【朝香 豊】中国政府が認めた!不動産バブル崩壊

【朝香 豊】中国政府が認めた!不動産バブル崩壊

ついに中国政府が認めた!

 中国の不動産バブルは明らかに転換点に入ったということを、YouTubeのWiLL増刊号(下記)やこのデイリーWiLLオンラインの記事で私は度々述べてきたが、ついに中国政府がこのことを認めるに至った。12月1日に中国社会科学院は「中国住宅ビッグデータ分析レポート(2020)」を公表したが、この中で不動産価格が「上昇するばかりで下落することのない」時代は終わったことが書かれている。

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 一線級の都市でも大きな下落が起きていることを認めていて、例えば北京では2017年4月の最高値から15.8%の下落、天津市では2017年3月の最高値から21.8%の下落、青島市では2018年7月の最高値から22.8%の下落が起こっていること、住宅価格が過去の最高値からほぼ50%下落している都市があることさえ公式に認めている。

 また、中国人民銀行の党委員会の書記および中国銀行保険規制委員会の委員長である郭樹清氏は、11月30日に発表した「現代の金融監督システムの改善」と題した記事において、中国の金融リスクとしては不動産が最大の「灰色のサイ」になっていると指摘した。

「灰色のサイ」とは、普段はおとなしいサイが一旦暴れ出すと手をつけられなくなるイメージから付けられた言葉だ。
 つまり、日常的に普通に存在してきたものなのに、環境の変化によってとてつもないリスクが顕在化する例えとして使われている。想像もしなかったことが思いがけずに起こってリスクが顕在化することを「黒い白鳥」と呼ぶが、これとの対比でよく使われる表現だ。

デフォルトの連鎖

 こうした不動産をめぐる環境の悪化の中で、10月25日には世界の大企業500社のランキングであるフォーチュン500の常連でもあった「緑地集団」が債務不履行を引き起こした。「緑地集団」は中国10大不動産企業の1つで、負債総額は9000億元(14兆円)を超えると見られる。

 中国不動産バブルの崩壊は、不動産企業だけに影響が及ぶわけではない。中国経済全体が不動産を担保にした金融によって支えられてきたと言っても過言ではなく、すでに多方面に影響を及ぼしている。

 例えば自動車メーカーだけでも、この1ヶ月ほどの間に華晨集団、力帆汽車、衆泰新能源が破綻した。華晨集団は遼寧省傘下の国有企業であり、BMWの中国の生産工場ともなっていたところとしても知られる。

 中国トップの清華大学系の国有企業である紫光集団、北京大学系列である方正集団もデフォルトを起こしている。

 河南省最大の国有企業傘下の永煤集団は11月10日に額面10億元の返済ができずに債務不履行を起こした。永煤集団は中国を代表する石炭企業である。永煤集団はデフォルト発生の20日前に額面10億元の中期社債を発行していたので、そのお金をそのまま返済に回せばデフォルトの回避はできたはずだが、それすらもできなかったようだ。

「格付け」は信用するな!

 そしてこの債務不履行は中国の金融の闇をさらに浮きぼらせることになった。というのは永煤集団は国有企業であっただけでなく、ムーディーズ系の格付会社からAAAの格付けを10月10日に付与されたばかりであったからだ。つまり、実際には潰れかけの会社がインチキ財務を作り上げることによってAAAの格付けを取得できるようになっていたということになる。

 そしてこれは、中国投資を行う際に格付けなど信用しても意味がないことを如実に示したとも言える。近年中国の高金利に惹かれて中国投資を活発化させる動きが西側陣営に広く見られるが、これは世界経済の観点で見て実に危険な行為である。

 前回の記事でも取り上げたが、中国が抱える総負債額は2017年末段階でGDPの1400%以上に達していたと見られ、その後さらに拡大しているのは間違いない。GDPの1400%でも過去の日本のバブル最盛期と比べても6倍以上というとんでもない水準だ。その破綻が中国1国内におおむね留まるのか、世界全体に波及するのかで、世界経済の命運は大きく変わることになる。

 日本の金融機関は今すぐに中国の債権を換金して日本に引き上げるべきである。損切りを恐れてはならない。うじうじして中国と運命をともにするような愚かな真似は絶対に避けるべきである。
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朝香 豊(あさか ゆたか)
1964年、愛知県出身。私立東海中学、東海高校を経て、早稲田大学法学部卒。
日本のバブル崩壊とサブプライム危機・リーマンショックを事前に予測、的中させた。
現在は世界に誇れる日本を後の世代に引き渡すために、日本再興計画を立案する「日本再興プランナー」として活動。
日本国内であまり紹介されていないニュースの紹介&分析で評価の高いブログ・「日本再興ニュース」( https://nippon-saikou.com )の運営を中心に、各種SNSからも情報発信を行っている。
近著に『左翼を心の底から懺悔させる本』(取り扱いはアマゾンのみ)。

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