分の1以下という米国である。ドイツ政府は、この傾向をすでに「警戒している」という(『ハンデルスブラット電子版』9月29日)。ドイツの産業用電気料金は、2020年は18セントキロワットだったが、9月現在の平均は23.23セントキロワットを記録している。エネルギー集約型産業には16.94セントキロワットの特別料金があるが、それでも米国とは2倍以上の開きがある。メルケルの時代の中国進出はコロナ禍によって下火になったが、エネルギー危機を通じ、ドイツ企業の新しい移転先は米国になりそうである。

 製造すればするほど損失が出れば、減産や生産中止を余儀なくされる。ドイツに約240あるアルミニウム製造会社だけを例に取っても、6万人の雇用が脅かされていることになる。
 原材料を輸入に頼るとすると、アルミニウムの生産国の圧倒的第1位の中国や2位のロシアとなる。「非人道的なプーチンを罰するため」禁輸を始めた政府が、まさかウイグル人権問題を抱える中国からなど輸入できないはずだ。「民主的で自由なヨーロッパを守れ」が空虚なスローガンにすぎなかった、となるかどうか懸念されるところだ。

 国民、野党、産業界から「信号政府はドイツを廃墟にするのか」と圧力が高まる中でのパイプラインの「破壊工作」は、ハーベック経済・環境相に「3基の原発稼働の来年四月までの延長を検討する」と言わしめた。
 緑の党は、国内のエネルギー危機を受け「石炭はOK」としていたが、今回の発言は緑の党のレッドラインを超えた形となった。もちろん党内の批判を招いたが、今度ばかりははねのけるだけの余裕はないだろう。
破産の危機に瀕している

破産の危機に瀕している

倒産の波は迫っている

一致する左右両極の主張

 前述の連邦議会ではAfDの党首アリス・バイデルも演説を行っている。氏のスピーチの内容は驚くほどワーゲンクネヒトのものと酷似(こくじ)している。彼女たちは、「経済制裁によって苦しんでいるのはロシアではなくドイツだ」と主張する。この時の2人の演説は「歴史的スピーチ」とささやかれている。バイデルは、『Bild』や『ヴェルト』に引っ張りだこのワーゲンクネヒトと違い、メインメディアから無視され続けてきたが、この演説以降、お茶の間でも顔を見るようになった。
 ドイツの公共放送フェニックスは、政治家ごとにこの日の演説をユーチューブ動画にアップしているが、バイデルは190万回再生され、7万弱の高評価を得ている。ショルツの再生数は16万回弱、高評価は1420であった

 バイデルもワーゲンクネヒトと同様、ドイツは現在「経済戦争」の局面を迎えているという立場に立っている。演説では、ロシアからの天然ガス輸入の再開、ノルドストリーム2の開始、原発稼働延長、原発建設、中小企業の存続の危機を訴え、与党の政治家を「タイタニック」の乗組員に例え「この人員を見れば、旅の終わりが破局であることは目に見えている」と激しく批判した。
「この16年間、緑の党のお囃子(はやし)にのってきたCDU」にロシアへのエネルギー依存を高めた責任があり、緑の党は、エネルギー、経済政策を「道徳化し」「イデオロギー政治」を持ち込み、クライアントやロビイストのみを利する政治を即刻やめよ、と筋金入りの批判を行った。

 べアボック外相は9月初頭に行われたプラハでの会議で「我々はウクライナと共にある。ドイツの選挙民が何と考えようがかまわない」と力説した。バイデルはこれを引用し、「これこそが現政府のモットーなのだ」と現政権の「ドイツ・ラスト」ポリシーを指摘した。この会議はテレビ放送され、「#BaerbockRuecktritt」(ベアボック辞任)が、その日の夕方、ツイッター上で最上位になった(『Bild電子版』9月2日)。
 また、前述のハーベックを「経済や倒産が何なのか全くわかっていない経済大臣」と呼んだ。同氏が、テレビ放送で「この冬、倒産の波はやってくるのか」との質問に対し、「否、購買力が低下し、特定の部門で生産や販売が停止したとしても、それは自動的に倒産を意味するわけではない」と意味不明の説明したことが背景にある。この発言は「倒産の意味がわかっていない経済相」と多方面からの嘲笑や非難を招いた。

「負担軽減対策パッケージ」(前述)にも手厳しく、実質的には雇用者が自分で払うという「前もって国民から何度も徴収した税金」を還元するだけの政策を「あたかも善政であるかのように語っている」と批判した。「国を治める能力がないなら辞任しなさい。それがこの国にとって一番の『負担軽減対策パッケージ』だ」と演説を締めくくっている。

 左右両極に立つワーゲンクネヒトとバイデルの主張が一致しているのはなぜか。このねじれは、社会的弱者から離れ「マイノリティ」をクライアントにし極端にリベラル化した左翼や「農業ではなく国際法」(ベアボック)に興味をシフトさせた緑の党に嫌気がさした昔からの支持者らがAfDに流れている。
 今にも崩れ落ちそうな左翼党の支持基盤を危惧したワーゲンクネヒトは、「原点に戻れ」と、自身の著書『独善家たち』(『Die Selbstgerechten』2021)で論を展開した。氏は、今の左翼を「ライフスタイル左翼」と呼び、彼らは、本来左翼が取り扱うべき「社会的公正」に関する政治ではなく、より「クールな」環境、移民・LGBTQなどのアイデンティティ・ポリティクスを好み、「そのような“左翼”的立場にある自身の特権を美徳とみなしている独善家」だ、と説明した。

 この試みは「ライフスタイル左翼」の恨みを買うことになったのは言うまでもない。今回バイデルと同じ主張の演説を行ったことで、再び党内から「離党・除名要請」の動きが盛り上がっている。エネルギー危機下におけるドイツでは、ますます多くの国民が「極右」と呼ばれたバイデルや「左翼の裏切り者」と見られているワーゲンクネヒトらの主張に耳を傾けてきている。
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ドイツの公共放送フェニックスがユーチューブにアップしたAfDの党首アリス・バイデルの演説

瓦解する欧州の平和

 パイプラインの「破壊工作」に関して様々な憶測が飛び交っているが、いくつかの状況証拠を見ていこう。
 まず「CIAは数週間前からドイツ政府にパイプラインへの攻撃の可能性について警告していた」というシュピーゲル電子版の記事である(9月28日)。「その筋に詳しい人たちからの情報」とだけあるため、真相は不明だが、活字としてネットに流れていることが興味深い。

 ポーランドでも著名な元国防・外相で現欧州議会議員のラデック・シコルスキーはパイプラインが破壊された同日に「ありがとう、アメリカ」とツイートをしている。ちなみに9月27日は、「数十年来のポーランドの夢」(ポーランドのアンドレイ・ドゥダ大統領)がかなった日でもあった。ノルドストリームの競合(だった)「バルト海パイプライン」が開通し、ノルウェーの天然ガスがデンマークを経由してポーランドに供給されることになったのである。消費量の6割以上をロシアに依存していたポーランドは、これからはガス供給をバルト海パイプラインで賄(まかな)うことになった。

 次は2月7日の米バイデン大統領の発言である。「ロシアがウクライナに侵攻した場合、ノードストリーム2を閉鎖する」という発言に対し、ドイツ人記者の「ドイツ管轄のパイプラインをどうやってアメリカが閉鎖するのか」との質問に「約束する。私たちにはそれができるだろう」と答えている。加えて、今年1月には、国務次官ビクトリア・ヌーランドが「もしロシアがウクライナに侵攻すれば、いずれにせよノルドストリーム2を止める」という発言を行っている。ノルドストリームの稼働を停止させる、を国家戦略として米国が視野に入れていることは明白なようである。

 パイプラインの破壊は、米国がフラッキングガス(LNG)をドイツやEU諸国に売り込むのに有利な状況を提供したと言える。米国は、2019年のトランプ政権以降、EUに精力的に「自由のガス」を売り込んできた、格段に安かった競合はもはや虫の息である。
「地下の岩体に超高圧の水を注入して亀裂を生じさせる手法」フラッキング(水圧破砕法)に対し、欧州は環境や人体への影響を懸念し導入には非常に懐疑的であった。実質、本国の米国でも同じような理由から、2014年にニューヨーク州、そして最近では、カリフォルニア州が2045年までにフラッキング禁止を決定している(『ジェトロ電子版』5月6日)。見わたせば今までのような安価なエネルギーはどこにもないどころか、高価でもあっただけまし、という足元に火が付いた状況では、考慮に入れざるを得なくなる。

 ノルドストリームを爆破した国は特定されるのだろうか。明白な証拠が出るまで憶測は続くだろう。
 しかし、これだけは明白である。ワーゲンクネヒトやバイデルが推奨したロシアからの天然ガス輸入再開の道が限りなく絶たれ、ドイツにおけるさらなるエネルギー不足・高騰が決定的になったこと、国民の「ブラックアウトへの恐怖」がより身近に迫ったこと、ロシアとの停戦交渉のテーブルがまたさらに遠のいたこと。脱産業化したドイツはいったいどのような様相を示すのか。「破壊工作」のインパクトは計りしれない。
 1キロ以上にも及ぶ海上の渦巻きは、「瓦解する欧州の平和」のシンボルのようにも見える。
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9月16日に行われた中小企業経営者らを中心とした参加者による「反エネルギー対策」市民デモの動画。「経済制裁を止めよ」「ノルドストリームを再開せよ」とのメッセージが
ライスフェルド・真実(マサミ)
1970年、福島県生まれ。東洋大学短期大学文学科英文学専攻卒業。ゲオルク・アウグスト・ゲッティンゲン大学M.A.修了。専攻は社会学、社会政策(比較福祉国家論)、日本学(江戸文学)。在独25年。東日本大震災を機に国家とは何か、等についての思索を続ける。

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