ナザレンコ・アンドリー:「皇統」の正しい維持こそ日本の...

ナザレンコ・アンドリー:「皇統」の正しい維持こそ日本の最大の防衛力だ

「歴史」は侵略の口実にされる

 どんなに反日な人でも、一つ否定できない事実がある。それは現存する中で世界一古い国が日本であることだ。

 「古いだけでは何の意味もない」とリベラルが言うかもしれないが、実は安全保障の観点から国家の歴史的正統性はとても大事なのだ。なぜなら、現代の国際社会にあっては、どんな無法者でも理由なく攻撃を始めることが難しいためだ。

 つまり、その理由が正当かどうかはまた別の問題としても、とりあえず戦争や侵略行為には開戦事由(Casus belli)が必要で、占領をする場合はそれを(無理やりでも)正当化する主張がある。中国とロシアを見れば顕著だが、彼らが特に好む理屈は、「あの地域は昔我々に支配されたことあるから他民族にそこで独立国家を作る権利はない。我々こそが正統な統治者だ」というものである。こうして中国はチベットや東トルキスタンを武力で併合し、ロシアがウクライナ東部に侵略戦争をしかけたのだ。
 この身勝手な理屈にしても、皇紀で数えれば2681年の長きにわたってずっと独立を保ち、言語的・伝統的・民族的にずっと日本のままでいられた日本をいきなり自国領土にできる理由を探すのは不可能に近い(ただ、特亜の妄想力と歴史修正能力はハンパないので不可能とは言えない)。また、先祖代々のつながりを保ち、強いナショナル・アイデンティティーを持っている民族は、例え戦争に負けても、一生外国の支配を認めることなく、良い機会が訪れたら独立運動を始める。大量虐殺を起こさずに歴史的に自国に所属したことない土地を治めることは非常に困難だからこそ、これまでの歴史上、植民地帝国は崩壊してきたのだ。

 逆に言えば、21世紀の植民地帝国を目指している中国は、その支配や侵略に対する抵抗を弱くするために、日本のような本物の伝統国に対しては、「伝統は大事ではない」や「民族的誇りより経済のほうが大事」というプロパガンダを発信して、歴史的価値を低くしようと日々発信している。
 ※ただし!巧妙な≪五毛党≫もいることに要注意。歴史をリスペクトする保守層に対して、彼らは過去の戦争等を持ち出して、西欧人への憎悪を煽り、「悪の欧米に対抗するために中国との連帯が必要」という洗脳している。いうまでもないが、中共には連帯や友好の概念なんて存在していなくて、「連帯」とは中国の言うことに従うことなのだ。

強固な「一系」だからこそ"盗まれない"

 そして、日本歴史の連続性による日本国家存在の正当性を最も象徴するのは何かというと、それは間違いなく男系の万世一系を断固維持してこられた皇室に他ならない。

 人類史においては、関係ない国が他国の歴史と国名を盗む例はたくさんある。

 例えば、ヨーロッパにはかつて「ローマ帝国」という強大な帝国があったが、歴史を経て様々な国(地域)がローマ帝国の後継者の地位を争い、ロシアが「モスクワは第三のローマ帝国だ」と言い張っていた時期あったし(16世紀)、ドイツを中心とした国も「神聖ローマ帝国」を名乗っていた(隣国に非神聖非ローマ非帝国と揶揄されていたけれども)。このあたりの事情は世界史の教科書などでいつも「?」となる複雑さなのだが、なんにせよ「ローマ」を名乗るハードルが低かったと言えるであろう。

 ではその「ローマ」が名乗りたい放題だったのはなぜか?つまるところ、「一系」が厳守されず、絶対正統性を持った、一つの皇帝家がなかったからという点に尽きる。

 一方アジアでは、中華人民共和国は1949年に建国したことを祝いながら、なぜか「5000年の歴史」をやたらと強調する。かの大陸では「一系」は全く続いておらず、むしろ系統が頻繁に入れ替わる歴史を経ているからこその強弁であろう。

 だが、日本は違う。日本の最高権威者である天皇家の血筋が連綿と続いている限り、国名は変わろうとも首都が移ろうとも、神武天皇の時代から現代の令和まで全て同じ国家であることを疑う余地がない。つまり、万世一系の否定やそれを絶えようとする試みは、日本の否定そのものであるのだ。
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ナザレンコ・アンドリー:「皇統」の正しい維持こそ日本の最大の防衛力だ

強固な「一系」が日本を侵略から守る―

男系による万世一系こそが最大の防衛力

 2681年も続いてきたものを壊すことは一瞬でできるが、それを復活させるのにはまた2681年がかかると考えるべきだ。
 
 一度でも皇室を亡ぼせば日本は歴史的正統性を取り戻せなくなることをわかっているからこそ、反日勢力はあらゆる手段を使ってそれを図っている。例えば、直接「天皇制廃止」と叫ぶ人もいれば、意図的に「女系」と「女性」の意味を混同させたり、皇室を守るために女系天皇を認めるしかないと嘘の主張したりする工作員もいる。当然すぎる話だが、女系「天皇」は存在しえないので、その様な人が即位した時点で皇室は滅び、全く別の王家が誕生することになる。そして時間が経つに連れて、その重大な変化が起きた前と起きた後の日本は以前と本当に同じ国であるのかという議論が生まれることは間違いない。

 大声で女系天皇容認論を訴える人は皇室の未来を心配しているのではなく、神武天皇との繋がりを失うことが皇室の終わりを意味していることをわかって、一般人の無知や無関心につけ込んでいるだけということは、彼らの日ごろの言動から明らかだ。

 このような日本の歴史に鑑みると、その伝統を遵守している限りは、いくら隣国が大国となろうが、その侵略を正当化することが難しいことが理解できるだろう。

 つまり、世界一古い国家としてのステータス、それを裏付ける皇室の正統性こそが日本の安全保障の要であり、日本国家を本当に守りたい人なら、男系での万世一系の皇統こそ絶対に譲ってはいけない防衛ラインなのだ。
ナザレンコ・アンドリー
1995年、ウクライナ東部のハリコフ市生まれ。ハリコフ・ラヂオ・エンジニアリング高等専門学校の「コンピューター・システムとネットワーク・メンテナンス学部」で準学士学位取得。2013年11月~14年2月、首都キエフと出身地のハリコフ市で、「新欧米側学生集団による国民運動に参加。2014年3~7月、家族とともにウクライナ軍をサポートするためのボランティア活動に参加。同年8月に来日。日本語学校を経て、大学で経営学を学ぶ。現在は政治評論家、外交評論家として活躍中。ウクライナ語、ロシア語のほか英語と日本語にも堪能。著書に『自由を守る戦い―日本よ、ウクライナの轍を踏むな!』(明成社)がある。

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