コロナで膨張を続ける中国リスクと新興国の「借金漬け」

コロナで膨張を続ける中国リスクと新興国の「借金漬け」

新興国を「借金漬け」にしている中国の不透明融資

 コロナ禍で、新興国経済の厳しさが増している。IMFは6月24日に2020年の新興国の経済成長率予想をマイナス3.0%に引き下げた。これでもまだ過小評価ではないかとも思われるのだが、いずれにせよ新興国の経済成長率は2019年はプラス3.7%なので、思いがけない経済ブレーキがかかっているのは間違いない。

 新興国経済は順調な成長を続けることを前提に、借金漬けになっている。19年末で政府部門の借入はGDPの52%、民間部門は同141%とされていて、これはいずれも過去最高水準だ。

 ここまで債務が積み上がった背景には、歴史的な低金利環境が続いていることもあるが、緩い審査基準で貸し出しをどんどん進める中国の存在も大きい。新興国向けの世界の最大の貸し手は今や中国であり、その存在感は圧倒的だ。表にされていない融資も公表額と同額程度は存在すると思われており、中国の融資額がIMFと世界銀行の融資額の合計を超えているのはほぼ確実だ。

 スリランカのハンバントタ港は、借金のカタとして99年間にわたって中国が租借することになり、将来的には中国の軍事拠点化されることが懸念されている。ザンビアも中国から借金のカタにモパニ銅山を要求されていると伝えられている。こうした形での中国による経済支配が新興国に広く行き渡るのは、中国の国家戦略には適うものであるとしても、安定した国際経済秩序の観点からは好ましくない。

 債務問題の解決のためには、目先の資金繰りを支える資金を融通することも大切だが、債務の減免を行って絶対額を減らすといった処置も必要になる。

 だが、不透明な中国の融資が多額に上る中では、先進国側が債務の減免を決めても、その恩恵が中国を利するだけになる可能性は高い。透明性が担保されていれば、透明性を確保した枠組みの中で相互調整の話し合いができるのだが、不透明な中国の存在感が大きい中ではそれが非常にやりづらくなり、大きな問題となっている。

 不透明な融資を認めない国際合意は、この環境下では進めやすいと思われる。この点で大半の国から好かれている日本がリーダーシップを発揮すると、状況は動きやすいし、日本の信頼性向上にもつながると言えるだろう。

 また、新興国を支えるためには、先進国が経済成長を進めて、新興国からの輸入を拡大させるのが非常に有効である。というより、本質的には新興国経済の立ち直りがないと、この債務問題は解決せず、そのための先進国経済の牽引は必須ともいえる。

香港国家安全法に続く…中国進出企業のリスクとは

 さて、中国は香港での国家安全維持法の強制適応に続き、7月3日には来年施行予定の中国版「データ安全法」の草案を公開した。中国で経営している外国企業に対して、中国国外のデータであっても当局の要求があった場合にはそのデータ提供を拒めない内容が記されており、中国的なやり方を中国国外にも押し広げることを企図しているものだ。

 産業集積地である中国からの製造拠点の移管は、企業にはなかなか受け入れにくいものであったが、中国側の強硬姿勢が鮮明になるにつれて、企業側の意識にも変化が出てきている。

 アメリカ国家経済会議のクドロー委員長は、中国からアメリカへの生産拠点の回帰の費用を100%政府が負担してもよいとの意向を示している。日本もアメリカに見習って100%を政府が負担する方向で検討すべきではないか。補正予算で示した国内回帰支援の予算は2200億円だが、最低でも10倍以上にすべきだろう。

 国内への生産移管は、コロナ禍で一気にしぼんだ設備投資系の日本企業を救う手段にもなる。

 弱った国内経済を立て直しながら、リスクが顕在化した中国から生産拠点を動かし、必要物資の輸入を拡大させて新興国経済にも貢献できる道を日本が選択する。そしてこの方向性を西側のコンセンサスにまで引き上げられれば、西側経済全体も回復し、さらに新興国経済を支えることになる。

 コロナ禍で苦しむ新興国経済を真に救うには、先進国が経済的に牽引する道しかない。これを意識した対策を考えるべきではないだろうか。
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朝香 豊(あさか ゆたか)
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」( https://nippon-saikou.com )の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。

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